「あなたは嘘つきですか?」と聞かれたら、どう答えるべきか。

 

「人間は嘘をつく生き物で、嘘がつけるということは知能の高度な発達である」というのをテレビで見て、「それな」と至極得心した次第。ずいぶん前にも聞いたことがある話ではあったけれど、改めて考え直したというか。

 これを踏まえ、冒頭の質問で「いいえ、私は嘘つきではありません」と答えたとしたら、それがすでに嘘になるのであって、嘘つきを証明してしまうようなものなわけで、かと言って「はい。私は嘘つきです」と答えたとしたら、理屈上は正直なのだけれども、言葉上は嘘つきだと肯定宣言しちゃってるわけで。

 結局、どっちを答えようが行き着くのは「嘘つき」になっちゃうよねっていう、たまに出くわす無理ゲー的な質問の代表格が、冒頭の質問だよなぁと思ったり。

 

「正直者であれ」ってのは、人としての基本だと幼い時から教えられるもの。正義感や倫理観の根幹であって、嘘をついて人を騙したり、大切なことを誤魔化したりするようでは、誰からも信用されなくなってしまうから。事実、とんでもない悪事は小さな嘘から始まったりするものだし。

 けれども、世間で言う「優しい嘘」というやつは、人と人が交流しようと思ったら必ず必要になるもの。例えば、初対面の年配者に、見た目通りに正直に「老けてますね。何歳ですか?」と尋ねたら、「何をぅ!この無礼者め!」って気分を害するに決まっていて、「お若いですね。おいくつですか?」なら答えてもらえたりする。このやりとりで分かる通り、嘘は礼儀であり、人は嘘を欲しているわけだ。

 

「私は正直者で、嘘つきは嫌い」。

 そう言う人は「芯が通った正しい人」とされる。けれど、芯を通すことが果たして正しいのか、と僕はいつも思う。そういう人ほど、前述のような礼儀を重んじ、而して嘘を欲していたりするから。頑固さよりも柔軟さの方が未来のために役に立つと思うのだけれど。

 で、冒頭の質問には「私はたくさん嘘をつきます。ごめんなさい。でも、大切な時には嘘をつかないで居たいと思っています」という曖昧極まりない答え方をしたりして、「面倒くさい人」のレッテルを貼られたりします。まったく、どうすりゃいいのさ。

 ちなみに、「右の青い服と、左の赤い服、どっちが似合うと思う?」っていう無理ゲー質問、あれは本当にご勘弁願いたいです。