IN LIKE FLINT
監督:ゴードン・ダグラス
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:ジェームズ・コバーン、リー・J・コッブ、ジーン・ヘイル、アンナ・リー、アンドリュー・ダガン、ハンナ・ランディ、トッティ・エイムズ、イヴォンヌ・クレイグ、スティーヴ・イーナット、ハーブ・エデルマン
1967年 アメリカ映画

 



ジェームズ・コバーン主演の痛快スパイアクション「電撃フリント」シリーズの2作目。
前作はそこまでヒットを期待されてなかったのか、思わぬ大ヒットに勢いづいて作られた続編だとか。
確かに前作もかなりキッチュでB級テイスト満載の、007シリーズとは全くテイストの異なるライトでバカバカしいスパイ・アクションでした。
今回は前作ほどではありませんが、それでもあえてB級に徹した演出がむしろ潔い。
ストーリーは、今回も大したことなくて、女性による世界の支配を目指す国際フェミニスト組織が、
人工衛星から地球へ核を落として世界を滅亡させ、
シェルターに避難した人々だけで理想郷を再建しようという陰謀をフリントが阻止する・・・というお話。
監督のゴードン・ダグラスは、撮影途中でなんでか分かりませんが降板してしまい、
残ったスタッフやキャストで残りを撮りあげて作品を完成させたそうです。
予算はかかっていそうなのですが、漫画みたな小道具が出てきたり、所々安っぽい感じもする、なんとも不思議なビジュアルの作品です。
3作目以降も作って欲しかったのですが、劇場作品は2作で打ち止めでした。
後に、レイ・デイトンを主演にTVムービーが製作されたそうですが、シリーズ化には至らなかったようです。





音楽は、ジェリー・ゴールドスミス。
2作目のスコアは、テーマ曲からして優雅でゴージャスなジャズスコアで始まります。
(このテーマ曲は、ソフトロックな香りのする男性ボーカルのバージョンもあります。)
今回も、ヘンリー・マンシーニあたりに影響を受けたと思しきオシャレなジャズサウンドですが、
そこは巨匠らしい実験的な試みがあちこちにちりばめられた意欲作になっています。
オケをバックに、エレキギター、べース、ドラム、オルガン、マンドリン、アコーディオンをはじめ、
シンセのような音も盛り込まれています。
所々でラテンの香りもする一筋縄ではいかないユニークなスコアです。
前作のテーマモチーフも劇伴の中で登場します。
逆にいつもの豪快にブラスが鳴るゴールドスミス節は控えめなので、
予備知識なしの目隠しプレイで聴くと、ゴールドスミスの作品であることになかなか気づけないかも知れません。
ちなみに、劇中のホットラインの印象的なピコピコ音は、ゴールドスミスが考えたそうです。
サントラは、公開時にLPが発売されましたが、これは再録音盤でした。
CDは、ドイツのTSUNAMIレーベルから、前作や脱走特急(組曲)とカップリングされたものが発売されましたが、
アナログの起こしのためか音質が今一つでした。
その後、1998年になって米Vareseレーベルから前作のサントラとカップリングとなったフィルム音源のスコア盤CDが発売され、
本作品からは15曲が収録されました。