RAPINIAMO IL DUCE
監督:レナート・デ・マリア
音楽:デヴィッド・ホームズ
主演:出演:ピエトロ・カステリット、マティルダ・デ・アンジェリス、イザベラ・フェラーリ、フィリッポ・ティーミ、トンマーゾ・ラーニョ
2022年 イタリア映画
第二次世界大戦下のイタリアを舞台に、泥棒一味がムッソリーニの財宝を狙うというNetflix配信のクライム・アクション。
イタリア映画と言うと、パチモンのイメージが強いのですが、映像も綺麗だし、ストーリーもしっかりしているし、まともな映画です。
痛快娯楽アクションとしては十分面白い。
ただ、よく考えると「オーシャンズ」シリーズを戦時下に置き換えただけではないかとの疑念も。
ということは、「オーシャンズ」のパチモンか?
ストーリーは、戦時下のイタリアを舞台に、敗戦濃厚のムッソリーニが国中から集めた財宝をもってスイスへ高跳びしようとしているという情報を、ある泥棒がキャッチします。彼は旧知の仲間を集めて、財宝が保管されている基地への潜入を試みる・・・というお話。
Netflix配信の作品ですが、90分にコンパクトにまとめてあって、サクッと観れます。
アメリカンコミック風のデザインを使った紙芝居のようなアニメが突然挿入されるのですが、
その時だけであとは全く活かされず、これにはちょっと違和感があります。
不可能なミッションをその道に通じた仲間を集めて実行するというプロットは、クライムアクションものの王道と言う感じで、金太郎飴的な展開にある意味安心して観ることが出来ます。
ラストは、見方によっては続編を予感させる終わり方をするので、もしかして「2」があるのか。
音楽はデヴィッド・ホームズ。
タイトルバックには、ヒロインが音楽ホールで歌う「Paint It Black(Tutto Nero)」が流れます。
しかしこの時代にローリング・ストーンズはおかしいでしょう。
さすが、パチモン王国イタリア、その辺の時代考証は完全に無視されています。
「オーシャンズ」シリーズ風のクライムアクションということで、デヴィッド・ホームズにお鉢が回ってきたのではないかと思います。
この人は、もともとファンキーなスコアのイメージがあるのですが、戦争が背景になっているので、ちょっぴりですがスネアドラムが挿入されていて、僅かながらミリタリーな雰囲気があります。
サスペンス調の抑制の利いたスコアには、「オーシャンズ」シリーズを思わせるジャジーな雰囲気があります。
ウッドベースとドラムのジャズっぽい使い方がかっこいい。
驚いたのは、口笛とハーモニカをフィーチャーしたマカロニウェスタン風のスコアも登場すること。
本編ではこれに男性ボーカルが入っていますが、サントラにはボーカルは入っていません。
ヒロインを演じるマティルダ・デ・アンジェリス(まさかあの兄弟と関係があるのか?)はシンガーとしてもシングルを何枚か発売したことがあるようで、劇中も彼女が歌うシーンがいくつかあるのですが、実際に歌っているんじゃないかな。
この人、若いのに結構ハスキーな声をしています。
クライマックスの基地でのアクションシーンでは、またまたマカロニ風なスコアが登場。
エンニオ・モリコーネ風のストリングスのリフレインにエコーたっぷりなエレキギターが流れます。
エンド・タイトルには、再び「Paint It Black」が流れ、後半はずっとこの曲のインストパートが繰り返されます。
サントラは、スコアのみ歌物なしのダウンロード版が入手可能です。