AI 異世界 商人 スキル 小説 香水 | スキル向上委員会のブログ

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skill:スキル(熟練、技)をテーマに日常の出来事、ニュース、情報を主観的、客観的に考え話にしています。作家:愛崎好生・1億人のスキルー人生の参考書を執筆。人生のお役に立てば幸いです。

異世界商人

 

第6章
◆ポーション
◆老魔術師のガルドス
◆香水に魔法添加
◆新作の香水
◆若返りですって
◆治癒ポーションの王宮試験
◆美容ポーション
◆美容ポーションの効果

 

第6章

◆ポーション
マルタの本を借りた中で、気になる文脈があった。ポーションに関する記述だ。王都に着いたら、それらも調べる事にした。

王都への道中、馬車の中でヨシオはマルタの書物を思い返していた。

分厚い革装丁の本には香水の歴史だけでなく、ポーションや魔法薬に関する記述も含まれていた。その中の一節が妙に引っかかっていたのだ。

「香りと魔力は表裏一体である。古の調香師は香りに魔力を込め、傷を癒す薬香を生み出したという」

具体的なレシピは記されていなかったが、香りを魔法的に機能させるという発想自体は面白い。

もしそれが可能なら、単なる嗜好品としての香水とはまったく異なる商品が生まれる。

傷を治す香り、疲労を回復する香り。冒険者や騎士団に需要があるはずだ。

王都に到着すると、まずグスタフに新作六種のプレゼンを行った。

「琥珀の雫」を手首につけたグスタフは目を細め、「これなら花なしでも十分に売れます」と太鼓判を押してくれた。

生産増加の件も承諾し、「注文の件はこれで対応できる」と胸を撫で下ろしていた。

商談を終えたヨシオはその足で王都の大図書館へ向かった。

マルタの本で見つけた記述の裏付けを取るためだ。薬学や魔術の棚を片っ端から漁り、「香りと魔法」に関する文献を探し始めた。

ポーションに魔力を込めることで、香りと魔力が効果を発揮する事が分かった。

王都の魔法使いに助言を求めた。

文献の記述は正しかった。ポーションに特定の香草を混ぜ、そこに魔力を注ぎ込むことで効果が増幅される。

ただし、魔力の込め方には熟練した調香技術と魔法の素養の両方が必要で、双方を兼ね備えた人間は極めて少ないと記されていた。


◆老魔術師のガルドス
翌日、ヨシオは王都の魔術師ギルドを訪ねた。

石造りの重厚な建物の中は薄暗く、香のような独特の空気が漂っている。

受付で事情を話すと、奥の部屋に通された。待つことしばし、現れたのは白髪の老魔術師だった。

名はガルドス。ギルドの顧問を務める大魔術師だという。


ガルドスはしわがれた声で、

香りに魔力を乗せたいとな。珍しいことを考える若者だ。

ガルドスはヨシオを値踏みするように見つめ、机の引き出しから一冊の古びた書物を取り出した。

かつて存在した「薫療師」と呼ばれる者たちの記録だ。香りを媒介にして治癒や強化を行った連中でな。最後の一人も百年以上前に死んでおる。

書物を開くと、そこには複雑な魔法陣と香りの配合が図解されていた。ガルドスがページをめくりながら説明を続ける。

理論は残っておるが、実践できる者がおらん。魔力と香りを同時に制御するには、両方の才が必要だからな。

……お前さんにその素質があるかは分からんが。

一度試してみます。嗅覚のレベルは4、魔法レベルは2ですが、論より証拠。実践あるのみ。

ガルドスは眉を上げて、

ほう、嗅覚レベル4か。それは大したものだ。ならば試してみるがいい。

ガルドスは奥の実験室にヨシオを案内した。石壁に囲まれた広い部屋の中央に作業台があり、ガラス器具や香草の束が並んでいる。

百年以上前に使われていた設備をそのまま保存しているらしい。

まずガルドスが基本を教えた。ポーションに魔力を流し込みながら香草を加える。魔力の流し方は手のひらから糸を出すように細く繊細に。

強すぎれば器が壊れ、弱すぎれば効果が出ない。

簡単な回復ポーションを使って実演してみせる。老魔術師の手から淡い光が流れ込み、ポーションが微かに発光した。


さあ、やってみろ。


◆香水、ポーションに魔法添加
ヨシオの前にポーションと香草の束が置かれた。まずは初歩の傷薬用ポーションに、鎮痛効果のあるラベンダーナを加えるところからだ。

手の甲に軽く切り傷を作り、そこにポーションを塗る工程を想定しての練習だった。

ポーションを手に取る。魔力を流す。そしてラベンダーの香草を加え、混ぜ合わせる。三つの要素を同時に制御しなければならない。

魔力の強さをセーブして……香草を加えればいいんですね。

手のひらから糸を出すように細く繊細に魔力をポーションに流しながらラベンダーナの香草を加える。そして混ぜ合わせる

魔力の糸がポーションに触れた瞬間、液体がわずかに震えた。加減が難しい。

少しでも力を込めすぎれば容器が割れそうな危うい感覚。そこにラベンダーナの香草を細かく千切って加えながら、手を止めずに混ぜる。

数秒の格闘の末、ポーションは淡く青白い光を放った。

成功だ。光の色は弱々しく、ガルドスの実演に比べれば頼りないが、確かに魔力が宿っている。

手の甲の切り傷に少量を塗ってみた。じわりと温かい感覚が広がり、傷口が塞がっていく。通常のポーションより明らかに治りが早い。

ガルドスは目を細めて、

……一発で成功させおったか。


老魔術師は驚きを隠さなかった。理論を聞いてから実践までわずか数分。普通なら一週間はかかる工程だという。


お前さんの魔力制御は荒削りだが筋がいい。あとは香草との組み合わせだ。相性の悪い組みもあれば、想像以上の効果を生む組みもある。

試行錯誤あるのみだな。

それから三日間、ヨシオはギルドの実験室に通い詰めた。

様々な香草とポーションの組み合わせを試しながら、薫療師としての第一歩を踏み出しつつあった。

魔力レベルを確認した。香水とポーションの効果を見たかったから。

ステータスを確認すると、魔力レベルは3に上がっていた。三日間の集中的な訓練が効いたらしい。

嗅覚レベル4と合わせて、調香と魔力制御の両立が着実に進んでいる証拠だった。

そしてヨシオは自分が作ったポーションと既製品の香水の効果を比較してみることにした。

まずポーション。鎮痛・治癒効果のあるラベンダー入りのものは、通常ポーションの約1.5倍の回復力を示した。

まだまだ改良の余地はあるが、方向性としては間違っていない。

次に香水。既存の月下香の香水を自分で嗅いだ際の精神安定効果は、通常の使用感と変わらなかった。

つまり、香水には魔力が乗っていない。ただ香りが良いだけだ。これを薫療師の技術で魔力を込めたらどうなるか。

試しに月下香の香水に魔力を流してみた。青白い光が瓶の中の液体を包み込む。

見た目は変化がないが、嗅いでみると明らかに違った。鼻腔に届いた瞬間に魔力が体に浸透し、心の安定だけでなく微かな活力まで感じられる。

これは別物だ。薫療師の香水は香りだけでなく魔法の力も同時に発揮する。

ポーションより携帯しやすく、用法も簡単。冒険者や騎士団、旅人たちに需要があることは間違いない。

ひとまず、香水に魔力を乗せられる事が分かった。

次の日、王宮へ拝謁することにした。


◆若返りですって
翌朝、身なりを整えたヨシオは王宮へと向かった。新作の香水と薫療師の技術、どちらも王家に報告するに値する成果だ。

門番に名を告げると、すでに話が通っていたらしくすぐに通された。

案内されたのは謁見の間ではなく、王女の私室だった。堅苦しい場ではなく気軽に話を聞きたいということだろう。

部屋に入るとマルティナ王女が笑顔で迎えてくれた。侍女が茶を用意し、二人きりになる。


お久しぶりですわ、ヨシオ様。お元気そうで何より。それで、今日はどんな驚きを持ってきてくださったの?

王女の瞳には好奇心が溢れていた。前回の訪問で嗅覚の天賦を見抜いた時のような、新しい発見への期待がその表情に滲んでいる。

隣国に香水を販売する件と合わせて、新しい香料の試作品、及び香水に魔法添加の試作品をお持ちしました。

王女は身を乗り出して、

まあ、魔法添加ですって?


ヨシオが持参した箱を開けると、三つの小瓶が並んでいた。琥珀の雫、月光の微笑み、そしてラベンダー入りの魔力香水だ。

さらにガルドスから借り受けた薫療師の古文書も添えた。

マルティナはまず新作の二種を手首につけて香りを確かめた。金柑ベースの重厚な香り、ベルガモットの上品な余韻。

どちらも既存の花香水とは異なる個性に王女は目を見開いた。


素晴らしいわ。花がなくてもこれほどの香りが……そしてこちらは?

三本目に手を伸ばし、手首ではなくハンカチに一滴落として嗅いだ。途端に王女の表情が変わった。驚きと感嘆が入り混じった顔でヨシオを見つめる。


これは……普通の香水ではありませんわね。体の奥に何かが染み込んでくるような。精神的な安らぎだけでなく、活力まで感じますわ。


王女は古文書を手に取り、ぱらぱらとページをめくった。「薫療師」の記述に目を通すと、再びヨシオに視線を戻した。

ヨシオ様、これは大変な発明ですわ。もしこの技術が普及すれば、我が国の軍事力にも影響を及ぼしかねません。

お褒めに預かり光栄です。ぜひ、国内での販売を認めていただきたいです。

今の所、香水に込められる魔法は落ち着いていると推定する精神系の安定と精力系の疲労回復に限定しています。

それと、これを。

香水を入れてきたガラス瓶と同じ大きさのガラス瓶を取り出す。

中には透明な液体が入っている。


王女はガラス瓶を受け取り、光に透かして、

これは……何ですの?

透明な液体は一見するとただの水に見えた。しかしヨシオが取り出したということは、これも何かの発明品であることは明白だ。

マルティナは警戒する様子もなく、しかし好奇心は全開で瓶を見つめていた。

これは治癒ポーションです。傷や病気に効果を発揮します。

また美容と健康と若返りにも効果が有ると思われます。


王女は目を丸くして、

若返りですって!?

「若返り」という単語にマルティナの反応が一段跳ね上がった。女性にとってそれは魔法よりも強い魔力を持つ言葉かもしれない。

王女は慌てて居住まいを正し、王族としての威厳を取り繕おうとしたが、頬の紅潮は隠しきれていなかった。


……失礼しましたわ。それで、これはどの程度の効果が?

声は平静を装っているが、瓶を握る手に力が入っている。明らかに期待している。

二十代半ばの王女であっても、美容と若返りという言葉には抗えないらしい。

まだ試験段階ですので、充分な効果を確認する為、大勢の男女に使ってもらい意見を聞きたいと思っています。

王女は真剣な顔で、

それはつまり、被験者が必要ということですわね。


王女の頭が高速で回転しているのが見て取れた。数秒の沈黙の後、にっこりと微笑んだ。


王宮の侍女たちに協力させましょう。二十人ほどおりますの。皆、化粧品や美容には目がありませんわ。それに……

少し言い淀んでから、

わたくしも、その……被験者の一人に名乗りを上げてもよろしくて?

最後の一言だけ声が小さくなった。王族の矜持と女性としての本音がせめぎ合っているのがありありと見える。

侍女を差し出しておいて自分だけ蚊帳の外ではいられないという、至極人間的な動機だった。

わかりました。試験品を10 本作りますので、王宮の皆さんで1ヶ月ほど御使用ください。

効果は人によって違いますので、後日面談にて確認させて下さい。

王女は嬉しさを抑えきれず、

一ヶ月ですのね。承知しましたわ。面談にはわたくしも必ず立ち会いますから。


◆治癒ポーションの王宮試験
こうして治癒ポーションの王宮試験が始まった。翌週、ヨシオは約束通り治癒ポーション十本を王宮に届けた。

侍女長に使用法を説明し、傷や軽い体調不良、肌荒れなどに試してもらうよう依頼した。

一本あたり百ミリリットル、一日一回、体に振りかけるか飲むかすれば効果が現れる。

侍女長は半信半疑だったが、「王女様のご命令ですので」と素直に従った。

一方、薫療師の香水とポーションの国内販売許可については、マルティナが父王に掛け合ってくれた。

「王家御用達」の認可を得たことで、国内での流通は一気に加速する見込みだ。

ただし軍事転用の懸念から、販売数量と使用先の報告義務が課せられた。

これは想定内だった。

さらに隣国への輸出交渉もグスタフが着々と進めており、近く使節団が出発する運びとなっていた。

ヨシオの異世界での商売は順調に拡大し続けていた。

王宮で治療ポーションが好評で、在庫が無くなり補充が必要となった。グスタフ商会の事務所にマルティナ王女が訪れた。

応接室にて対面するヨシオとマルティナ

王女殿下におかれましては、ご機嫌麗しゅう。本日はどのような御用件でしょうか?

王女は扇子で口元を隠しながら、

ご機嫌麗しゅう、ヨシオ様。……単刀直入に申し上げますわ。治癒ポーションの追加をお願いしたいのです。


マルティナはソファに腰を下ろすと、少し声を落とした。


侍女たちの間で大変な評判になっておりますの。

切り傷が跡も残らず治った者、長年の頭痛が消えた者、肌に艶が戻った者……皆、まるで奇跡だと騒いでおりまして。

わたくし自身も、肩の凝りがすっかり楽になりましたわ。


王女の顔色は以前より明らかに良い。目の下の隈も消えている。十本を二十人で分けて一ヶ月の試験期間、どうやら効果は本物だったらしい。

それで……ここからが本題なのですけれど。


マルティナが居住まいを正した。扇子を膝の上に置き、真っ直ぐヨシオを見据える。


国王陛下が大変興味をお持ちですわ。兵士の訓練や遠征に使用できないかと。それと……他国に知られる前に独占したいとのお考えも。


応接室の空気がわずかに張り詰めた。香水や隣国との交易とは次元の違う話が動き出そうとしている。

身を乗り出すマルティナに微笑みを向け

はい。マルティナ王女のご推薦があった治癒ポーションのご用意、全力でお応えさせていただきます。数はどのくらいご入用でしょう?

王女は少し安堵したように息を吐いて、

ありがとうございます。陛下はまず百本をご所望ですわ。それと、継続的な供給体制の構築も視野に入れておられますの。

百本。現状の生産力で賄える数ではあったが、供給が続けば原材料の安定確保が課題になる。

魔力を込めたポーションは通常の調合より手間がかかる上に、香草の仕入れルートも限られている。


それから……もう一つ。

王女が声をさらに落とした。目配せで扉の外に控える侍従を下がらせ、二人きりになる。

陛下のお耳に入れたのはわたくしなのですけれど、実はわたくし個人としてもお願いがありますの。

マルティナの指先が扇子の縁を無意識に撫でていた。言おうか言うまいか迷っている様子だったが、やがて意を決したように口を開いた。

あの治癒ポーション……肌への効果が非常に高いでしょう? あれを、その……美容に特化したものを作っていただけませんかしら。

陛下には内緒で。


◆美容ポーション
治癒ポーションのバリエーションを開発する。適用効果を特化する事でさらに効果を倍増させる。

私一人では出来ない相談だ。ガルドスと相談することにした。

ヨシオはマルティナの依頼を承諾した。ただし美容特化の開発は一人では手に余る。

ガルドスの知見と協力が不可欠だった。

マルティナには「開発に時間がかかりますが必ずご報告します」と伝え、ひとまず百本の納品を優先することにした。

翌日、ヨシオとマルティナは連れ立って魔術師ギルドを訪れた。

ガルドスは突然の来客、しかも王女の同伴に目を白黒させたが、応接室に通して茶を出した。


……して、何用だ。王女殿下まで引き連れて。

ヨシオが事情を説明した。治癒ポーションの美容特化型の開発、適用効果を絞り込むことによる効果倍増の狙い。

ガルドスは腕を組んで聞いていたが、話が終わると低く唸った。

理屈は分かる。傷や病気に効く万能薬を美容に絞れば、成分が凝縮されて効果は跳ね上がるだろう。だがな……

老魔術師はヨシオをじろりと見た。

万能から一芸に特化するということは、余計な効果を削ぎ落とすということだ。加減を間違えれば毒にもなりかねん。

それに、美容に魔力を乗せるという発想自体が儂の専門外だ。肌の美しさとは何をもって定義する?

美肌。肌の艶、張り、透明感、細胞の活性化、老廃物の分解と排出、毛穴の開き。肌を美しく保つ効果を狙いたい。

ポーションで擦り込むのが簡単だろう。化粧水や乳液のような薬剤を作成するのは私には難しい。ポーションなら万能薬の応用だ。

どうだ、やれるか?ヨシオは腕を組んでガルドスを見た。

顎髭を撫でながら、

ふむ……具体的だな。万能を捨てて肌に特化するか。悪くない発想だ。ポーションの形なら調合の知識も活かせる。

ガルドスは立ち上がると棚から一冊の古い書物を引っ張り出した。革の表紙は色褪せているが、中身は丁寧に保存されている。

百五十年前の薫療師の文書だ。ここに美容用の記録がわずかに残っておる。読め。

ヨシオがページを開くと、古代文字で書かれた記述があった。肌の再生を促す香草として「白蓮花」と「月露草」が挙げられている。

この二つをポーションに溶かし、魔力で活性化させて肌に塗布する。

細胞の新陳代謝を加速し、老廃物を排出させて肌本来の美しさを引き出すという理論だった。

 



しかし注意書きもある。魔力が強すぎれば肌が耐えられず逆に炎症を起こす、と。


要するに、お前の腕次第ということだ。まずは一本試しに作ってみろ。白蓮花なら王都の薬草店で手に入る。月露草は……少し厄介だな。

王女は目をきらきらさせて、

月露草なら王家の温室にございますわ!

白蓮花と月露草は手に入る様だ。それらを蒸留して調合して魔力を追加する。

そして被験者に試験してもらい効果を確認する。言うのは簡単だが並大抵のことではない。一度工房の工員と相談してみることにした。


◆美容ポーションの効果
数日後、ヨシオは工房に戻った。シーラ、フィン、ベルクの三人を集めて新しい開発計画を打ち明ける。

美容ポーションという未知の領域に、三者三様の反応が返ってきた。

シーラは肌に魔力を乗せるなんて……考えたこともありませんでした。

フィンは蒸留は任せてください。植物の精油を抽出する技術なら心得があります。

ベルクは被験者なら工房の女衆が喜んで協力するぞ。うちの嫁なんか新しい化粧品と聞いただけで目の色変えとったわ。


ベルクが豪快に笑い、場の空気が和らいだ。早速、材料集めが始まった。

ガルドスから白蓮花の根茎と月露草の花弁を分けてもらい、フィンが蒸留器の準備に取りかかる。

工房の女性陣も自主的に手伝いを申し出て、試作品の被験者志願者はあっさり二十人以上集まった。

二週間後、試作一号が完成した。透明でほのかに甘い香りのする液体。

フィンの蒸留技術で白蓮花と月露草の成分を丁寧に抽出し、ヨシオが魔力を注いで仕上げた。見た目は美しいが効果は未知数だ。

被験者第一号はシーラだった。恐る恐る腕の内側に塗り込んだ瞬間、肌がほんのり発光した。

翌朝、シーラの肌は驚くほど滑らかになっていた。

これなら美容ポーションの効果は申し分ないだろう。王女様に使って頂き、感想を聞こう。その上でを量産化しよう。

ラベルはその名のとおり、美容ポーション。

美容ポーション第一号を携え、ヨシオは王宮へ向かった。マルティナに直接手渡すと、王女は小瓶を宝物のように両手で包み込んだ。

まあ……これが。すぐに試してもよろしくて?


返事を待たずにマルティナは侍女を呼び、寝室に消えていった。

しばらくして戻ってきた王女の肌を見て、ヨシオは息を呑んだ。

まるで陶器のように滑らかで、十歳は若返ったかのような透明感があった。


……ヨシオ様。わたくし、鏡を見て泣きそうになりましたわ。

大袈裟ではなく、本心からの言葉だった。目の縁が微かに潤んでいる。

その後、王女付きの侍女たちにも試してもらった結果、全員が絶賛した。

「肌が生まれ変わった」「もう手放せない」と口々に語る侍女たちは、もはや美容ポーションの虜だった。

こうして美容ポーションの量産化が決まった。一本当たりの原価は治癒ポーションより

高くつくが、需要は確実に見込める。王女という最強の広告塔もついている。

ヨシオの工房は、また一つ新たな柱を手にしたのだった。

 

次回に続く

 

第7章
◆花々の廃棄処理
◆魔力式紙漉き装置
◆リサイクル
◆魔力量の調整
◆ワイバーン
◆ロックリザード
◆ミスリルの精錬
◆完成したポーション