旦那様には内緒なの。
ほんとうは。
あれは、あたしじゃないの。
ふたごの。
おとーと♪
おもしろいバイト教師が居るんだって。
面会のとき。
教えてくれた。
すこしずつ。
種明かしをしようかな・・・。
生まれたときから。
欠けていた、心臓の部品。
ずっと。
小学生のときまで。
入院生活。
なんども。
なんども。
痛かった。
あたし。
胸にたくさんの傷跡がある。
病室で。
気がついた。
かなしいとき、ひとの周りの空気の色が変わること。
嬉しいとき、キラキラ光ること。
嘘をつくたびに濁ること。
かみさまは。
走れないカラダと引き換えに。
あたしに。
魔法をくれたので。
だいすきなひとを。
騙し続けることが出来る。
この胸を。
・・・・きっと哀しむと思うから。
あの夜。
どんなにあなたが優しかったのか。
泣いてくれたから。
記憶を、消したの。
二度と哀しませないように。
いつか。
また・・・。
そんな日が来たとしても。
最後の最後
あなたの記憶はちゃんと連れて逝くから。
かみさま。
もうちょこっと。
ココに居てもいいかな。
赤ちゃんが出来ました。
まだ、ないしょ。
もうすこし。
ないしょだょ。