写真は全く関係のないあべのハルカス

 

7月5日今回、最後のベンチマークは株式会社ベル、私は2013年にも訪問させていただきました。
ビルメンテナンスの会社で、社長は奥斗志雄さん。
1992年に会社設立するも、2000年に元請けから突然の契約解除の通告を受け大口顧客を失ってしまう。
この業界は景気が低迷すると各企業は真っ先にビルメンテナンス費用は、
経費削減の対象とされ切り捨てられる、あるいは相見積もりを取られ、値下げを余儀なくされる。
売上は4割ダウンし、倒産の危機が現実味を帯びてきます。
しかし、そんな中でも頼ってくれる社員たちがいる、彼らを路頭に迷わせる訳にはいかない、
自分を信じてくれる社員、家族を幸せにしたい、さらには社是を
「仕事を通じて関わる人を幸せにしましょう」とし、
社員を「社会の財産」とまで明言します。
そして、通常レベルの業務だけでなく、「そこまでするか」「さすがプロ」と言われる
感動レベルのサービスを行うことをスローガンに掲げ、2006年には
「日本一の感動企業になる」と感動経営計画No1宣言を行います。
具体的な手法については、2013年の私のレポートを参考にしてください。
今回の訪問で驚いたのは、会社が新事業に着手していたことで、
2019年に保育園を開園、2021年にデイサービスを開所してます。
いずれも保育園は子育てしながら仕事をしている社員を抱えていたり、
デイサービスは仕事柄高齢者が多くいずれ彼らが快適に通える施設を作りたいとの希望だったようですが、
「ベルシティー構想」といい、人々を幸せにする色んな事業で町を一杯にして
そこを利用し関わる人たち全てを幸せにしようというもの。
これは通常の「経営の多角化」や「事業の拡大」といったものとは一線画す、
画期的なものですよね。
そういえば前日のヒグチ鋼管さんも、M&Aを今後は推進していく旨を話されてましたが、
同じく単なる規模の拡大ではなく、「幸せ軸の企業数を増やすことで幸せを感じて働く人も増える」
といった一種の社会運動のようなものです。
以前、愛媛県中小企業家同友会の故鎌田事務局長が、
「同友会は社会変革運動」なんですよ、
と言われていた意味が、人本経営とは違う組織体だけど、今回のツアーで分かった気がします。
誰に指導された訳でもないのに、企業活動が周りを巻き込んで結果多くの人を幸せにしているのです。
社長の説明の後、若手社員が入社のきっかけや現在の仕事のことなど話してくれましたが、
さすがに介護事業は求人難だということです。
しかし、彼らには揺るぎない自信と信念が感じられ、とても頼もしく思いました。
彼らを嬉しそうな表情で眺めている奥社長は、週末の釣りが趣味と言うだけに、
赤銅色に焼けた肌が男らしさに溢れ、矢沢永吉をさらに陽性にしたような明るさ、エネルギッシュさを感じました。
解散地、新大阪までバスの中でそれぞれ感想を参加メンバーで述べ合ったのですが、
皆さん一様に感動し、明日から事業所内での課題にどう取り組むか思案されているようでした。
多幸感に満ちたベンチマークツアーでした。