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監督:アレックス・ガーランド
音楽:ベン・ソールズブリー、ジェフ・バーロウ
出演:ジェシー・バックリー、ロリー・キニア、パーパ・エッシードゥ、ゲイル・ランキン、サラ・トゥーメイ、ザック・ロセラ・オックスリー
2022年 イギリス映画

 


 

「エクス・マキナ」のアレックス・ガーランド監督が描く衝撃のスリラー。

本編前半の美しい自然描写と後半のグロテスクな描写の対比がすごくて、

決して面白い作品ではありませんが、いろんな意味で強烈に脳裏に焼き付く映像体験でした。

ラスト近くに待っているグロい演出は、人によっては生理的に受け付けないかもしれません。

そのため、劇場公開にあたってはR15+指定となっています。

ストーリーは、離婚話がもつれた挙句に夫の死を目の当たりにして心に深い傷を負った女性が、閑静な田舎に屋敷を借りてしばらく過ごすことにします。

引っ越してきて早々、全裸の男が敷地に入り込んでいて、女性は警察を呼び男を確保してもらいますが、その後、男はあっさり釈放されたと聞き、警察官を含め街の男たちに不信感を持ち始めます。さらに、屋敷の管理人をはじめ街の男たちは、髪型こそ違えど何故か皆同じ顔をしていることに気付く・・・・というお話。

ロリー・キニアがソーセージ男も含めて1人で何役も演じているので、キャストは全部で6人ぐらいだと思います。

正直なところ、男性目線からすると、所々で感情を爆発させるヒロインに対しては、なんてヒステリックな女性だという想いをしたのも事実。

でもこれ、あえて男性にそう思わせようとする監督の狙いか?

冷静に観ると、自分と別れるなら自殺すると言ってみたり、怒りに任せて妻を殴っておきながら自分を愛して欲しいという、

自分がやったことは棚に上げて相手に愛を要求する身勝手極まりないDV夫の方が悪いじゃないか。

そんな身勝手な男どもに対する女性の恐怖と怒りが描かれた作品なのかなと思ったりもしました。

それにしても、ラスト近くのグチョグチョの描写には参った。「エクストロ」を思い出した。

製作は、「ヘレディタリー」や「エックス」など何かと個性的なホラーを次々と輩出しているA24。

この会社が携わるホラーにはハズレがないですね。

 

 

 

 

音楽は、「エクス・マキナ」と同じくベン・ソールズブリーとジェフ・バーロウのコンビ。

幻想的なシンセと混成コーラスで表現したスコアです。

時に荘厳かつクラシカル、時にグロテスクな音を聴かせるヒーリング、音響系のスコアで、

シンセに中世風のクラシカルな混声コーラスが入る教会音楽を思わせる宗教的な匂いのするスコアがあるかと思えば、

人の声にエフェクトがかかったような音を使ったタンジェリン・ドリームを思わせるスコアがあったり、

不気味な重低音とともに不安感を掻き立てる声の洪水ともいえるスコアなど、いろいろな表情を見せます。

ヒロインが森のトンネルの中で自分の声のこだまで遊ぶシーンがあったり、

本編、スコアともに人間の「声」が重要な役割を果たしている感じがします。

オープニングとエンディングにはアコースティックな歌「Love Song」が流れます。

冒頭で流れるのがレスリー・ダンカンのオリジナルで、エンディングではエルトン・ジョンがカバーしたバージョンが流れます。

サントラは、ダウンロード版とアナログ盤の2種類が発売されています。