煮詰まっちゃった時は、違う角度から考えてみることが有効だ。
その分だけ、少し気持ちが広くなって、余裕ができるから。
ぎゅうぎゅう詰めの席に座った時より、
両隣が空いている席に座った時の方がゆったりできるのと同じ、だと思う。
「なんてね」って笑うことができれば、それでいい。
200年も遡れば、誰もインフルエンザになっていない。
なぜか。
答え。「インフルエンザ」という病名はなかったから。
インフルエンザウィルスが発見できる装置が発明され、
こいつが悪さをしていると発見されるまでは、
「いやぁ酷い風邪に罹った」で終わっていたからだ。
新型新型と言うけれど、言葉としては本来「新発見型」であって以前から居たのかもしれない。
石鹸や消毒薬のCMで「手にはバイキンがいっぱい!」というように、
常在菌や常在ウィルスなんてのは五万といて、全てを把握するなんてできないはずだ。
現に「風邪」という病名は、
「よく分からないけど何かの細菌のせいで咳や鼻水や発熱しちゃう病気」を総じてるもの。
人類が自然界を全て見知ったものと勘違いして、
未知の宇宙人が襲ってきた的なパニック映画の様相を呈すのは、いかがなものか。
じゃ、そんなバイキンだらけの中で、なぜ普通に生きていられるのか。
生命の神秘は「免疫」という機能を長大な時間をかけて作ってきたから。
例えば、一昔前なら結核は死の病とされてきたけれど、
吸い込んだらたちまち死に至る毒ガスのようなものではなく、
ずいぶんと養生して、うまく治せなかった者が亡くなっていった。
じゃ、そのずいぶん養生する間はどうしていたか。
誰かが世話を焼いていたのだ。
その誰かが皆、死に至った訳ではない。
もしそうだとしたら、その時点で人類は滅亡している。
病んだ人を看病できるほどの優れた機能が、免疫だ。
だからこそ、栄養、睡眠、清潔、ひいては手洗い、うがいが大切になる訳だ。
今も、病んだ人を必死の思いで治療している誰かがいる。
そんなことも想像できずに、排他的行動をしまくった後で、
自分が罹ったら「誰か助けてください」なんて、みっともない事この上ない。
「中国で死者が3000人」。
大変だ大変だ。大流行だ。みんな死んじゃう。
さて、その割合はどうなんだろうか。
分子は3000人。じゃ分母は?
答え。14億人。
じゃ割合は?
答え。約0.0002%。およそ50万分の1。
「日本で死者が15人」。人口は1億2千万人。
割合は、約0.00001%。およそ1千万分の1。
銀行の普通預金の金利はタダみたいなもんになったよね。0.001%。
交通事故で亡くなるなんて不運だよね。年間死亡者数3200人。約0.003%。
年末宝くじ1等が23本!23人も億万長者か!これは買わないと!…0.000005%。
住宅ローンは0.5%。マイカーローンが1.9%。
日本の感染者数(クルーズ船含む)1380人。
うち症状が改善し、退院した人数510人。
現況で罹ったとしても、およそ40%、4割の人は改善している。
果たして、何の割合が高くて、何が低いのか。
怯えて逃げるのは容易い。
けれど、ちゃんと怖がり、立ち向かう勇気を持つのは難しい。
だからこそ、こういった機会に、自然や歴史、数学や国語を見つめ直し、
何をどう読解するか考えるべきだろう。
ここまで生き抜いてきた人類には、叡智という財産があるのだから。
なんてね。