ICE STATION ZEBRA
監督:ジョン・スタージェス
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:ロック・ハドソン、パトリック・マクグーハン、アーネスト・ボーグナイン、ジム・ブラウン、トニー・ビル、ロイド・ノーラン、アルフ・シェリン、ジェラルド・S・オローリン
1968年 アメリカ映画
アリステア・マクリーン原作による1960年代の潜水艦スパイ・アクション。
「大脱走」のジョン・スタージェス監督がメガホンを取り、上映時間が2時間半もあります。
ストーリーは、イギリスの北極気象観測基地からのSOSを受けて、アメリカの原潜が救助に向かいますが、
途中でイギリス諜報部員やアメリカ海兵隊の部隊を同行するよう命令を受けます。
実は、基地の敷地にはソ連の人工衛星が墜落しており、人工衛星の中には
米ソのミサイル基地を撮影したフィルムが収められていたことから、
フィルムを回収するためなら手段を選ばないソ連と、回収を阻止しようとするアメリカとの対立に
艦長以下原潜乗組員が巻き込まれる・・・・というお話。
60年代の作品なので、コンピューターなどの電子計器類が異様なほどにレトロです。
本編の前半は、潜水艦の中を舞台にお話が進行します。
潜水艦の中でのエピソードは、なかなか興味深い。
途中で若干中だるみしますが、魚雷発射管から浸水して潜水艦が沈没しそうになる下りはハラハラさせられます。
北極海のぶ厚い氷山を避けながら潜航する潜水艦の緊迫したシーンが1つの見せ場です。
当時の映像技術としては、先端を行っていたのだろうと思われます。
その一方で、北極基地でのシーンはセット撮影であることが丸わかりで、
猛吹雪の描写など頑張って演出しているのですが、
どうしても「宇宙大作戦」の1エピソードを観ているような錯覚を覚えてしまいます。
それでもトータルでは、特殊効果は頑張っていたと思います。
この映画は1968年のアカデミー特殊視覚効果賞にノミネートされています。
音楽は、ミシェル・ルグラン。
上映時間が長いことから、本編オープニングでは静止画面が出てきて、いきなり「序曲」が演奏されます。
なんだか「バルジ大作戦」みたいです。
ミシェル・ルグランにしては、いつになく壮大な序曲で、スペクタクルな大作を予感させます。
ちょっと時間が短めなのがちょっと残念。
ちなみに、本編の途中でも休憩インターミッションがありスコアが流れます。
その後、休憩音楽としてEntr'acteが演奏されます。
2曲で5分近くあるので、トイレ休憩用なのでしょうか。
さて、本編が始まると、オープニングは「序曲」同様、重厚かつ壮大なスコアが登場します。
おっさんの中のミシェル・ルグランのイメージを覆すフルオケスコアで、
カッコ良く、チョイ「燃え」します。
オープニング・クレジットは、スコアの音質が良いこともあって、
映像よりもスコアの方が勝っている印象を受けます。
スコアが前面に出て自己主張している感じです。
劇伴は、サスペンススコアでのストリングスの使い方がどことなくロン・グッドウィンを思わせます。
そのせいで、英国製戦争映画を観ているような錯覚を覚える瞬間があります。
北極基地でのシーンでは、エルマー・バーンスタインを思わせるブラスと重厚なパーカッションによるスコアも出てきます。
モチーフとしてはオープニングの劇的なフレーズほぼ1つで、潜水艦が浮上する度にこのモチーフが「ジャジャジャ~ン」と鳴るので、だんだんお腹いっぱいになってきます 笑。
サントラは、公開時に全10曲30分収録のLPが発売されたほか、2003年には米FSMから全15曲79分収録のCDが3000枚限定で発売されました。
CDは廃盤でとんでもないプレミアが付けられていますが、現在ではダウンロード版も入手可能になっています。