お師匠さまと。 | 日刊「きのこ」 skipのブログ

お師匠さまと。

上方落語界、若手のスター、

桂吉坊さんが、

各芸界の大御所、

つまりお師匠さまたちを訪ね、

いろいろ興味深いお話をうかがった。

桂吉坊がきく藝

ちくま文庫にて好評発売中!


日刊「きのこ」 skipのブログ-吉坊がきく藝

以上は単なる本のご紹介。

それはさておき……、


以前にも少し書いたことがあると思うが、

ぼくのお師匠さまは、

利根川裕先生という。

小説家である。


歌舞伎をはじめ、

日本古典芸能の造詣も深く、

NHKでも解説をよくなさっていた。


そして何より、

その昔、

テレビ朝日で

トゥナイト」という

人気番組の

キャスターをなさっていた。


1980年から1994年までの

長きにわたり、

月曜から木曜まで毎晩、

台本なしの生放送というのは

ハードな仕事であったと思う。


木曜日には山本晋也監督が、

歌舞伎町行くですよ

といいながら風俗レポートをして、

ほとんどビョーキ

と叫んでいた。


ぼくは大学の学部4年生のときに

恩師原子朗(はらしろう)教授の

ご紹介で、知り合いになれた。


人生観や文学観をうかがって、

目からウロコが落ちる思いがした。


先生、ぼくを弟子にしてください

とぼくは云った。

弟子だなんて、イヤだよ、

そんなホーケン的なの

と身体をよじるようにして、

先生はおっしゃった。


それから先生の鞄をもって歩き、

先生のタバコを買いに走った。


ときどきボーヤみたいな立場で、

テレビ朝日のスタジオにも着いて行った。


それから30年近いおつき合いということになる。

もちろん、今は、

しょっちゅう会うことはできないが、

考えることのあるたびに、

お師匠さまなら、どう考えられるだろう?

と、自分の心に問いかけて、

答えを導いていたりする。


このあいだ、

バルト研のために上京した際、

時間をこしらえて、

ごあいさつに伺った。



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いろいろとまた教えを授けてくださった。


残念なのは、

学生のとき、

一緒に写した写真がない。


そのころ、テレビの売れっ子だったから、

なんだか軽薄に見られるのではないかと思って、

写真を一緒にとってもらったりしなかったのだ。


残念なことをした、

と今になって思う。



実は先生は、亀井勝一郎のお弟子さんでもある。

ぼくが先生に弟子入りをお願いしたのはぼくが23歳のときである。

奇しくも先生が23のとき、亀井勝一郎にむかって、

「ぼくを弟子にしてください」とおっしゃったそうだ。

そのとき亀井さん(先生はそう呼ぶ)の答えが、

「弟子だなんてイヤだよ、そんなホーケン的なの」

と、身体をよじるようにして言われたのであったそうだ。


ぼくは小説を書いたりしないが、

それでも弟子というのは一応認めてくださっているようだ。