その放課後デイでもできる限り対策はしてくださっていた。急に扉を開けて走りこむのを防ぐためにタキが来る時のために上に突っ張り棒をしていた。それも、すぐ見破られて突破されていた。
ABAの先生が言うには、物理的に策を講じても、人のやることだから限界がある。一時的にそうしても、ルールを学習することが必ずいる。
本当にそう。するの忘れている日もあった。
毎週、セラピストの先生が変わるんです。先週やったことを、なんで今週やらないのか意味がわからないし、人によってやることも違うし、今週は「さんぽ」と称して施設内見学をするのがなかった。先週いい感じだったのに。
ああ、それ、急に予告もなく内容変えるからです。プライミングが必要なんです。僕らでも急な予定変更は嫌なものですよね。ましてや、こういう子は、ただただショックでガーン!ですよ。これタキくんだからそのぐらいで済んでいただけで、人によっては、1日台無し、なんだったら1週間台無し、もう行きたくない!ってまでなるんです。急な予定変更はわかった時点ですぐに言う。
あ、私の「梅干しないで?」事件と同じか。
毎週セラピストが変わるとやることが変わるというのは、そこの事業所の上の人の問題。僕だったら、職員全員に大きな声だしたら反応しないように言いますね。ルール化します。
先生は、そんなこと子どもにしやがって!って感じのイラついた表情をしたように見えた。
あ、本によく書いてあるやつだ、、、ってなめたことを考えていたら、
対応に一貫性を持たせるっていうのは、こういう子達に必要で、それを意思統一して事業所内で実現するのは難しいことなんです。僕らだったらできますけどね。なまじこの業界に集まってくる人には、それぞれの志があるからです。マクドナルドのバイトだったらできます。志がないから。(マニュアル通りってこと)できないんだったら辞めてくださいって話なんですよ、そもそも。学校の先生は最低限教員免許持ってるけど、放課後デイや児童クラブは誰でもできますから。2歳ぐらいでどのくらいの発達をしてどんな語彙ではなせるのか知らない人がものを教えているんです。教えられるわけがないでしょう?
……。
いや、それは言い過ぎだって。ここら辺で手厚い療育があると評判のところなのにな、レスパイト目的のところじゃないよ。反論したかったけど、言葉が出ない。先生の指摘はことごとくあたってた。なんでみてないのにわかるの?この先生はそういう理解力のない現場をよく見てきたんだろうな。だけどさ、あのタキにものを教えた瞬間は魔法みたいだったんだよ。毎週セラピストは変わるけど、上の先生はすごいと今でも思っているよ。意思統一は上の人の責任か。
誰のことも否定したくないんだ。こんなにお世話になってきたのに。上とか下とかないし!小学校で体験してきたことからも、ネームドロップじゃないんだって。
でも、そこから私が心の支えにしてきたものが、グラグラし始めた。字面にしたらとるに足らないことのように見えると思うが、私は動揺し始めて、そこから、あまり眠れない日が増えていった。どこかで読んだフレーズで、「信じていた世界の底が抜ける」って、まさにそんな感じだった。
ABAの先生が教えてくれることも、放課後デイの先生が教えてくれることも、訪看の若い先生達が教えてくれることも、学校の担任の先生も補助の先生も、みんな必要な要素だ。
ABAの先生が教えてくれたことを、文字に起こして伝えてみたりもした。夜な夜なタイプしながら、何やってるんだろう?って気にもなった。ノーギャラでこのボリューム。一行40字の何行?何ページよこれ。タキのため?自分のため?みんなのため?おこがましいな。国家資格持ってる人達相手に、あーだこーだと。プゲラーされてるのかも。でも、タキはこのままじゃなんともならない。
セラピストが視点を共有するには何が必要なんだろう?だんだんそう考えるようになっていった。