THE DEAD DON'T DIE
監督:ジム・ジャームッシュ
音楽:スクワール
出演:ビル・マーレイ、アダム・ドライヴァー、ティルダ・スウィントン、クロエ・セヴィニー、スティーヴ・ブシェミ、ダニー・グローヴァー、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ロージー・ペレス、イギー・ポップ、サラ・ドライヴァー、RZA、セレーナ・ゴメス、キャロル・ケイン、トム・ウェイツ
2019年 アメリカ映画
ジム・ジャームッシュ監督によるまさかのゾンビ映画。
一応コメディというカテゴリーに入っているみたいですが、ニヤリとさせられる程度のコアなギャグや
完全にスベッてる感じのギャグが多いので、普段ゾンビ映画やホラーを観ない人はチンプンカンプンで笑えないと思います。
序盤から登場人物がダラダラと会話劇を繰り広げるので、テンポが遅く途中で睡魔に襲われます 笑。
肝心のゾンビが出てきてからは、そこそこテンポが出てきますが、
わざとインディ作品っぽさを強調しているのか、豪華なキャストを無駄に使うシーンが多いように感じました。
ストーリーは、地球の自転軸が変わってしまい、夜でも白夜のように明るくなっちゃたアメリカの片田舎を舞台に、
ある日突然に死者が墓場から蘇り、ダイナーの女性2人を食い殺したのを皮切りに、
街の住民が次々に犠牲になっていき、警察署長以下3人がゾンビ退治に奮闘する・・・というお話。
今回のゾンビは首を切られると、血ではなく、灰が飛び散るという設定になっていますが、
あくまで歩行はノロノロで、ゾンビが生前の行動や習慣に支配されるところなど、
ジョージ・A・ロメロ監督へのリスペクトを感じます。
ゾンビ側にも豪華なキャストが当てられており、イギー・ポップなどはメイクなしでそのままゾンビでいけそうな貫禄(笑)があります。
その他、森の奥で暮らす仙人のようなおっさんをトム・ウェイツが演じているほか、
ティルダ・スウィントンが異星人のような風貌の葬儀屋さんを演じており、それぞれ強烈な個性を光らせています。
音楽は、ジム・ジャームッシュ監督率いるエクスペリメンタル・バンド”スクワール”が担当。
オルタナ系のギターの音色がインディっぽさ満点で素晴らしい。
シンセもアナログっぽいモヤ~ンとした音や70年代風のループパターンが入っていて、
おっさん好みの仕上がりになっています。
ちょうど70年代のジャーマン・プログレッシブに近い雰囲気もあります。
最近の作品には珍しく、サントラに劇中のダイアローグがいくつか挿入されています。
気だるいギター・ロックがテーマ・モチーフになっているほか、全体的にモヤ~ンとした印象のダークなスコアですが、
エクスベリメンタル+プログレ+インディ系ギターロックをミックスしたような雰囲気があります。
「ツイン・ピークス」などのデヴィッド・リンチ作品のスコアが好きな人にも案外ウケるかもしれません。
サントラは、35分収録のスコア盤がCDとダウンロードで発売されています。
オープニングに流れるカントリー調のほのぼのとした主題歌は、
劇中でもギターゾンビとして登場するスタージル・シンプソンが歌っています。
この主題歌は、残念ながらスコア盤には収録されていません。
単独でシングルが発売されているようです。