彼が学生のころからの知り合いであり、一緒にはプレーしていませんがエストレーラで選手としてやっていたこともあり、旧知の中でずっと応援してきておりました。
そんな彼が今期で退任することになったわけですが
先日行われたリフレッシュ研修に自チームの指導のために参加できなかったので
一杯飲みながらいろいろ話を聞かせてよーと連絡をしているうちに
せっかくだから関東で女子に指導者をしている方を集めて懇親会をやろうという話になりました。
ということで、この日が設定されました。
なのであくまで飲み会のノリですので完全非公式ですがこんな感じでプロジェクターを利用しながら相当本格的なディスカッションの場となりました。
参加者は
在原さん(前女子日本代表監督)
米川さん(バルドラール浦安監督/ラス・ボニータス総監督)
内田さん(シュートアニージャ監督)
垣本さん(カフリンガBOYS東久留米監督)
海野さん(TapaZida監督/PANNA FUTSAL)
安東さん(フュージョン監督)
石森さん(府中アスレティックFC総監督/東京都選抜監督)
一応関東リーグ所属チームの監督さんには一通りお声掛けしましたが残念ながら仕事の都合などで来れない方も多数。みんな集まったらさぞかしにぎやかだったことでしょう(笑)
会場は、m.f さん。
http://mf-tokyo.com/
チョリパン食べながら、アルゼンチンビール飲んで、試合映像見ながら熱い議論。
これはなかなか面白かったです。
在原監督は女子代表監督に就任する前は、ミゲルの通訳兼コーチとして働いていた。
そのため就任当初は、ミゲルのフットサルを女子にも同じように浸透させようとしていた。
これが2013年のアジアインドアゲームズまで。
しかし、アジアインドアゲームズでイランを破り3連覇を成し遂げたものの
彼から見ればそれは偶然の勝利に近く、イランの守備を一向に崩せなかったという印象が残ったとのこと。
当時のイラン女子日本代表は、カンデラスを総監督にしてゾーンプレスを採用していた。
ロシアをはじめとする世界の強国もゾーンプレス。
当時の日本代表の試合映像を見ても、まったくそこを回避することができず、下で奪われて失点というシーンが多かった。
そこで彼が、日本独自の戦術として考え出したのが2014年以降の在原ジャパンのフットサル。
ヒントは、オシム監督の通訳の間瀬さんとの出会いだったそうだ。
そこでいろいろ話をして相談しているうちに、当時の京都で大木氏が片方サイドに人を寄せてオープンサイドでゾーンを崩すという戦術を取り入れているという話を知り、そこからスタートしたのが在原ジャパンの戦術のベース。
20×40で常に試合をしている海外に比べ
日本の女子の環境ではもっと狭いコートでの試合を強いられることが多い。
であるならば、その狭いコートでの戦いは日本に分があるんじゃないか。
そんな考えもあったそうだ。
長い距離の強いパスの精度が悪い
長いスプリントをした後のプレー精度に難がある
そんな女子の不安要素を消す効果もあっただろう。

極端にやればこんな感じ。
片方再度でボールをポゼッションし、オープンスペースを使って打開していく。
実際これは、ゾーンプレスを行う各国を混乱させることに成功した。
ロシアやブラジルとの試合を見たが、明らかにDFが混乱している。
そしてもう一つの狙いは、ボールを奪われたときにすぐにDFが始められること。
選手間の距離が近いことでそれができるのはバルサのサッカーでも同じですね。
ここまでが2014年までの成果。
しかしここで問題があったのは、崩せてはいるけど、オープンサイドを使った後の距離感が遠く、セグンドが間に合わないという問題。
そこで、2015年は攻撃の時に2-1-1の形を作っていくことをプラスされた。
4-0から2-1-1を作り出すことで深さを持たせ、結果的に攻撃に厚みを作っていくことに成功、それが2015年の形。
ネット上などで、戦術の変更でPIVOを多用したみたいに書かれて批判されていたのを見ましたが、戦術の偏移の話を聞いていてすごい納得できましたね。
2014年のビデオを見ながら、「これだとサポート間に合わないよね」みたいな話が参加者の中からも出て、「だからこうなりました」という2015年のビデオを見て。
あーなるほどねと納得。
いろいろな意見が出てディスカッションしていく中でいろいろなことを感じた会でしたね。
話を聞いていてやっぱり思ったのは
1年間かけてチームを作れるクラブチームと
5日間の合宿で世界と戦わなければいけない女子日本代表の違い。
狭いピッチでマンツーマン同士で行われることが多い国内リーグや国内カップ戦と
20-40の中でゾーンプレスが多い世界での戦い。
国内で活躍してもそれが海外とやる時にどうなるのか。
とてもいい選手だとしても、やりたい戦術をこなせるタイプかこなせないタイプか。
この環境の中で、どうやって世界に挑んでいくのか。
そういう中で新しい戦術を生み出し、あのロシアに勝利をするなど成果を出した
在原ジャパンは改めて評価されるべきだなと。
残念ながら女子日本代表にはまだまだそういう場所がない。
大会前、大会後にディスカッションの場を設けるだけでもだいぶ違うだろう。
その中で日本のフットサルをどういう方向にもっていくのか、真剣に議論していければもっともっとよくなるはずだ。
世界はどんどん成長している。アジアもどんどん成長している。
その中で、大会前の直前合宿だけで戦って来いというのは無理があるし
そこで得た結果がなんのプラスになるのだろうかさえ思ってしまう。
今回アジアで負け、世界でも負けた。
言い方悪いかもしれないが、これが大きなきっかけになることに期待したい。
そして在原監督の次のチャレンジにも期待したい。
まだまだ完成系じゃないだろうしね。
最近、関西や東海に比べて関東の女子が元気がない。
そんなこともありつつ、こうやって関東の指導者で高めあっていける場所を作りたいと思っていたので、今回開催してよかったなと思う。
トリムカップでは東京都選抜が優勝。千葉がベスト4。
関東浮上のきっかけになれば。
次回はトリムカップ報告会でしょうか?
第2回、またすぐにやりましょう。
結構酒が進んでいたので、記憶違いで間違いがあったらすいません。第2回で訂正してね、在原さん。
女子は新しい監督を迎え、戦術も新しくなるでしょう。
求められる人材も変わるでしょう。
競争はもう始まっています。みんなで強い日本代表を作っていけるよう、支えていきましょう。

