THE KING'S SPEECH
監督:トム・フーパー
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーター、ガイ・ピアース、ティモシー・スポール、デレク・ジャコビ、ジェニファー・イーリー、マイケル・ガンボン、ロバート・ポータル、エイドリアン・スカーボロー、アンドリュー・ヘイヴィル、ロジャー・ハモンド、パトリック・ライカート、クレア・ブルーム
2010年 イギリス/オーストラリア映画

 

 

 

吃音に悩むイギリス国王ジョージ6世が、妻や言語聴覚士の協力によって吃音症を克服し、

遂には歴史的演説を成功させるまでを描いた実話ベースのドラマ。

ジョージ6世は、先日亡くなられたエリザベス女王のお父さんです。

ストーリーは、幼い頃から吃音に悩んでいたイギリス国王ジョージ6世は、

人前で自信を持ってスピーチが出来るよう、様々な医師による治療を受けますが、

一向に良くなりません。妻は、スピーチ専門の矯正師に国王を引き合わせますが、

彼は国王に風変わりな治療法を始める・・・というお話。

地味で淡々としたドラマですが、エンターテイメント性もあって眠くなるようなことはなく最後までしっかり楽しめる作品です。

演技陣も素晴らしく、コリン・ファースとジェフリー・ラッシュが秀逸でした。

監督は、「レ・ミゼラブル」のトム・フーパー。(トビー・フーパーではありません笑)

国王の吃音を克服するという地味な題材ですが、イギリス映画らしい気品のある素敵な作品に仕上がっています。

本作品は、第83回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞を受賞しています。

 

 

 

音楽は、アレクサンドル・デスプラ。

本編を優しく包み込むような柔らかい旋律を、ピアノや流麗なストリングスで聴かせるスコアです。

惜しくも受賞は逃しましたが、このスコアはアカデミー作曲賞にノミネートされています。

最近のスコアながら、オールドスタイルなスコアに通じる不思議な雰囲気を持ったスコアです。

70年代のヨーロッパ映画に提供されたスコアに似た雰囲気を持っていますが、

アクのようなものがなく、まるで空気のような肌触りがあるのは最近のスコアらしさかも知れません。

強い印象を残すメロや激しいリズム感を持った劇伴はありませんが、クラシカルで深みのある上品なスコアです。

スコアの他にベートーヴェンの交響曲7 第二楽章とピアノ協奏曲5 第二楽章、

モーツアルトのクラリネット協奏曲第一楽章が使われていて、サントラにも収録されています。

クラシカルなスコアとのバランスもぱっちりです。

サントラは、CDとダウンロード版の2種類が出ています。