人本経営実践講座大坂ベンチマークツアー1社目は、
ヒグチ鋼管株式会社でこちらの樋口社長と部下の小川さんとは、
過去のベンチマークツアーで何回もお会いしたことがあったが、
会社にうかがうのは初めてで、楽しみな訪問でありました。
「人本経営の実践により社員の力で自走する会社へ 人を大切にする会社を増やすことへの挑戦」
というのが本日の会社説明会のタイトル。
初期、中期(現在進行中)、将来 のやってきたこと、
やっていること、やりたいこと、をそれぞれ細かく説明してくれました。
人本経営実践初期には
①社員の待遇を見直し、給与体系を変更
②福利厚生を充実化
③経営方針を策定(人本へ舵を切る指針を創った)
④理念採用を実践(幸せ軸のヒグチ鋼管へようこそ)
⑤人本経営実践講座へ幹部社員を送り出す
⑥仕入れ先への歩引き支払いの全てを廃止
これらのことをおこなっていったそうですが、
一つ一つについて詳細に記すにはスペースがないので省略しますが、
後で裏話で聞いたところによると、決して最初からスムーズに行ったわけではなく、
3年目くらいまでは中々社員に理解されなかったということ。
しかし、樋口社長は決してぶれることなく、愚直に自分の出来ることから率先して行っていった。
この日も我々見学者にふるまわれた玄米おにぎりは淹れたてのコーヒーとともに、
社長自ら作ってふるまうようにしたそうです。
実践初期の行動で得られた結果、色んな変化があったのですが、
劇的だったのは、「社員の幸せを一番に考える経営に取り組んでいる」
ことを全面に出して採用活動をした結果、1度に10名もの中途採用に成功したことでしょうね。
実践中期、現在ヒグチ鋼管で行われている事は、4つほどあったのですが、私が印象深かったのは、
2点ほどあり、
人本経営に惹かれ入社した社員が、会社の中心となっていった結果、
質の高い大卒新人が毎年入社するようになり、
中途採用する必要がなくなり、採用に困らなくなったそうです。
(新卒は募集枠3~4名に対し、応募総数は30名以上)
営業も今までの提案型営業から困っている点をヒアリングする傾聴型営業に変えていった結果、
売上も倍近い伸びになったとか。
これはお客様は「小ロット短納期」の結構製造現場の嫌がる案件もできる限り誠実に対応していった結果であって、
これは営業、受注などの事務、現場のお互いの信頼感・一体感があってこそできたことだと私などは推察し、
それにはまず手法よりも、風土の醸成が何よりだと改めて確信しました。
現在は賞与額も社員が決めているそうです。
自立・自走の組織、ここに極めれり、といったところでしょうか。
私が今回の訪問で新たな発見であったのは、M&Aが人本経営と極めて親和性が高いということ。
かつて樋口社長の右腕でしっかりサポートしてきた小川さんが、
現在は令和3年12月に合併した溝口工業株式会社というところにいって会社経営している現状を話してくれたのですが、
従来のM&Aは「大が小を食う」、弱肉強食の世界で資本力のある会社が強引に推し進めるイメージがあり、
私などあまりいい印象を持てなかったです。
しかし、ヒグチ鋼管が進めようとしているM&Aは、全然ちがっていて、
1.社会問題化している後継者不足による黒字廃業が相次ぐ「ものづくり企業」の受け皿となり、
その存続発展のお手伝いをすることで業界に寄与すること
2.買収先の企業を人本経営を実践することで「良い会社」にし、人を大切にする企業を増やすこと
3.ヒグチ鋼管の社員を「経営」という新たなステージを用意することで、社員の成長を促進すること
などであると。
小川さんは、人本経営の素晴らしさをヒグチ鋼管で実現できたので、
他社で同じことができない訳がないという信念のもと、会社経営を行い、
随分、社風も業績も向上したということです。
この後、登場した入社後数年と言う若手社員が登壇し、入社のきっかけや現在の仕事についての感想を
述べてもらいましたが、小川さん同様、会社の仲間や人本経営に対する迷いが少しもなく、
実にしっかりしていたのが印象的でした。
そして樋口社長も登場し幾つか話された話で印象的だったのが、
昔は社長の役割は「先頭に立つリーダーで、先陣を切った営業活動」をするものと思っていたが、
現在は「会社の一番後ろにいる管理人で、社員の成長の後方支援」と言う風に変化したと。
これははたと思い当たる点があり、先頭に立つリーダーなんて誰にでも成れるもんじゃない、
プロ野球でも150kmのスピードの出せるピッチャー、年間ホームラン30本打てる打者は、100%才能だけど、
2番バッター(今の昔の4番打者のような2番とは違う、3番4番打者につなぐ役割の2番打者)は、
育てるのは可能だと名将野村監督は言ってましたね。
人本経営的な人を支援する役割の社長になることは、多くの経営者には可能ではないかと、
お土産にもらった樋口社長直々の手作りおにぎりをホテルの夜食で食べながら、
色々と思うことの多かったヒグチ鋼管ベンチマークでした。