ノック 週末の訪問者

KNOCK AT THE CABIN

監督:M・ナイト・シャマラン

音楽:ヘアディス・ステファンスドッティル

主演:デイヴ・バウティスタ、ジョナサン・グロフ、ベン・オルドリッジ、ニキ=アムカ・バード、クリステン・ツイ、アビー・クイン

2023年 アメリカ映画





知らない間に製作されていたシャマラン監督の新作。

このところマトモな作品が多く、シャマラン監督らしくなくなっているので、ちょっとした寂しさはありますが、今回もわりとマトモな超常現象型サスペンスになっています。

ストーリーは、山小屋で週末を楽しんでいた親子3人のもとへ、4人の男女がやってきて、3人を小屋の中で拘束します。

4人のリーダー格の男は、親子3人のうち、1人が死ねば世界を滅亡から救えると言います。あまりに荒唐無稽な話に、親子は4人が集団ヒステリーか何かにかかっていると判断し、何とか脱出を試みますが・・・というお話。

相変わらず何が何だかわからないままお話が進み、劇中4人の訪問者が言っている荒唐無稽なお話が、真実なのかデタラメなのかが分からず、半信半疑のままストーリーが展開します。果たして、この4人は集団ヒステリーにかかっているのか、世界で大変なことが実際に起きているのか、なぜこの親子3人のうち、1人が死ねば世界が救えるのか、全く説明のないままお話が進むので、ある意味引き込まれます。

相変わらず不条理な作品ですが、今回ははぁ?という感じの観客不在のどんでん返しはありません。

ある意味、今回は最初からネタバレしているという変化球です。

本作品は、原作があって、ポール・トレンブレイのベストセラー『終末の訪問者』が元ネタだそうです。

真っ当な作品なので、普通の監督の作品なら満足するのでしょうが、いつもの反則技に近いシャマラン流のどんでん返しが最後まで無いため、見終わってからの物足りなさは否めません😅









音楽は、ヘアディス・ステファンスドッティル。

アイスランド出身の女性作曲家です。

劇伴に始まり劇伴に終わるタイプのスコアです。

ヒリヒリとした感触のあるサスペンスフルスコアです。

全編を通じて不安を掻き立てるような不気味なスコアが中心となっています。

ゴリゴリに低音を効かせた凶暴な音のストリングスがサスペンスを盛り立てます。

アンダースコアばかりなので、聴いていても決して楽しくはないのですが、ラスト近くでようやくメロのある悲しげなストリングス・チューンが登場して、少しホッとします。

スコアの他に、いくつかの歌モノがラジオから流れる形で効果的に使用されます。劇伴奏が無味乾燥なだけこの歌モノが余計立ちます。

エンディングは、スペクタクル映画のエンディングにも使えそうなスケール感のあるゆったりとしたストリングチューンです。

サントラは、ユニークなジャケのダウンロード版とアナログ盤が発売されていますが、本編を観ずしてスコアだけ鑑賞するとほぼ苦行になるので、本編をご覧になってからにされることをお勧めします。