昨夜、WOWOWで映画「ドライブ・マイ・カー」(村上春樹原作 濱口竜介監督)を見たが、中々面白かった。

カンヌ映画祭やアカデミー賞の様々な部門で各賞を受賞した作品だが、調べてみるとアカデミー賞の前哨戦とも言われ、

もっと個性的な作品が好まれる全米映画批評家協会賞で「作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞」の4冠を獲得しているのだから、玄人受けする作品と言えるかもしれない。

妻を亡くした男性が抱く喪失感を克服しようとする物語ということで、

高倉健さんの遺作「あなたへ」と似たところがあるかなと思っていたが、全然違った。

いくつかのストーリーが重層的の織り成す構成で主演者の心象風景を表現するのに、饒舌であってはならず、

かといって観る者に解釈を委ねる式でとんでもなく滑ってしまうのがこの手の作品には多いのだけど、

それをぐいぐいと引っ張っていけたのは、監督の力量というものだろう。

ツボを押さえた脚本が素晴らしく、演者が演技らしく見えない自然な演出が凄い。

何よりロケ地広島が良かった。瀬戸内の穏やかな空気感がこの映画にはぴったりだった。

ただ、全ての人にお勧めする映画ではない。3時間もの長編なので、途中寝てしまう人も多いだろう。