4ヶ月ぶりの投稿記事です。男性不妊クリニックの新規立ち上げで不眠不休の4ヶ月間でした。本日はちょっと怖い(困った)話題です。
昨年非常勤で勤めていた、とある高度生殖医療施設でMicro TESEをしてきました。その施設の方針で外来と手術は同じ担当医になってはおらず、手術台に載っている患者さんとは初対面でした。精巣をいつものごとく触診で異常が無いことを確認してから、精巣を切開したのですが、中から小さめの腫瘍が複数個顔を出して来たのです。小さめとはいっても術前に超音波を正確にすればはっきりわかる大きさです。Micro TESE の後で悪性腫瘍(癌)であることが確認されましたので、大学病院泌尿器科に紹介し、結局高位精巣摘除術が実施され、鼠径部から精巣のすべてがまるごと摘出されました。もしMicro TESEの前に正確な診断がついていれば、2回の手術を受けずに済んだところ、ご負担される手術代もダブルとなってしまいました。もっと悪いことは、本来的には癌の進達度は精巣内に留まっていたところが、手術で切開してしまったために癌の進達度は精巣外にちらばったと判断されて病期ステージはアップしてしまい、後に転移を起こさないように抗癌剤治療を受けることが検討されました。抗癌剤治療を受ければ反対側の精巣もダメージを受けることになりますので、不妊治療の上では大きなハンディキャップを持つことになってしまったのです。
もうひとつの事例です。とある不妊治療専門施設より精索静脈瘤手術を勧められたと小生のもとを受診された方がおられました。診察させていただいたところ、精索静脈瘤と言われた側の精巣の中に超音波で腫瘍が発見されたのです。これでは精索静脈瘤を折角治しても、先ほどの患者さんと同じく、いずれ高位精巣摘除術が必要となりますから、精索静脈瘤手術をしても全く無意味です。精索静脈瘤の手術どころではないので、ただちにガンセンター泌尿器科に紹介して手術をしていただいたところ、やはり悪性腫瘍(癌)でした。
実は男性不妊患者さんには一般の方に比べて精巣腫瘍(癌)を始めとして悪性腫瘍(癌)や生殖器、内分泌の病気が見つかりやすいことがわかっています。しかし生殖医療のみを行っている施設ではそうした視点で診療をしていません。また外来や手術の担当医がコロコロ変わることも治療方針の一貫性が維持できず診療の責任の所在がはっきりしなくなる原因になります。
結論を言えば、高度生殖医療に付随した男性不妊外来ではなく、泌尿器科診療と生殖医療の双方を専門に実践する医療施設の受診を勧めます。全てがそうだとは言いませんが、高度生殖医療施設に付属した男性不妊外来は動物園の客寄せパンダと事実上変わりません。高度生殖医療に比べて利益の出ない男性不妊診療を高度生殖医療施設の高収入で代償している男性不妊診療の現状も変えていかなくては行けません。そのためには男性不妊診療を高度生殖医療と独立して実施することと、男性不妊診療単独で採算性の合う診療にすることが必要です。
昨年非常勤で勤めていた、とある高度生殖医療施設でMicro TESEをしてきました。その施設の方針で外来と手術は同じ担当医になってはおらず、手術台に載っている患者さんとは初対面でした。精巣をいつものごとく触診で異常が無いことを確認してから、精巣を切開したのですが、中から小さめの腫瘍が複数個顔を出して来たのです。小さめとはいっても術前に超音波を正確にすればはっきりわかる大きさです。Micro TESE の後で悪性腫瘍(癌)であることが確認されましたので、大学病院泌尿器科に紹介し、結局高位精巣摘除術が実施され、鼠径部から精巣のすべてがまるごと摘出されました。もしMicro TESEの前に正確な診断がついていれば、2回の手術を受けずに済んだところ、ご負担される手術代もダブルとなってしまいました。もっと悪いことは、本来的には癌の進達度は精巣内に留まっていたところが、手術で切開してしまったために癌の進達度は精巣外にちらばったと判断されて病期ステージはアップしてしまい、後に転移を起こさないように抗癌剤治療を受けることが検討されました。抗癌剤治療を受ければ反対側の精巣もダメージを受けることになりますので、不妊治療の上では大きなハンディキャップを持つことになってしまったのです。
もうひとつの事例です。とある不妊治療専門施設より精索静脈瘤手術を勧められたと小生のもとを受診された方がおられました。診察させていただいたところ、精索静脈瘤と言われた側の精巣の中に超音波で腫瘍が発見されたのです。これでは精索静脈瘤を折角治しても、先ほどの患者さんと同じく、いずれ高位精巣摘除術が必要となりますから、精索静脈瘤手術をしても全く無意味です。精索静脈瘤の手術どころではないので、ただちにガンセンター泌尿器科に紹介して手術をしていただいたところ、やはり悪性腫瘍(癌)でした。
実は男性不妊患者さんには一般の方に比べて精巣腫瘍(癌)を始めとして悪性腫瘍(癌)や生殖器、内分泌の病気が見つかりやすいことがわかっています。しかし生殖医療のみを行っている施設ではそうした視点で診療をしていません。また外来や手術の担当医がコロコロ変わることも治療方針の一貫性が維持できず診療の責任の所在がはっきりしなくなる原因になります。
結論を言えば、高度生殖医療に付随した男性不妊外来ではなく、泌尿器科診療と生殖医療の双方を専門に実践する医療施設の受診を勧めます。全てがそうだとは言いませんが、高度生殖医療施設に付属した男性不妊外来は動物園の客寄せパンダと事実上変わりません。高度生殖医療に比べて利益の出ない男性不妊診療を高度生殖医療施設の高収入で代償している男性不妊診療の現状も変えていかなくては行けません。そのためには男性不妊診療を高度生殖医療と独立して実施することと、男性不妊診療単独で採算性の合う診療にすることが必要です。