夜に降った雪が、今日は消えなかったね。
いい天気だったけれど、空気は冷たかった。
風邪など引かないように、ご自愛ください。


モダン・アート。コンテンポラリー・アート。現代美術。

「う~ん、苦手~」って声が聞こえてきそうだ(笑)
僕が出会った多くの人たちの第一声の第一位だからね。

「芸術鑑賞の上級者向け」
そんなイメージが抜けないよね、現代美術って。
格言う僕も、詳しくなんかない。

ただ、現代美術を考える度に、いつも思うのは、
芸術に、正解を求める人が多いってこと。

もちろん、作者が意図していることや伝えたいことはある。
それを読み取ることは、一つの正解と言えるのかもしれない。
また同じ志を持っている人などには、卓越した技巧も正解となるだろう。

でもね、そんなのは後回しでいいんだよ。
桜を見て、綺麗だなぁと思ったり、
はらはらと落ちる銀杏を見て、儚いなぁと思う。
芸術も、それでいいんだ。

前に立ち、感じて、物思う。
ただそれだけだと思えば、現代美術はきっと面白くなる。
「分かってねぇな」なんて言うヤツを恐れなくていい。
そういうヤツに限って、子供のあやし方も知らないような無知が多いんだ。

肩の力を抜いて、素直な気持ちで対峙する。
そんな風にモダン・アートを楽しむ人が増えたらなぁって、
僕はいつも願う。


現代美術は、大体1900年頃からの美術のことを指す。
・・・って言ったって、実際は「美術史」って学術体形のための区分けだ。
いつの時代だって、芸術家は「現代」を表現しているんだから。

時の流れ。時代の流れ。人々の思い。
先人たちの知恵を踏襲して、さらなる模索を続ける。
美術も同じだ。歴史なんだよ。

新しい美術。新しい感覚。
現代美術を、そう思っている人も多いけれど、
僕は、批判から始まる「新たな問い掛け」だと、思ってる。
「概念となったものを打ち崩したい」という、新たな問い掛け。

批判とは、「本当にそうかな?」「それでいいのかな?」って思い。
これって、先に何かがないとできない。
先人の残したモノ、広く認められたモノがあって、考えることができる。

初期の現代美術運動に感じる激しさは、
批判から始まることが多いからだと、僕は思ってる。
「批判的」って聞くだけで、攻撃的なイメージが沸くでしょ?
モナリザにヒゲを足したり、スクラップを積み上げたり、
安定した毎日を壊される感覚に襲われることも多いから。

ロックミュージックを聴く。
今の生活では、ごく当たり前のこと。
でも、最初の頃は、皆ビックリした。
大抵の人は、喚き散らして、楽器をかき鳴らして、やかましいだけと感じた。

政治や習慣、確立されたものに問い掛けたい気持ちが、ロックを生んだ。
電気が普及し、エレキギターが開発されたような、科学・技術の進歩もあった。
歴史の流れの中で、人々の考え、思想は変遷していく。

現代美術は、ロックのようなもの。
難しく考える前に、聴いてみるのが一番。



ポンピドゥー・センター。建物自体が作品だ。1977年の開館時は驚いただろうね。
色んな施設が入ってて、4F5Fが国立近代美術館。むき出しで波打ってるのがエスカレーターで、このパイプを通って美術館に行く。


隣接する池。ストラヴィンスキー池というらしい。後ろの建物と噴水の対比が面白い。



M・デュシャン『泉』。
既製品の小便器に「R・Mutt」とサインしてあるだけ。リチャード・マットという架空の人物の名で作品を発表したから。1917年製作のものは無くなってて、レプリカなんだね。知らなかった・・・。
「これはもはや便器ではない」という問い掛け。困っちゃうよね~、便器だもの。それもそのはず、発表しようとした展示会の選考委員はボツにしたんだもん(笑)美術に詳しいはずの委員がね。
それがデュシャンの言葉通り、「新しい思考を創造した」作品として、名作になったんだ。で、今の美術に詳しい人は「これを知らないのか?」って呆れ顔をするんだ。不思議だね、人って。「こんなのもあるんだよ」って教えてくれればいいのに。



P・ピカソの絵。作品名は控えてない。
醜い絵でしょ~(笑)そう、『アヴィニヨンの女』が最初に発表された時に言われた批評は、醜い絵。キュビズムなんて認められなかった。
「遠近法が、絶対に美しいの?」「細かく描写することが正しいの?」って、ピカソは考えた。・・・たぶん。ちょうど写真も発展してきてたし、「絵にできることって何だ?」ってのもあったと思う。・・・たぶん。
信号機が「止まれ・もうすぐ止まるんだから注意しろ・進んで良し」って、文字で書いてあったら困るよね。「赤・黄・青」の色だから、成り立つ。丁寧や具体性だけが良いものじゃない。シンプルで美しいもの。そんな美しさも、世の中にはある。
「女性の美しい部分をシンプルに捉え、美しい部分と部分をもう一回、美しいバランスで組み立ててみよう」って、ピカソはやってみた。・・・たぶん。
鋭角な肩。乳房の丸み。首を振った時の影。女性の美しさを一枚の絵に描こうとした。
カタチ(キューブ)にどれほど意識を高めてたかは、最後に線を書きなぞらえていることでも分かる。ただの塗り絵だったら、逆でしょ(笑)
ほら、ピカソの情熱と美しい絵が見えてきたでしょ。・・・たぶん。


もう一枚、P・ピカソ。
きっと、寝返りを打った時の女性のお尻が、あまりにも美しかったんだよ(笑)


外観以外はスマホだからね・・・。ちょっと色が落ちちゃうんだ。ごめんなさい。
食わず嫌いな人に、もっと現代美術を楽しんで欲しいなって願いの記事になっちゃった。
また次回に、もう少し作品も紹介しますね。