
人の魂が
乗り移った植物
それが緑人間!
緑人間の独白
わたしは昔、
人間だった。
いつ、こんな姿になったのか?
1ヶ月ほど前のような気もするけど、
もう何十年もこの姿でいるような気もする。
記憶が曖昧だ。
なぜ、この姿になったのかはハッキリしない。
気がつけば、こうなっていた。
わたしは
四六時中、ここにいて
通り過ぎる人を眺めている。
他にすることはない。
朝は
小型犬を散歩させるおばさんが!
スマホ片手に早歩きするビジネスマンが!
大きなスポーツバッグを持った高校生たちが!
昼になると……。夕方になると……。
夜になると……。
毎日、
決まった時間に
同じ人が目の前を
通り過ぎていく。
コッチは勝手にみんなのことを
顔見知りだと思っているけど、
相手はコッチのことを知らない。
もどかしい。
犬を散歩させるおばさん。
優しそうなこの人なら、
自分の存在を受け入れてくれるかもしれない!
そんな気がして、話しかけようとしたけど、
ギリギリのところで思いとどまったことがある。
もしあの時、本当に話しかけていたら、
どうなった?
きっと、変な声が聞こえてきたと、
不気味がられて終わり!
やはり、うかつに声をかけない方が
いいと思った。
わたしのストレス解消法は
通りに誰もいない夜中から朝方に
「わぁーーー」とか「うぉーーー」と叫ぶことだ。
だけど、叫んだ後、
「あぁ、自分は何やってんだろう」と
虚しく感じるときもあるから、
ときどきしかやらない。
昼間に
叫ぶことも!
それは。。。
救急車、消防車、パトカーが
うーうーうーとサイレンを鳴らして
通り過ぎる瞬間だ。
周りの音を掻き消す爆音だから、
その音に被せるように叫べば、誰にもバレないはず。
実際、何度かやってみたけどバレなかった。
サイレンに被せる言葉は「メイリンルーラー」。
中国語と韓国語とタイ語をMIXしたような
オリジナルの言葉。意味をなさない言葉だ。
これなら、万が一、誰かに聞かれとしても大丈夫。
聞いた人が「?」となるだけですむ。
サイレンが鳴ると
心が躍る。
メイリンルーラーと叫ぶと、
少しだけ、気分がスッキリする。
今日もわたしはサイレン待ち!
★★★★
人間の魂が
乗り移った植物=
緑人間。
道端に! 公園に!
あなたの家の庭に! ベランダに!
ほら、そこ! ほら、あそこ!
緑人間は、いろんなところに
潜んでいる。
以上。
銭湯に行った帰りに見た光景から、
ボクが想像を膨らませた話でした。
念の為、緑人間=フィクションです。




