TRAFFIC
監督: スティーヴン・ソダーバーグ
音楽: クリフ・マルティネス
出演: マイケル・ダグラス、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、ドン・チードル、ベニチオ・デル・トロ、ルイス・ガスマン、デニス・クエイド、スティーヴン・バウアー、ミゲル・ファーラー、エイミー・アーヴィング、トーマス・ミリアン、アルバート・フィニー、ジェームズ・ブローリン
2000年 アメリカ映画

 

 

 

 

スティーヴン・ソダーバーグ監督の傑作群像劇です。
メキシコからアメリカに至る麻薬ルート「トラフィック」を巡って、様々な人々の人間模様が描かれます。
メキシコの麻薬捜査官、アメリカ政府の麻薬取締最高責任者、麻薬王の妻、この3人を巡る3つのエピソードが黄、青、赤という3色のフィルターをかけた映像で描かれます。
だから、ぱっと画面を見て今どのエピソードなのかが一目瞭然です。
このアイデアは素晴らしいと思いました。
複雑な群像劇をスッキリ観ることが出来ます。
この映画はとにかく脚本がすばらしくて、ゆったりと話が展開していくくせに眠くなることがありません。
150分の上映時間が全く苦痛ではありません。
ちょっと観る者を突き放したようなドキュメンタリーなタッチがいい効果を出しています。
それから、本作はオールド・ファンにとっては脇役陣が最高です。
マカロニ・ウェスタンでお馴染みのトーマス・ミリアンなんか出ていて、ほんと感涙ものです。

 

 

 

 

音楽はソダーバーグ作品の常連、クリフ・マルティネス。
クールな映像にとてもマッチしたクールなトラックを提供しています。
この人は弦楽器の音色と音の空間を大切にした音作りが特徴的で、トーマス・ニューマンあたりを思い起こさせます。
でも、この人の方がロックの香りがしてクールです。
ミニマルでループを織りなす音作りも習慣性があってハマリます。
メロも不明確で口数も少ない音ですが、シンプルでありながら最大限の効果を出していると思います。
このスコアなくして、本編に流れるあの独特の空気感はあり得なかったでしょう。
この人のスコアはどれを取ってもハズレがありません。
なお、スコアの他に、ファットボーイ・スリム、ブライアン・イーノ、クラシック等の既成曲が5曲収録されています。