ひとをうたがわず、しざいをうしなったおじいちゃんがいる。
からだにやまいとへんけいがあり、しんぞうとはい、こっかく、いろいろなかべがおおく、したかったことをあきらめつづける人生だった。
それでもであいがあって、すきになってくれたひとがいて、かれにふたりのむすこをのこした。
ほんにんはいそいでたびだってさぞこころのこりがおもかっただろう。
ずっといえにのこっていた。
ひとのけはい。
ガラスにうつるかげ。
おせんこうをともし花をいけてそなえた。
どうぞ母をよろしくと。
むすこのひとりはエベレストでスベってしんじゃった。
あほだ。
もうひとり。
ちちおやのみごとなテキトウ人生をおかたづけさせられて、あわれなおにいちゃん。
このひとが、HOTELいまかね現社長よしやす。
おとうさんをカモにしたひとたちは、くいただろうか。
新築の家がふたつくらいは、みついだはずだ。
のせられおだてられ、きんせんをねらわれ。
だれにもまもってもらえずに。
老いて。
家族のたいせつさをしらず、クソジジイになってしまった。
おにいちゃんが、たすけてくれた。
ぶきようなこだから、いえのなかはハリケーンにふっとばされたようにからっぽ。
おれが、もっとはやくニンゲンになれていたら。
すこしずつしゅうふくする。
まにあわないかも。
でも。
ことばたらずでまねいたことだ。
おれは、うんよくことばのかずがおおいみたいなので。
家族だけはむすびなおせないか。
ずっと計算していた。
勝算はある。
時間だけが足りない。