ALL QUIET ON THE WESTERN FRONT
監督:エドワード・ベルガー
音楽:フォルカー・バーテルマン
出演:フェリックス・カマラー、アルブレヒト・シュッフ、アーロン・ヒルマー、モーリツ・クラウス、エディン・ハサノヴィッチ、チボー・ドゥ・モンタランベール、ダニエル・ブリュール、デーヴィト・シュトリーゾフ、アンドレアス・ドゥーラー、ミヒャエル・ヴィッテンボルン
2022年 ドイツ/アメリカ映画




平日の最近の記事に追記しちゃうシリーズ・・・





エリッヒ・マリア・レマルクの実体験を基に書かれた同名小説の三度目の映画化。

1979年にもイギリスでTVムービーとしてリメイクされていますが、

ピーター・トーマス主演のこのリメイクがなかなか良く出来ていて、子供の頃、NHKで観て以来のお気に入り。

今回は、ドイツで製作され、Netflixで配信されています。

ストーリーは、第一次世界大戦を舞台に、愛国心に溢れるある町の若者が市民の盛大な声に送られ戦場に向かいますが、最前線は死と恐怖、飢えが支配する最悪な環境で、出兵した若者たちは戦場で次々を命を落としていく・・・・というお話。

戦争批判を描いた題材なので、巧妙な作戦で敵の部隊をせん滅するというようなある種のカタルシスを感じさせるような描写は皆無です。

戦闘は、文字通り泥沼の塹壕戦がメインなので、銃剣を使って至近距離で戦う白兵戦や泥まみれで戦う兵士の姿が描かれます。

顛末も分かってはいるのですが、ラストに向けた救いのない展開にはやっぱり凹みます。

珍しいところでは、ほぼCGで作られてますが、フランス軍のサン・シャモン突撃戦車と思われる戦車が登場します。

 

 

 

音楽は、「ホテル・ムンバイ」のフォルカー・バーテルマン。

戦争映画ですが、勇壮なマーチは一切ありません。

静かなトーンのストリングスにいきなり分厚いシンセ音が入るスコアが強烈な印象を残します。

静寂の中に時折ブワ〜っと船の汽笛のようなシンセ音が入るという戦争映画にしては斬新なスコア。

本編を観ていると、この分厚い音が最初はスコアの一部だということが分からず、S.E.かと思ってしまいます。

これが本編中で多用されるのでモチーフとして脳裏に焼き付きます。

「バァー、バァー、バーッ」という単純な3音をモチーフにしてしまうやり方は「ダークナイト」シリーズを彷彿とさせます。

また、マイナーメロのミニマルなストリングスチューンもあります。

この手の悲壮感漂う作品では、バイオリンと女性コーラスの組み合わせの静かなスコアが定番な感じがするのですが、

本作品でもこの手法が使われています。

戦闘シーンのスコアでは、インダストリアルな鉄板ノイズやブザーのような音を盛り込んだ

無機質な工業ノイズの塊のような攻撃的な音が登場します。

全体を通じて抑制の利いたダークなトーンのスコアになっていて、

戦争映画のスコアとしては、「フューリー」あたりに近い雰囲気も持っています。

サントラは、ダウンロード版が発売されています。

 

 



 ・・・と、ここまでが過去記事。

なんと、この映画、英国アカデミー賞で作品賞をはじめ7冠を達成したそうです。

作曲賞も取っちゃった。すごい。

アメリカのアカデミー賞でも作曲賞にノミネートされてるそうで、こちらの方も期待してます。

普段、アカデミー賞なんか全然興味ないのですが、うちのブログで紹介したコアな作品が賞を取ると嬉しいものです😊





 

 

 

 





 

 

以下は、オリジナル、リメイクのDVD、Blu-rayです。

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