MASH
監督:ロバート・アルトマン
音楽:ジョニー・マンデル
主演:エリオット・グールド、ドナルド・サザーランド、トム・スケリット、ロバート・デュバル、サリー・ケラーマン、ジョー・アン・フラッグ、ゲイリー・バーコフ、ロジャー・ボーウェン
1970年 アメリカ映画




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カンヌ映画祭グランプリをはじめ、全米批評家協会賞、ゴールデン・グローブ賞でそれぞれ作品賞を受賞した戦争ブラック・コメディの傑作。
MASHとは、「陸軍野戦外科病院」の頭文字を取ってつけた名称だそうです。
朝鮮戦争を背景に、前線で活躍する軍医の姿を描いた作品なのですが、補充軍医たちの軍規を無視したハチャメチャぶりと、
シリアスな手術シーンが交錯する、なんとも不思議な作品でした。
瀕死の兵士が次々と前線から運び込まれる野戦病院という生死を掛けた現場では、
そうでもしてないと正気を保っていられないという感覚なのか、軍医たちの猥雑で不謹慎な騒ぎっぷりが逆に戦争の狂気を浮き彫りにしていたようにも思えます。
主演のエリオット・グールドとドナルド・サザーランドの2人はこの作品でブレイクしたといっても良いのではないでしょうか。
バカ騒ぎのエピソードも、カタブツだけどグラマーな女性少佐がシャワーしているテントをまくり上げたり、
この女性将校が他の少佐とエッチしているとこの「音」をマイクで拾ってキャンプ中に流したり‥・くだらないことをいろいろやってます。
逆に手術シーンはかなりリアルで、負傷した兵士からは鮮血がドバドバ出てきます。
一応戦争映画なのですが、実戦シーンは一切なく、野戦病院での日常を中心に描かれます。
出てくる銃器も軍用けん銃のコルト・ガバメントが1丁だけ、これをフットボール試合中に3発だけ撃ちます。
なお、この作品は後にTVシリーズ化され、日本でも深夜枠を中心に放送されていました。






音楽は、ジョニー・マンデル。
この映画からは、主題歌「もしもあの世にいけたら(Suiside ls Painless)」という名曲が生まれています。
本編のオープニングで負傷した兵士がベル47軍用ヘリで輸送されるシーンのバックに流れた歌で、
フォーキーでソフト・ロック調の美しいメロディに強烈な内容の歌詞が重なる珠玉のバラードです。
スコアは派手なファンファーレ調のマーチを始め、フットボール・シーンで流れるせわしない曲等、バラエティに富んでいますが、劇中のダイアローグと一緒に収録されています。
一口で言うとセリフ中心のダイアローグ盤なのですが、このサントラが変わっているのは、
各エピソードを劇中ラジオから流れる怪しげな日本の流行歌でつないでいること。
この流行歌の数々はこの映画のために書き下ろされた曲らしいのですが、
日本語のイントネーションがおかしかったり、意味不明な歌詞があったり、
明らかにアメリカ製というのが丸分かりのかなりヘンテコな歌です。
ダイアローグは出演者のマシンガントークを中心に構成されているので、オリジナル音声で映画を観た人なら、
このサントラを聴けば映画のワンシーンが脳裏に浮かび上がるという仕掛けになっています。
なお、CDは2種類あり、2度目に制作されたものは全編リマスターされた上に6曲もボーナス・トラックが収録されています。
その6曲とは、LPにセリフとともに収録されていたスコアからセリフを取り除いて、
新たにスコアだけ収録した、いわばインスト・バージョン(笑)です。
本作の場合、セリフも音楽のうちみたいな感触があるので、スコアだけ抽出して聴くとかえって違和感があるのから不思議です。
中古でCDを見つけられた際は、このボーナス6曲入りのリマスター盤を購入されることをオススメします。
このサントラ、ジャケが秀逸で、Vサインが女性の美脚の上に乗っかってますが、
実は冷静に見るとかなり奇怪な絵ですね(^^;)



・・・と、ここまでが過去記事。

CDは現在でも中古盤が比較的安価で入手可能乃ようですが、ダウンロード版は発売されていないようです。