ESCAPE FROM ALCATRAZ
監督:ドン・シーゲル
音楽:ジェリー・フィールディング
出演:クリント・イーストウッド、パトリック・マクグーハン、ロバーツ・ブロッサム、ジャック・チボー、フレッド・ウォード、ポール・ベンジャミン、ラリー・ハンキン、ブルース・M・フィッシャー、フランク・ロンジオ、ダニー・グローヴァー、マディソン・アーノルド
1979年 アメリカ映画
自分では書いたつもりでいて、実は今まで紹介したことがなかった70年代後期の傑作サスペンス。
クリント・イーストウッドとドン・シーゲルのコンビでは最後に製作された作品で、
実話をベースにしていて、当時のイーストウッド作品の中では最も地味な部類の作品になります。
ストーリーは、脱獄不可能と言われるアルカトラズ刑務所で、冷酷な刑務所長の下、多くの囚人が刑に服している中、
寡黙な1人の囚人が淡々と脱獄計画を企て実行に移そうとしていた・・・というお話。
派手なアクションシーンは皆無で、淡々と囚人が脱獄計画を練り、実行に移すというプロセスが描写されます。
無駄のないストイックな演出で、作品全体がキリッと引き締まった感じがします。
途中、脱獄計画が看守に発覚しそうになる件は、定番ながらハラハラドキドキとさせられます。
タイトルが「脱出」となっていますが、無実の罪で収監された囚人ではないので、彼らのやってることはクリーンな印象を受ける「脱出」ではなく、牢破り=「脱獄」でしょうね。
フレッド・ウォードやダニー・グローヴァーなども脇役で出ていました。
音楽は、ジェリー・フィールディング。
正直なところ、本編を観終わった後で、音楽があったことが分からないぐらい、
スコアの印象は残りません。
唯一、メイン・タイトルは、おっさんの大好きなスネアのロールが終始バックに入っているので印象に残ります。
イメージとしては、もやぁ~っとした劇伴をバックに、「荒鷲の要塞」のイントロ部分が重ねてあるような感じです。
個人的には満足なのですが、ほとんどの方はメイン・タイトルから退屈することでしょう。
そして、劇伴ですが、もわ~んとした音響が複数交差するだけのスコアとか、土管の中を流れる空気のようなスコアなど、ほぼ効果音のようなスコアが続きます。
起伏の無い不協和音を重ねたようなスコアもあったり、ほぼ、エクスペリメンタルな実験音楽を聴かされているような状態になります。
当然メロらしいものは皆無で、始めから終わりまで雰囲気重視のアンダースコアです。
エンド・タイトルでは、再びスネアのロールが出てきて安心しますが、邪悪な雰囲気すら漂うイントロのストリングスはほとんど「死霊のはらわた」です(笑)
これを聴いて楽しいかといえば、NOです。
あまりに地味なので、どのシーンで流れていたかも分からず、サントラのクレジットを見て辛うじて分かる程度です。
サントラは、公開当時は当然のことながら発売されず、2013年になって、米Intradaレーベルから
スティーヴ・マックイーンの「突撃隊」とのカップリング仕様でCDが発売されています。
ダウンロード版もありません。
このサントラは、周りに人がいない時にお聴きになることをお勧めします。
鑑賞中のところを他人に見つかれば、「この人は大丈夫か」と心配されること必至です。