IL FANTASMA DELL'OPERA
監督:ダリオ・アルジェント
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ジュリアン・サンズ、アーシア・アルジェント、アンドレア・ディ・ステファノ、イストヴァン・ブビック、ナディア・リナルディ、コラリーナ・カタルディ・タッソーニ、ルチア・グッザルディ、アルド・マサッソ、ゾルタン・バラバズ
1998年 イタリア映画



本邦劇場未公開のダリオ・アルジェント版「オペラ座の怪人」。
「トラウマ 鮮血の叫び」、「スタンダール・シンドローム」に続き、娘のアーシアをヒロイン役にもってきています。
ストーリーは、赤ちゃんの時にどぶに捨てられネズミに育てられた男が、
オペラ座の地下に住みつき、オペラ劇場内を暗躍するようになります。そして、劇場内で見かけたオペラ歌手に一目ぼれして、2人は恋に落ちます。
男は彼女をオペラの主役にさせるために、プリマドンナに大怪我を負わせるなど、
行動が次第にエスカレートしていく・・・・というお話。
これまで何度となく映画化されてきた作品ですが、ミュージカルが苦手なおっさんは、
2004年版はもちろん観たことがありません。
他のバージョンも全く観たことがなく、比べようがないのですが、
後期アルジェントの作品としてはまあまあの出来ではないでしょうか。
独自の解釈で、ジュリアン・サンズはそのまんまのイケメンだし、ヒロインも清純な女性というより、妖艶でエロいお姉さんという設定になっています。

アルジェント作品らしい全編血みどろの演出に加えて、退廃的で耽美な建築物の雰囲気もいい感じです。
この映画、ハンガリーのブダペストでロケをしています。




音楽は、エンニオ・モリコーネ。
相変わらずの美メロのトラックが素晴らしい。
バイオリンやクラリネットなどの楽器によるソロも美しいのですが、
ストリングスが同じメロを奏でるところもまた素晴らしい。
ゴージャスなスコアを堪能できます。
ただ、一応グロありのホラーな作品なので、美メロが使用されるのは一部です。
タイトル・トラックは、張り詰めたテンションが持続するサスペンス・スコア。
美メロのモチーフをアレンジした、ソプラノ・コーラスが美しい教会音楽風のオケスコアもあります。
パイプオルガンによる荘厳なスコアもなかなかのもの。
1曲だけ、ちょっと異彩を放つ何ともユーモラスなスコアが入っています。
ストリングスがザクザクと切り込む、モリコーネお得意のサスペンススコアも健在。
どこかで聴いたことがあるような展開の劇伴もありますが、モリコーネの場合、
嫌味がないというか露骨な使いまわしではなく、似た雰囲気だな~くらいにしか感じないところがすごい。
サントラは、本国公開当時にCDが発売されています。
現在では、ダウンロード版も入手可能です。