LE PACTE DES LOUPS
監督:クリストフ・ガンズ
音楽:ジョセフ・ロデュカ
出演:サミュエル・ル・ビアン、ヴァンサン・カッセル、モニカ・ベルッチ、エミリー・ドゥケンヌ、ジェレミー・レニエ、マーク・ダカスコス、ジャン・ヤンヌ、ジャン=フランソワ・ステヴナン
、ジャック・ペラン、ヨハン・レイゼン、エディット・スコブ
2001年 フランス映画


18世紀のフランスで実際に起きた「ジェヴォーダンの野獣」事件を題材に新たな切り口で事件に迫ったミステリー仕立てのアクション映画。
フランスなどヨーロッパの若手スターがたくさん出ていますが、普段フランス映画をあまり観ないおっさんは残念ながらヴァンサン・カッセルとモニカ・ベルッチぐらいしか馴染みがありません。
ストーリーは、18世紀フランスのジェヴォーダン地方で、女性や子供ばかり100人以上が謎の野獣に惨殺される事件が連続発生します。
事態を重くみたフランス国王は、野獣の正体を突き止めるため、科学者とアメリカ先住民の2人をジェヴォーダンに向かわせますが、懸命の調査にも関わらず被害者が増えていく・・・・というお話。
アクションシーンもカンフーを盛り込むなど結構頑張っていて、ヨーロッパ産のB級アクションを想像すると良い意味で裏切られます。
獣が小屋の中で暴れるシーンもかなり迫力があります。
フランス産の活劇もハリウッド映画に負けず劣らずなかなか面白いではないか、と思ってしまいます。
(でも、パチモン専科のおっさんの言うことなので話半分ということでお願いします 笑。)
上映時間が2時間を超えるので、ドラマ部分が多少もたつくところがありますが、さほど気にならないレベル。
映像もスタイリッシュです。
本作品は、ビジュアルや衣装が独特で、同年のセザール賞衣装デザイン賞を受賞しています。




音楽は、「死霊のはらわた」のジョセフ・ロデュカ。
乾いたトーンの中近東系の弦楽器やタブラ、尺八風の笛をはじめとする民族楽器が多用された独創的なオリエンタル・スコアです。
遠くでシンセやギターが鳴っているスコアもありますが、基本的には民族楽器っぽいもので演奏されます。
パーカッション類もアラブ系の軽めの音の物を中心に使っていて、小気味よいビートが耳に心地いい。
基本的にはメロの薄いアンダースコアなのですが、
独特の乾いた感じや無国籍風のオリジナリティ溢れる音についつい引き込まれてしまいます。
本編中盤あたりから、ジェリー・ゴールドスミスを彷彿とさせるフルオケによるアクションスコアが登場しますが、
ここでも民族楽器が効果的に挿入されます。
本編後半に進むに従って、「死霊のはらわた」を思わせるホラースコアなどを織り交ぜていきます。
ジョセフ・ロデュカがフランス映画のスコアを担当するのはこれが初めてですが、この作品に関しては相性が良いなと感じました。
この人は、「死霊のはらわた」で現代音楽風なアプローチによって強烈な印象が残るスコアを書いていますが、
本作品のスコアもメロがあんまり無いのにある意味クセになるスコアを提供しています。
フェリシア・ソレンソンによる主題歌もあって、作詞作曲がジョセフ・ロデュカ本人なのでスコアと違和感はありません。
ジェーン・ケリー・ウィリアムズを思わせる透明感のある歌声が素敵です。

サントラは、公開当時にCDが発売されましたが、ダウンロード版は出ていないようです。