昨日6月1日(土)に自然食料理店「じぃ家」でアリス・ウォータース ドキュメンタリー映画上映会&ランチ会に参加した。アリス・ウォータースさんは1944年生まれのアメリカのシェフ、レストラン経営者、活動家、作家で、1971年にオープンしたアメリカ・カリフォルニア州バークレーにあるアメリカで最も予約のとれないレストラン「シェ・パニーズ」の創業者であり、オーガニック、地元産の食材を使用し、カリフォルニア料理の先駆者として知られる。ライフワークのひとつとなっている「エディブル・スクールヤード」は学校の庭園で、生徒が作物をともに育て、ともに調理し、ともに食べ、生命のつながりを学ぶ試みで、子どもたちの人間としての成長を促す機会となっているという。などと書いているが、私はこのイベントに誘われるまでこの人のことは全く知らなかった。いかに私一人が知っていることなど世の中の限られた僅かなことであり、知らない世界がたくさんあるのだなと思わされた。ドキュメンタリー映画は、2023年にアリス氏が日本のスローフード文化が根付く地域や、地球にも人にも優しい暮らしを、広げていこうとしている学校や地域を訪れた模様を記録したもの。島根県の海士町や徳島の神山町といった地域おこしの世界ではお馴染みの場所でそこで活動をしている面々との交流、そしてカリフォルニアの「シェ・パニーズ」で働いている従業員たち、しっかりとしたポリシーを持ち懸命に生きている彼らの言動は清々しいものだった。そしてこのイベントの愛媛開催をした「NPO法人きずな」の代表、森嘉代さんの揺らぐことのない姿勢にあらためて感動した。私が2012年に小林先生が人本経営という言葉を生み出す以前に作った「2割企業創出プロジェクト」講座に参加した際、受講生として森さんに出会って以来の付き合いなのだが、彼女も「環境をいかし自然の摂理に沿いながら、地域で誰もが豊かにいきる「食」「農」「健康」をテーマに日本の伝統の食や文化を育てていく」といった活動は中々結実せず、多くの辛酸をなめたことも知っている。しかし、現在提携しているエルパティオ保育園が成功事例となり、世の中への広がりを実感できるようになったそうで、本当に良かったと思った。「世の中に広がる化学物質で汚染された食べ物を批判することはしない。それをやったら対立であり、戦争になる。私たちだったら、こうしようと別のやり方を提示するようにしているのです。」その通りだと、わが身を顧みると反省することが多い、森さんの言葉である。ただ、世の中の多くの人はこのような食を大切にすることに関心を払わず、味がはっきりしているジャンクフードや添加物たっぷりの調理済み食材を食べ、ますます健康を害するといった悪循環に陥り、経済的に余裕のある上流は、自然食品を食べ、健康になり今の社会的地位を確保し続けるだろう、一種の格差社会の象徴のようなものかもしれない、そんなおかしな感想を持った。それを解決するのは現場で自然食の大切さを啓蒙している実践家にいうべきではなく、別の役割の人がはたすべきことなのだが、一人一人が意識を持ち自分に出来ることをする以外ないし、そうしていくことで世の中は変わっていくかもしれない、そう信じるのが一番だろう。松山での上映会&食事会は6月3日(月)~6月5日(水)にもまだあります。お時間ある人はぜひ。