参議院選挙でも大敗した自民党+公明党連立政権は、これで衆議院と共に完全少数与党となってしまった。国民の信頼を失った原因はたくさんあるが、安倍政権の経済政策の失敗、統一教会などとの親和への不信、裏金問題の無責任行為、が三大要因とみられていた。そして付け焼刃内閣と言われていた菅内閣、岸田内閣が退場し、党内不人気で党内野党と呼ばれることもあった石破内閣が誕生した。彼は長年の党改革的発言から、自民党を再生させうるビジョンを持った人と見られていたが、いざ首相になってみると、党内最小派閥の悲哀で支援友軍もなく、掲げていたビジョンはすべて封印、旧勢力、大派閥に政策を牛耳られる政権運営となってしまった。そのためこの内閣も抵抗したものの1年で退場となってしまった。

新しい自民党総裁選を迎えたが候補者は前回と同じ顔ぶれ、茂木、小林、林、小泉、高市、で敗者復活戦と揶揄される始末。選挙前評判では44歳の小泉候補と64歳の高市候補が決選投票に進み、小泉候補が選ばれる、はずだった。しかし自民党は今回の総裁選挙での標語は“解党的出直し”だったにも関わらづ選出に威力を見せたのは、唯一残っている派閥麻生派44人を抱える麻生元総理。選出されたのは極右の安倍派高市候補。女性初の総裁、首相になるが問題が山積することになる。週初め、経済界は2.8%円安、4.5%株高で反応した。

過労死に繋がるライフワークバランスは停止、ジェンダーギャップ改善は無視、靖国神社参拝は継続する、外国人の権利の行き過ぎを見直す、など問題発言は当選第一日目に発せられた。さすが彼女は古い自民党、安倍政権期待の星だったことを改めて認識された。

人事ではとりあえず功労者麻生副総裁と彼の従兄弟の鈴木幹事長を内定した。古い自民党への揺り戻し再建だ。彼女の極右発言から、政権連立協力はむつかしいという党派があり、収まりかけていた近隣諸国との摩擦は大きくなる予測がもう出ている。課題には“適時適切に対処する”と紋切り型の返答でかわしたが、彼女の政権運営スタイルからは日本の各種国際比較順位はまだまだ下がってゆく気配が判明した。選んでしまった後でもう遅いが、日本の将来のためにもこの昭和型の内閣は短命であることを願うばかりだ。

それにしても野党のだらしのなさにはあきれる。せっかく国民が与党の弱体化を準備したのに、最大野党の立憲民主党も党勢を落としたため、党執行部に勢いがない。勢力を伸ばしたのは自民党右派から離れていった人々の参政党と国民民主党。しかしこの二党も思いがけぬ勢力拡大で、体制も考えも準備不足で、野党がまとまって自公政権を倒そうとする考えもまとまらず、右往左往するばかりで、自公政権に相乗りすることばかり考えていたようだ。

次の衆議院選挙では勢力がもとに戻るだろうこの二党が、夢を追ってゴチャゴチャやるだろが、日本の国力はますます衰退するばかりで、明るさの見えない時期が暫く続きそうだ。