CRIMES OF THE FUtURE

監督:デヴィッド・クローネンバーグ

音楽:ハワード・ショア

主演:ヴィゴ・モーテンセン、レア・セドゥ、クリスティン・スチュワート、スコット・スピードマン、ドン・マッケラー、ヴェルケット・ブンゲ

2022年 カナダ/ギリシャ映画



鬼才クローネンバーグ監督の新作。

以前から内臓を彷彿とさせるグチョグチョな映画を撮る監督だなあと思っていたら、遂に臓器ネタの映画を作ってしまいました😅

ストーリーは、近未来を舞台に、人類の進化の過程で体内で新しい臓器を生み出すことが出来るようになった男が、パートナーに自身の新しい臓器を摘出させる違法なパフォーマンスを行い人気を博します。一方、人類の進化の暴走を危惧する政府はこの男を監視させるため臓器登録所の職員を派遣する・・・というお話。

主演は、毎回神経質そうな顔立ちの役者を新たに起用するクローネンバーグ作品には珍しく、4度目の登板となるヴィゴ・モーテンセン。

監督との相性がいいのでしょうか。 

それから、この作品はレア・セドゥをはじめ、3人ぐらいお◯ぱいを出しますのでお子様の鑑賞にはご注意を。

相変わらず奇抜すぎる発想で、グニョグニョなビジュアルや性器や臓器を思わせる奇妙な物体が出てくる作品ですが、今回は意味不明なまま終わるようなことはありません。

あくまで主人公目線ですが、クローネンバーグ作品には珍しくハッピーエンド?な終わり方をします。








音楽は、クローネンバーグ作品の常連、ハワード店ショア。

シンセとオケのハイブリッドなスコアなのですが、最近流行りのそれとは明らかに一線を画す音をしています。

モヤモヤとしたストリングス風シンセにムニュムニュな音のアナログシンセが重なるスコアは、プログレっぽくておっさん好み。

スコア全体を通して、ホーンの短くて単調なメロやストリングスのリフがモチーフになっています。

ストリングス系のスコアは上品でクラシカルな響きがあります。さすが巨匠です。

今回のスコアには、テクノやヒーリング・ミュージックの要素が多く盛り込まれていて、クローネンバーグ作品のスコアとしては聴きやすい部類に入ります。

特に解剖システム「サーク」による手術シーンに使用されたテクノ風味のスペクタルなスコアは特筆もの。

全身耳だらけの男性ダンサーが踊るシーンで流れるテクノトラックもハワード・ショアの曲です。

この人の引き出しの多さには毎回ビックリです。

毎回新しいアイデアに溢れたスコアで感服しっぱなしです。

本作品では、以前のクローネンバーグ作品で聴かれたダークで陰鬱な雰囲気はほとんどありません。

比較的聴きやすい作品に仕上がっています。

サントラは、ダウンロードとアナログの2種類が発売されています。