BUTCH AND SUNDANCE: THE EARLY DAYS
監督： リチャード・レスター
音楽： パトリック・ウィリアムズ
出演： ウィリアム・カット、トム・ベレンジャー、ジェフ・コーリイ、ジョン・シャック、マイケル・Ｃ・グウィン、ブライアン・デネヒー、ジル・アイケンベリー、ピーター・ウェラー、アーサー・ヒル、クリストファー・ロイド
１９７９年 アメリカ映画
今日も過去記事アーカイブ・シリーズです。
名作「明日に向って撃て！」の前日談を描いた西部劇。
今風に言うと、「ザ・ビギニング」という感じでしょうか。
そのため、「続」ではなく「新」になっています(^_^;)
公開当時、まだ中学１年生だったため、オリジナルを観たことが無いまま、この作品を先に観てしまいました。
なので、後日、本家を「続編」として観るような不思議な感覚で観た覚えがあります。
本家を先に観た人は、本家では語られることの無かった過去の経緯が、「新」でいろいろと明らかにされるエピソードを楽しめたと思いますが、
僕はそれが味わえなかったのはちょっと残念だったかも。
若き日のウィリアム・カットとトム・ベレンジャーが、それぞれロバート・レッドフォードとポール・ニューマンそっくりに演じています。
トム・ベレンジャーなどは今の風貌からは想像がつきにくいですが、ちょっとした瞬間にポール・ニューマンにそっくりに見えてしまうから不思議です。
若き日の２人が強盗団と決闘したり、列車強盗に成功する姿を描いています。
リチャード・レスター監督のライトな演出がここでは奏功していて、軽いノリとラストのハッピーエンドが爽やかな印象を残します。
本家では原作と脚本を手がけていたウィリアム・ゴールドマンが、「どうしても作りたかった」と製作総指揮に乗り出して作った作品だそうです。
また、撮影を担当したラズロ・コバックスの手腕も、この映画の完成度にかなり貢献していると思います。
アメリカン・ニュー・シネマの雰囲気はありませんが、本家に気負うことなく肩の力を抜いて作った作風に好感が持てる名作だと思います。
音楽は、パトリック・ウィリアムス。
ＴＶの仕事が多い人で、サントラ盤があまり存在しない人ですが、６０年代後半から活動しているベテランです。
１９７９年には、「ヤング・ゼネレーション」でアカデミー音楽賞にノミネートされています。
本作は、厳密な意味のサントラ盤は存在せず、何故か日本だけでスコア盤（再録音盤）ＬＰが出ていました。
インターナショナル・フィルハーモニック・オーケストラという何だか怪しげな楽団による演奏ですが、
演奏自体はしっかりしているように思います。
オリジナルに比較的忠実に演奏されていたように記憶しています。
昔キングレコードから出ていた映画音楽のカバー演奏（ユナイト・スタジオ・オーケストラとかフェランテとタイシャー等(^_^;)）のような安っぽい演奏ではないので、安心して聴くことが出来ます。
オーソドックスなスコアを書く人で、テーマ曲はインディアンの音楽やアメリカの古い民謡を思わせるような陽気なフレーズがイントロに流れる西部劇としては雄大なタイプの曲です。
ＬＰのＢ面にあたる部分は、ピアノの美しいメロディが印象的な曲やイージーリスニング系の曲で構成されていて、アンダースコアという雰囲気はありません。
全体的に再録ということもあり、アンダースコア色が薄いので安心して聴くことができます。
なお、日本コロムビアから発売されたこのＬＰは残念ながらＣＤにはなっていません。
その後、米KritzerlandレーベルからサントラCDが発売されました。
限定１０００枚なのがちょっと不満でしたが、
７０年代の録音にしては、しっかりステレオ収録されていて、音質もまずまずです。
ただ、残念なのはメイン・タイトルの例のイントロでゴムはじいてるような音の楽器（あれなんだっけ？）の音がよれちゃうところ。
マスターが傷んでるだと思いますが、
カセットテープが熱でワカメになっちゃったのと同じようなことになってます。
ただでさえ音程が目まぐるしく変わる微妙なフレーズなのに、
よれちゃってるのでものすごく違和感があって気持ち悪い。
ほんの数秒ですが、これだけは残念で仕方ない。
しかも、メインタイトルがこんなになってしまってるのが痛い。
とはいえ、その他のスコアには問題ありません。
劇伴は、カバー盤に比べて起伏に富んだ内容であり、
さすがサントラという感じです。
所々で顔を出すアイリッシュ・フレーバーが、
このスコアを特徴付けるいいアクセントになっています。
たっぷり３０曲収録されていて、サントラの少ないパトリック・ウィリアムズのスコアをしっかり堪能できます。
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