EVERYTHING EVERYWHERE ALL AT ONCE
監督:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート
音楽:サン・ラックス
出演:ミシェル・ヨー、ステファニー・スー、キー・ホイ・クァン、ジェームズ・ホン、ジェイミー・リー・カーティス、タリー・メデル、ジェニー・スレイト、ハリー・シャム・Jr、ビフ・ウィフ
2022年 アメリカ映画



超ヘンテコ映画「スイス・アーミー・マン」のダニエル・クワンとダニエル・シャイトナーの監督コンビが放つ、これまたヘンテコなSFアドベンチャー。
ストーリーは、詳しく書き始めると収拾がつかなくなるので、ごく簡単に言うと、クリーニング屋のおばさんがマルチバースの世界では宇宙を救う存在であり、
反抗的なその娘は宇宙を滅ぼさんとする悪の権化で、全宇宙の存亡をかけて2人は対決することになる・・・・みたいなお話。
ミュージックビデオ出身の監督なので、目まぐるしくカットが変わったり、いろんなものを詰め込みすぎな上に展開が早くておっさんには訳が分かりませんでした。
決してつまらない映画とはいいませんが、この映画がアカデミー賞7部門受賞とは、多様性の時代とはいえ、程があるだろという気はします(笑)
うちの妻は観終わって一言、「ついていけんわ」。普通の人はきっとそう思うことでしょう。
おっさんは、かろうじて大丈夫でしたが、これがアカデミー賞取る映画かと言われると「???」が連発する作品でした。
まあ、なんだかんだ言いながら、結局は母と娘の確執と和解をを描いた作品ということなんだろうと思います。
ただ、キレキレのカンフー技を見せるミシェル・ヨーは相変わらずカッコよかったし、大人になったキー・ホイ・クアンが観れたのも良かったし、
クレジットを見るまでまったく気づかなかったジェイミー・リー・カーティスも面白かった。
そして、「ブレードランナー」や「ゴーストハンターズ」など、数々のハリウッド映画に脇役で出てきたジェームズ・ホンがおじさん役で出ていて、これもおっさんにはうれしい配役でした。







音楽は、アメリカのポスト・ロック・ユニット、サン・ラックス。
もともとエクスペリメンタルなサウンドを持つ人たちなので、とってつけたようなロックミュージックではなく、
エレクトリック寄りの堂々たるスコアを提供しています。
最近の映画音楽作曲家たちの作品と比べても遜色ない出来栄えのスコアです。
このスコアがアカデミー作曲賞ノミネートになったのは納得できます。
劇中、カンフーファイトシーンに、中国風のフレーズを盛り込んだアクションスコアが登場しますが、
デヴィッド・バックリーの「ドラゴン・キングダム」にも似たスコアで、なかなかカッコいい。
ポスト・ロック・ユニットだけあって、それ風のスコアもあり、メランコリンクなモチーフはどことなくシガー・ロスあたりを彷彿とさせます。
ロック・ユニットといいながら、壮大なコーラスが入ったものや、ストリングスチューン、静かなピアノ曲などもあって本格的です。
S.E.も含めてスコアになっている感じで、映像とリンクした形のスペイシーな音響も楽しむことが出来ます。

ゲスト・ミュージシャンも多彩で、MITSKI、DAVID BYRNE、MOSES SUMNEY、RANDY NEWMANなどが参加しています。
ただ、劇中、2001年宇宙の旅のパロディがあるのですが、
途中でグダグダになる「ツァラトゥストラはかく語り」の演奏がサントラに入ってなかったのは残念でした。
サントラは、ダウンロード版と2枚組LPが発売されていますが、CDは無いようです。
全49曲114分、たっぷりと収録されています。