SWISS ARMY MAN
監督:ダニエル・シャイナート、ダニエル・クワン
音楽:アンディ・ハル、ロバート・マクダウェル
出演:ポール・ダノ、ダニエル・ラドクリフ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、アントニア・リベロ、リチャード・グロス
2016年 アメリカ映画


何ともヘンテコな映画を観てしまいました。
ジャンルは、コメディ、アドベンチャーとなっていますが、あんまり笑えない、というかシャレにならない。
批評家ウケは結構良くて、奇想天外な発想ではあるのですが、
おっさんとしては漂着死体をスイス・アーミー・ナイフのごとく駆使してサバイバルを乗り切るという発想自体がダメでした。
映画とはいえ、死者を冒涜している。
ストーリーは、無人島に1人漂着して、絶望の末に首を吊ろうとしていた青年の目の前に男性の死体が漂着します。
死体のお尻からは腐敗ガスが噴出していて、青年が試しに死体にまたがってみたら、
そのままジェットスキーのように海面を疾走しはじめ、無人島から脱出できてしまいます。
陸地に流れ着いた青年は、死体とともにジャングルをかき分け、助けを求めてサバイバルを開始する・・・というお話。
のっけから、死体をおもちゃにしているような設定がいただけない。

そのうち、夢か現実か、死体が口を利くようになって、2人で会話をしながら協力してサバイバルを生き抜こうとします。
死体を演じたダニエル・ラドクリフは、お尻丸出しの熱演をします。
「ブビ~、ブリブリ」というおなら(腐敗ガス)で始まっておならで終わるというとんでもない映画ですが、
ラストで明らかになる事実もかなり衝撃的です。ここは全然笑えなかったなあ。

ハマる人は結構いらっしゃるようなのですが、おっさんは苦手だなあ。

観終わって「なんだったんだ、この映画は」という気分になります 笑。



音楽は、インディーロックバンド「マンチェスター・オーケストラ」のアンディ・ハルとロバート・マクダウェル。
バンド名がマンチェスターですが、アメリカのバンドです。
監督がこのバンドのファンだったようで、彼らのミュージック・ビデオを製作したりといった交流があるようです。
主演のポール・ダノとダニエル・ラドクリフの声をフィーチャーしたスコアがあったり、
シガー・ロスのヨンシーあたりを思わせるファルセットのコーラスが入るスコアがあったり、
全体を通して繊細かつ透明感のあるスコアです。
ジュラシック・パークのメロディが鼻歌で出てくるスコアも面白い。
本編はあんまり笑えないし、ちょっと苦手ですが、スコアの方は美しい。
リズムは抑え気味でゆったりとした浮遊感のあるスコアが中心で、
彼らのバンドの曲とはまた違ったアプローチが多いところも興味深い。
躍動感あるスコアは、ダウンロード版シングルにもなった"Montage"ぐらいでしょうか。
サントラは、CDとダウンロード版が出ています。