全部コミカルに持ってて草。日テレが誇る水曜ドラマらしさもしっかりとありながら、かつコミカルとシリアスのバランスが保たれていて面白かったです。で、キャラクターもくせ者だらけで面白いし。

 

 

・物語

第1話は所謂初めましてみたいな感じだったから(というより大体のドラマはそう)、このドラマも第1話で何をするのか明確で見やすかった。それにとことんコミカル要素をぶっ放していくから面白いんだよね。
 
それにメリハリもしっかりと安定しててよく出来てるなぁって思う。これはオークラ氏の力量だと思うんだけど──、コミカルをやるにはしっかりと、真っ当にやっている感じがあるし、シリアスをやるならしっかりとやっている感じがして良いなって思う。それに所々謎解きのヒントをできるだけ自然と残していることもあり、結構見やすかった。
 
恐らく彼が過去に人力舎という事務所に入って芸人をやっていたことに由来すると思うんだけど、「視聴者がどんな風にすれば笑わすことが出来るのか」、あるいは「どんな風にすれば視聴者を感動させるのか、考えさせられるのか」という観点から見れば、彼の嘗ての芸人の経験が活かされている感じがしているし、最大限発揮されてて良い感じが出てる。
 
それに、それぞれの役者が役にできる限り自然体で演じられていることにも繋がっているし。このことは川栄李奈氏演じる桜庭澪と、小手伸也氏演じる猿田弥彦の2人に顕著に表われているし、今後この2人にどういう演技が見られるか楽しみです。多分アドリブが出ちゃうんじゃないかな。
 
で、肝心の謎解きもなかなかイケていました。
「氷ばかりを食べる」=異食症、味覚異常、ふらつく……などという患者の行動から読み取れば、大体の人は勘づくと思うし、そこから展開される物語も良かったです。
 
普通、コミカルドラマでミステリーが組み込まれると、(私の偏見だけど)謎解きが変になってしまいがちだと思うんだよね。けど、このドラマってコミカルもしっかりとやりつつ、謎解きもしっかりとやっているから尚更良い話。
 
最後、桜庭澪が「人殺し」と名乗ったのは最終話ぐらいで明らかになると思いますよ。私は原作を読んだことがあるので、この言葉でもう何かを指していることは分かっているし、それ以降の話が楽しみです。
 
(余談だけど、一部の人から「原作とは違う!!」と非難が噴出しているそうで。このことは最後に述べたいと思います)
 

・キャラクター

・桜庭澪(演─川栄李奈氏)

制作陣も称されるほど、「前向きバカ」。これはもうドラマを見ていれば一目瞭然だし、云わなくても分かると思う。それに、本来ナースエイドは助言など医療行為をしてはいけない(=医師法違反に問われる可能性あり)にも関わらず、彼女は人一倍肥大化した正義感でただ1人突っ走る性格の持ち主。どこかのSNSで「ハマり役だ!!」と云っていた人がいたけど、まさにその通りだと思います。他の役者がやっても出ない味が彼女から出てる。
 

・竜崎大河(演─高杉真宙氏)

冷静沈着で頭脳明晰。そして誰よりも効率を求めようとする人物でありながら、患者の命を救いたいと思う人物。患者に説明するときの彼を見て、誰もが「嫌なヤツ……」と思っているけど、実を言うと彼って何一つ間違ってないのよね。ステージ2の癌とはいえ、がん細胞は転移してもおかしくない疾患だし、「完治しない」のは当たり前。その事実を淡々と説明しただけであり、彼は何一つ間違ったことは云っていない。
 

・菊池相馬(演─矢本悠馬氏)

彼は典型的な童貞キャラって云ったところかな。男慣れしていないし、桜庭澪と話している時もモジモジしているし、目線を合わせようとしてないし。その態度が逆に「好きなのでは?」と周囲に思わせてしまって、おどおどしている感じが逆にキャラを立たせていて良かった。まあ、一言でまとめてしまえば、「童貞」で「コミュ障」で「友達の居ない」男子高校生ってところ。
 

・片岡晴美(演─水野美紀氏)

あんまり分からんね。唯一このキャラだけ立っていない感じがするから、申し訳無いけど述べることはないです。云うとするなら、しっかり者のナースエイドってことぐらい?
 

・小野夏目(演─吉住氏)

ナースエイドチームで桜庭澪と1位と2位を争うぐらい、そのぐらいの変わり者。一見真面目な人間に見えるけど、中身を晒していけば実は変人。それに、極度のドMでトコトン男性に縛られたい人でもある。くせ者。
 

・猿田弥彦(演─小手伸也氏)

このドラマの中で一番嫌なヤツ。何一つ間違っていないところも含めて嫌なヤツだと思うんだけど、所々竜崎に裏切られているところもあると、意外とコミカルなキャラかも知れない。小手伸也氏の演技が輝く……かも知れない??
 

・まとめ

こんな感じです。初話にして盛り沢山で面白かったですし、色々と伏線を残していきましたからね。今後の話が気になるところでもある。
 
(おまけ)
 
何やら一部の人が「原作と違う!」と言っているみたいなんだけど、私はあまり気にしてません。というのも、原作は昨年11月下旬に刊行されたばかりの小説ですし、1冊で完結している物語なので仕方ないです。一応原作者の知念氏もシナリオはチェックしているそうですし、自身のSNSにも設定が異なっていることを呟いているし。
 
それに、桜庭澪が手術室に乗り込んでいる場面にツッコんでいる方もいるみたいで。ここはどうしようもないし、原作ではしっかりと心理描写があるのでそちらをご確認してください。まあ、制作陣の方でも落ち度はあると思うけど、どの辺にその描写を入れるかによって尺が伸びてしまうこともあるし。尺度。
 
でも猿田が桜庭澪をさっさと追い出そうとしているところもあるし、批判している人は何を見ているんだろうねって思う。驚く自分に気を取られすぎて参っているのか……または別の理由か…………。