デンマークの常識としつけ。
ちょっと長くなりますが、
デンマークでの貴重な体験談です。
どうか読んでください。お願いします。
デンマークで、
家の前の駐車場に車をとめていたら、
屋根の上にあがっていた作業員が、
あやまって雨どいを、
ぼくの車の上におとした。
ボンネットがへこんだ。
作業員は、
会社の保険で直すから、
修理をしたら
ここに請求してくれ
という案内をして帰った。
さて、車の修理に
ディーラーに持って行ったら、
当然、何日かかかるという。
じゃあその間、
代車をだしてほしいというと、
有料のレンタカーになるという。
有料でも、保険で出るでしょうと言ったら、
「たぶんそれは保険ででないね」
という。
だって、修理の間、
車がなければ困るでしょう。
「それは困るね」
だから代車が必要なんだから、
代車の料金も正当に
請求できるんじゃないの?
「いいや、車を直すのは壊した者の責任だが、
車を借りるのはあなた個人の責任だよ」
ええっ?
じゃあ、ぼくはこれから
どうやって家まで帰ればいいっていうんだ。
それに毎日の通勤にも使ってる。
「困ったね。
じゃあ、こうすれば?
友達を電話で呼んで
迎えに来てもらうんだ」
だって、みんな仕事中だし、
往復1時間以上かかるし、
そりゃムリだよ。
「ええっ? 友達いないの?」
と、ちょっと憐みの表情。
(余計なお世話だ!)
だって、おかしいじゃない。
ぼくは車をとめていただけだよ。
それも路上じゃなくて、
ちゃんと家の前の駐車場に。
「駐車場だろうが路上だろうが、
止めていようが走っていようが、
モノは壊れるときには壊れる。
それが車というモノを
所有することのリスクだよ」
(なにか違う気がする)
「だから友達なら、
きっと毎日の送り迎えも
手伝ってくれるよ」
正直だんだん腹がたってきた。
我々日本人は、
人に迷惑をかけちゃいけないと
おそわっているんだ!
「迷惑だって?!
迷惑なら毎日かけてるじゃないか。
生きてるだけで、
いろんな人の世話になってるんだ。
でも、だれもそんなことで
怒ったりはしないよ」
そのときはぼくが怒ってたから、
彼らの論理がなにも理解できずに、
とにかくレンタカーを借りて帰った。
腹立ちまぎれに職場のデンマーク人に
聞いてみたら、まったく同じ反応だった。
さらに腹立ちまぎれに、
こんどはイギリス人に聞いてみた。
「Very Scandinavian.」
(それが北欧的なのよ)
とぼくに同意してくれた。
イギリスでも代車の料金は
請求できるらしい。
だけど、北欧では、
その常識は通用しないのだそうだ。
ぼくは落ち込みながらも考えた。
よくよく考えてみたら、
なんでも腹を立ててるのは日本人なんだな。
人が自分の前をゆっくり歩いていたら、
それだけで「迷惑だ!」なんて
怒っていたりするんだな。
日本人はたしかに、
「人に迷惑をかけるな」
と教育されている。
ということはつまり、
「人から迷惑をかけられたら怒る」
ということが正当になる。
ところがデンマーク人は
「迷惑をかけるな」なんて教育しない。
こどものころから、
「人には親切にしましょうね」
といってしつけられる。
人に親切にすることが当たり前、
だから人から親切にされても当たり前なんだ。
困っているときはお互いさま。
「友達が困っているので、
ちょっと迎えにいってきます」
といって職場を離れることができる。
そういう文化の国なんだ。
デンマークには、
英語のpleaseにあたることばがない。
じゃあ、
「お願いします」ってとき、
どういえばいいの?
彼らデンマーク人は
「Tak! (タック:ありがとう)」という。
親切されるのも当たり前だから、
特に「お願い」なんてしなくても、
先にお礼を言ってしまうのである。
外国に暮らすと、
文化の違いにとまどうことはある。
たいてい自国の文化のほうが
すぐれていると思って、
他国の文化に腹をたててしまうことが多い。
なんでも怒るのも日本の文化かもしれない。
ぼくも最初は腹をたてていたけど、
ほんとうに大切なことを、
デンマーク人から教わったように思う。
デンマークではたくさんの人に
本当に親切にしてもらった。
ぼくもいつもだれかに
親切にしたいと思っている。
デンマークにとても感謝している。
Tusind tak, Danmark!
(デンマーク、とってもありがとう)
文字ばかりの長い文になってしまいましたが、
いつか書きたかったことなんです。
最後まで、お読みくださりありがとうございます。
読者のみなさまにも、tak!!!