DON'T LOOK UP
監督:アダム・マッケイ
音楽:ニコラス・ブリテル
出演:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープ、ケイト・ブランシェット、ロブ・モーガン、ジョナ・ヒル、マーク・ライランス、タイラー・ペリー、ティモテ・シャラメ、ロン・パールマン、アリアナ・グランデ
2021年 アメリカ映画


アダム・マッケイ監督がシニカルに描く「メテオ」系SFブラック・コメディ。
悩める現代のアメリカを的確に風刺した、なかなかに考えさせられる作品です。
ストーリーは、地球に向かう巨大彗星をミシガン大の2人の天文学者が発見しますが、
地球の危機を必死に訴えるもなかなか相手にされません。
そのうち、大統領のスキャンダルが発覚し、大統領は批判をかわすため彗星を政治利用し、
迎撃作戦を打ち上げ支持率を回復します。
しかし、迎撃作戦の最大スポンサー企業のCEOが彗星にはレアアースが大量にあると発言、
彗星破壊を回避するよう提唱したことから、
世論は、彗星の破壊派、反対派、存在を否定する派に分断することになる・・・・というお話。
豪華キャストが目を引く作品ですが、ディカプリオがでっぷりした天文学者を演じたり、
英国女優のケイト・ブランシェットがアメリカのセクシーニュースキャスターを演じたり、
メリル・ストリープが性格悪すぎる大統領を演じたり、一筋縄ではいかない配役も面白い。
彗星爆破に向かうスペクタクルなシーンもあり、ブラック・コメディのくせにSFとしてもかなり本格的。
一部の金持ちや政治家は、自分たちだけがシャトルで遥かかなたの地球に似た惑星へと移住しようとしますが、
ラストに挿入される彼らの行く末も因果応報的でスカッとします。
この映画、Netflixで配信されていますが、配信に先立ち一部劇場では公開されたようです。



音楽は、ニコラス・ブリテル。
アダム・マッケイ監督とは、「マネー・ショート」、「バイス」でも組んでいます。
オルゴールを思わせるチャーミングな音や、パルス風のシンセのループが心地よいミニマル・ミュージック調のスコアが印象的。
このモチーフをストリングスチューンやロックチューンに派生させたトラックもあります。
劇伴の中には、この他に、正統派のオケスコアやジャズっぽいものから
情熱的なトランペットをフィーチャーしたちょっぴりメキシカンなスコアまでいろんなバリエーションで楽しませてくれます。
さらに、ロケット打ち上げシーンや宇宙空間のシーンでは、ヒロイックなスコアが登場します。
こういったスコアも、気が付くとチャーミングでミニマルなシンセが後を継ぐようなパターンが多い。
聴きやすくユニークなサントラなのですが、ダウンロード版しかないようです。
スコアの他に、劇中も登場するアリアナ・グランデの歌や、エンディングに流れるヴォン・イヴェールの曲が収録されています。
全31曲57分の収録です。