私は教育のプロ、学習のプロとしての経験はありません。
ゴリゴリのインベストメントバンカーとしてのキャリアを歩んできました。
自分の経験から帰納法的に得た教訓を、MBAの経営学理論に当て嵌めてフレームワーク化したのが「Eureka!メソッド」です。

人生で1番根源的に重要な方程式(モデル)は
(収入) - (費用) = (収益)
たったこれだけ
これを私たちの生活に当てはめて言葉を言い換えると
(うれしい) - (つらい) = (しあわせ)
といえる。ここまでは簡単ですよね?
難しいのは、この式に個別の事象を漏れなく代入することです。
いいこと、悪いことを漏れなく網羅しないと、結果が間違ってしまいます。
そのために必要なのが「アリの目、タカの目」です。
そして、よりしあわせになるためには、
1) 収入を増やす
2) 費用を減らす
3) 取引量を増やす
の3つのベクトルしかないことに気づきます。

方程式を勉強に当てはめてみると、
(いい点を取る) - (なるべく楽に覚える/理解する) = (うれしい)
となると思います。
楽という字は
収入サイドにあるときは「たのしい」と読み
費用サイドにあるときは「らく」と読むと思います。

Eureka!は、方程式を常に意識していて、
たのしくするためにはどうしたらいいか?
らくをするためにはどうしたらいいか?
と考えています。
今日は塾の子どもたちにマトリックス勉強法を教えました。
これは3つのベクトルのうち、2)の費用を減らすに該当するものです。
だって覚えるの苦痛だもん。
らくして覚えたいかららくに覚えられる方法を考えました。

私自身はその勉強法を実践していません。気づかなかったから。
私はメガバンクのキャリアの約半分くらいで戦略企画を担当しました。
儲かる業務を考えて(見つけて)事業化するんです。
その手法を勉強に当てはめて思いついたのがマトリックス勉強法です。

儲けたいというゴールについて、どうやるか?を考えるのですが、
業務についてまず行うのは「要素分解(factors)」です。
ある事象について、結果を左右する要素に分解します。つまり変数を探す作業です。
全部網羅します。くまなくやります。
(これにはアリの目が必要。当たり前と思うと見逃します。だから私は部下の採用面接で、「今日起きてから面接に来るまでにしたことを全て事細かに説明してください。」という質問をします。分解能を見ているのです。)
次にそれぞれの要素がどのように結果に影響するかを考えます。
「要因分析」(factor analysis)といいます。変数が変わると結果がどう変わるか?つまり定数を導くということです。(5つの線を引くのうちの演繹と帰納のアコーディオン)

費用をなるべく下げるベクトルを考える=らくに覚えるとして、
私は間違いに着目しました。
具体的には「あぁそっちかぁ!」という間違いです。
これは答候補を思い出しているのにそれがどこに当てはめたらいいのかがわからないときに起こります。(対して「それかぁ!」のとき、これはもう理解が足りてないわけで、もっとやれとしか言えません。)
多くの人は、覚えようとします。それじゃ足りないんです。
あぁそっちかぁ!は、正しい答を「思い出す」ところに問題がありました。

私たちは新しい業務の検討を行うとき、フィージビリティスタディとして、ストレステストを行います。
こんなシナリオだったらこうなってあぁなって結果はA
ところがこんな場合は結果はB
もっとやばかったら結果はC
のように表(マトリックス)にまとめます。わかりやすくなるからです。(らくに理解できる。)じゃぁこれを勉強に当てはめてみよう。
わかりやすくて、どれがどれなのか線が繋がっていれば思い出しやすいはずです。

例えば歴史では、なんとか時代とかかんとか時代があって、なんとか時代はどんな時代でこんなところであんなことがあってこんなこともあって.…
一方のかんとか時代にはそんなこと、へんなことがあって.…
キリスト教はどこで誰が興して教典が何で.…
イスラム教は.…
ヒンドゥー教は.…
仏教は.…
といったことをひとつひとつ覚えると、混線すると思うんです。混線しないようにするには、最初っから表にしちゃえば?
英語の時に、I - my - me - mine - amを予め表を作って、
徐々に埋めていきました。今週ようやく三人称単数現在のsが登場しました。
それによって
==== 主格(は/が) 所有格(の) 目的格(に/を) 所有代名詞 be動詞 一般動詞
一人称単
一人称複

三人称複
の表が完成しました。
夏期講習では普段の生徒以外にも生徒が来ていたのですが、(もともと優秀なこともあって)この表の理解度、記憶度には夏期講習生と比べものにならない、というか完璧に覚えています。豆テストをやって驚きましたw

== いつ どこ 誰 何(どんな特徴 事件 書物 文化.…)
縄文
弥生
古墳
飛鳥
奈良
平安
みたいに表にしたり
===== 誰が どこの人に どこで いつ 教典 禁忌.…
キリスト教
イスラム教
ヒンドゥ教
仏   教
みたいにまとめると覚えるのがらく
全部が埋まるわけじゃない。イスラムは豚、ヒンドゥは牛。キリスト教には別にない。
でも埋まらないところに気づく。
教科書に書いてあることを勉強と思っていると気づかず通り過ぎる。
教科書に書いていないことに気づいて自分で調べる。
まぁ近所の田舎トップ校に受かるにはそこまでしなくていいだろうけれど、その上に行くためには今のうちから気づいて自分で調べる勉強の習慣をつけたほうがいい。
色んな色を使うのはやめた方がいいという人が多いんだけど、
それは(多分)色の使い方が煩雑だからだと思っている。
私は目一杯色を使っている。
一つのプレゼン資料で複数のクライアントにプレゼンするからだ。
赤で書いてあるのはA社に行ったときのコメント、青はB社、みたいに分けておくと、そのときの情景が思い浮かび、書いてないことまで「思い出せる」。
覚えるためではなく、思い出すのに都合がいい。
これは緑で書いてあるのを思い出したからこれはイスラム教だ!とかいう思い出し方を狙った方法。


表にしておくとまとまってるだけでなく整理されてるから試験対策がらくになると思うんですよ。しかも見慣れてる。何度も見てるから覚える。


さて、そして、キミたち英語の授業ではノートの1番最後のページに、1番重要な文法だけをまとめたノートを作ってるよね。夏休み中にそれを見直した?(残念な答だったwおまえら、ちゃんと見直せよ。あれだけ何度も見てりゃそれだけで点数上がるんだよ)

まぁ予想通り見てなかったんだけど、もっと大切なことを教えるよ。
あれ、役に立つとは思ったでしょ?
じゃぁどうすんの?あれって英語だけにしか使えないのかな?
ほかの教科にも使えるよね?役に立つんだよね?
じゃぁ夏休みのうちに他の教科のまとめノートも当然書いてるよね?
気づかなかった?今までこんなこと習ってないもんね。仕方ないよ。
先生に言われて気づいたね?じゃぁやるよね。

こうやって気づくこと
やっている作業の目的、効果を理解して(帰納法的アプローチ)、
それを他のことにも当てはめる(演繹法的アプローチ)。
それを繰り返すようなトレーニングをすることが大切だと私は思います。
これを「演繹と帰納のアコーディオン」と呼んでいます。

社会に出たらこれらの能力が必要になってきます。
現に私はビジネス理論をアコーディオって教育に当てはめています。
そういうことが求められるのが社会です。

そして収入を増やすベクトルのトリックとして、表が完成したらバラバラに切り分けて福笑いなり百人一首をしたいと思ってます。


あ、差分分析(differential analysis)を書くの忘れたけどいっか。わかるよね。