CHINATOWN

監督:ロマン・ポランスキー

音楽:ジェリー・ゴールドスミス

主演:ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ、ジョン・ヒューストン、バート・ヤング、ペリー・ロペス、ジョン・ヒラーマン、ダレル・ツワリング

1974年 アメリカ映画





ロマン・ポランスキー監督が描くハードボイルドミステリーの傑作。

政治的陰謀を絡めた巻き込まれ型のサスペンスです。

フィルムノワール調の重厚な語り口が素晴らしい作品なんですが、人によっては重苦しいとかのっぺりしているという印象を受ける人もいるようです。

ストーリーは、ある探偵が、ダム建設技師の奥さんから夫の浮気調査を依頼されます。調査の結果、技師には若い浮気相手がいることが分かりますが、調査の過程で撮った浮気現場の写真がゴシップ誌に掲載されてしまいます。すると、本当の奥さんだという女性が探偵事務所に乗り込んでくる・・・というお話。

出てくる人物が全員胡散臭いところがスリラーをさらに盛り立ててたように思います。

この頃は、「さらば愛しき女よ」や「ロング・グッドバイ」など、本作品に前後してハードボイルドものが何本か公開された時期でした。

最初と最後に出てくるバート・ヤングが意外にも(失礼)好演。

監督のロマン・ポランスキーも有名な鼻ナイフシーンで出てきます。

ロバート・ダウンが書いた脚本は、この年のアカデミー脚本賞を受賞しています。






音楽は、巨匠ジェリー・ゴールドスミス。

ゴールドスミスの70年代スコアの中でも1、2を争う傑作だとおっさんは勝手に思っている作品。

ジャズのフレーバーを効かせたクールでハードボイルドなスコアがメチャクチャかっこいい。

テーマあたりは、トランペットをフィーチャーしてジャジーで気だるい雰囲気を醸し出していますが、劇伴になると、猿の惑星を思わせる低音域のピアノやフレーズの端々にゴールドスミス節が見え隠れするので、思わずニヤリとしてしまいます。

おっさんが子供の頃は、70年代の豪快なフルオケのゴールドスミス節に染まっていたので、このスコアを初めて聴いた時は、「なんかナヨナヨしてつまんないなあ。キ◯タマに響く音楽でなければゴールドスミスではない。」などと、訳のわからない理屈で敬遠していたわけですが、大人になって改めて聴くとこれがすごく良かったのです。このスコアは大人が聴くものだと改めて実感した次第。

それにしても、フィリップ・ランブロが書いたスコアがリジェクトされ、たった10日足らずでこれだけの傑作を完成させたゴールドスミスの手腕はさすがです。

サントラは、公開時にLPが発売されて以来、長らくCD化されませんでしたが、2012年に米Vareseから限定3000枚でCD化されたほか、2016年には米Intradaからアルバム音源とフィルム音源を収録した70分越えの長尺盤が発売されています。

なお、Varese盤は、曲によってなんとなくステレオが不自然な上、若干音が揺れているのが残念。おっさんはLPを持っていないので比較のしようがありませんが、CD化にあたってリマスターされなかったのかなあ。