A GHOST STORY

監督:デヴィッド・ロウリー
音楽:ダニエル・ハート
出演:ケイシー・アフレック、ルーニー・マーラ、ソニア・アゼヴェド、リズ・フランケ、ケネイシャ・トンプソン、バーロウ・ジェイコブズ、ケシャ
2017年 アメリカ映画

最近、ホラーの記事が続きますが、これはホラーというよりファンタジーに近い一風変わったドラマ。
地味な作品なので、日本ではアメリカ公開から1年以上経ってから公開されています。
とはいえ、ドーヴィル映画祭、シッチェス・カタロニア国際映画祭、ヒューストン映画批評家協会等で
いろんな賞を受賞している作品です。
ストーリーは、自動車事故で死んだ男が、シーツを頭から被ったゴーストとして妻のいる家に戻り、
ただじっと彼女を見守るだけの存在になります。
時が経ち、彼女も家を去り、次々と家の住人が変わり、
遂には誰も住まなくなった家は解体され、跡地にビルが建ち並ぶようになり、
周囲の景色が一変するまでになりますが、死んだ彼はずっとそこに居続ける・・・・・というお話。
家を去る前に妻が柱に何かのメモを挟みこみますが、最後まで何が書いてあるのかは分かりません。
何て書いてあったんだろう。
鑑賞後、何とも言えない切なさが余韻として残る作品です。
長回しが多用された作品でもあり、ベッドで夫婦が抱き合いキスするシーン(エッチなことはしません)、
夫を失った妻が自暴自棄になってチョコパイを丸ごとやけ食いするシーン、
ゴーストとなった主人公が佇むシーン等、セリフも無く数分にわたってそのシーンが続くのですが、
不思議と映像に引き込まれ、眠くなることはありません。
ちなみに、アメリカのポップシンガーとして知られるケシャがシーツを被った幽霊女役で出てきますが、
顔出し無しの声無しなので全く彼女だと分かりません 笑。
 

 



音楽は、デヴィッド・ロウリー監督作品の常連、ダニエル・ハート。
ダニエル・ハート自身のバンド”Dark Rooms”の曲”I Get Overwhelmed”がフィーチャーされていて、
劇中、主人公が作曲して妻に聴かせる曲として登場します。
オープニングは、悲し気な旋律のバイオリンやチェロによるストリングス・チューン。
(ダニエル・ハート自身、バイオリンが弾けるらしい。)
劇伴も、モチーフがしっかり生かされており、フィリップ・グラスを思わせるミニマルなチューンもあります。
全体的にゆったり過ぎるぐらいスローなスコアが多いですが、
長回しの多い映像と見事にマッチしているので、退屈することはありません。
オケをバックにバイオリンやチェロ、ピアノといった楽器がリードを取る曲や
エレクトロなシンセ音を盛り込んだヒーリングっぽいスコアもありますが、
総じて映像を邪魔するような曲はありません。
一部のパーティシーンを除いて、セリフが少ない作品なので、
どうしてもスコアが目立ってしまいがちですが、
本作品ではスコアは映像と一体となった感じで、スコアだけが浮くことはありません。
サントラは、CD、ダウンロードが発売されています。
(LPも出てたのかな?) 
地味ですが、不思議な味わいのあるスコアです。