壺中100年の会in愛媛・香川の二日目は四国中央市の江南ラミネート株式会社を最初に訪問した。
愛媛県外の方はご存じないかもしれないが、会社所在地の四国中央市は300社も紙関連の会社がある日本屈指の製紙会社の集積地であり、これだけ会社があれば、お客さんのどんな要望にも応えられる、お札と切手以外なら何でも印刷できるという、特色のある地域であり、江南ラミネート株式会社は現石川社長のお父さんが起業した紙加工会社で、2代目として現社長は跡を継いだ。
小林先生の人本経営実践講座やベンチマークツアーにもたびたび参加され、着々といい会社となりつつある。
石川社長のお話、社内見学、社員さんとのクロストーク等の内容をまとめてみる。
☆今回の社長の講演のサブタイトルが「野武士集団から地域に愛される会社へ」というもので、石川社長が8年前に世代交代で帰ってきた時は社員同士挨拶もしない、社員同士の会話は愚痴や不平不満、他の社員の悪口ばかりという、最悪な社内の雰囲気だったという。
幸いにしてベテラン社員たちは技術力はあり、売り上げは伸びているのだが、新入社員は教える先輩社員が支配型リーダータイプばかりで、退職者が続出、離職率は34%にものぼっていたという。
☆まずは社員の「人間力の向上」を目指して、社風をよくする研修を受けさせた。
「致知」をテキストにして社内勉強会の「木鶏会」を月1で始めた。
社内SNSトークノートを導入して、社内コミュニケーションに努めた。
定期的にボウリング大会をした。
4人集まればクラブ活動として認めさせるようにした。
等々。
最初のうちは、仕事だけやってればいいだろう、何が人間力の向上だと不満を持つ社員もいたそうだが、ベンチマークツアーで他社を見学したりする中で、いかに自分たちが井の中の蛙かということを知り、だんだんと社長の言うことを聞くようになったそうである。
☆私が感じたことは、石川社長は実に素直に多くの人本経営企業で実践されている事を取り入れている。
柔和な表情は前日の威厳を感じさせた駄場元社長とは個性が正反対だが、父親時代と対極をなすような経営方針を推し進めていくにあたっては、「うまくいったことばかり話しましたが、実際は3歩進んで2歩下がる、といった具合でうまくいかなかったことも多く、そのたびに落ち込むことも多いです。」
という発言もされたが、謙虚な、一見自信無げな風貌も、「普通の人」っぽい。
要は「人本経営」は、強烈な個性や卓越した手腕がなくても、達成が可能だということだ。
何たって社長が命令しなくても、社員の方で勝手に動いてくれるのだから。
☆社内見学もさせてもらい象の絵が描いている休憩室なども見せてもらった。
これらの休憩室も社員間でプロジェクトチームを組んでワイワイガヤガヤ楽しく企画を出し合い完成したものだという。
社長も地域への恩返しという意味もこめて、子供たちが学校を卒業したら、喜んで働いてくれる職場を提供したい、
という想いもあっていい会社づくりに邁進しているのだが、
多くの求職者が地元四国中央市出身だったのが、最近は他の地方からも就職希望者が増えているのだという。
社長が講話の中で説明された多分これは学生の会社説明会で話すことだと思うが、
「就職とは会社との結婚のようなもの。
就職とは人と法人の結婚といえるかもしれません。
江南ラミネートの会社説明は、他社とは趣が違うかもしれません。
というのも会社の規模や売上、製品の話はほとんどしません。
結婚相手を選ぶとき、歴史ある家柄、財産や着飾ったブランドなど見た目や外見で選びますか?
私は違います。性格、考え方や価値観が合う人など内面で選びます。
だから江南ラミネートという法人の外見よりも内面を知っていただけるような会社説明にしています。
私たちと価値観や考え方が合う人と共に働きたいからです。」
こんなメッセージが若い人たちには刺さるのだろう。