JARHEAD
監督: サム・メンデス 
音楽: トーマス・ニューマン 
出演: ジェイク・ギレンホール、ピーター・サースガード、ルーカス・ブラック、クリス・クーパー、ジェイミー・フォックス、ブライアン・ケイシー、ジェイコブ・ヴァーガス 
2005年 アメリカ映画

 

 

近代戦を斬新な切り口で描いた全く新しいタイプの戦争映画。
実際に湾岸戦争に参加した兵士の手記を元に、「ロード・トゥ・パーディション」のサム・メンデス監督が映像化しています。
前半は「フルメタル・ジャケット」を思わせる海兵隊の新兵訓練と基地でのエピソード。
後半は主人公が狙撃兵として湾岸戦争へ派遣されるのですが、
従来の戦争とは全くかけ離れた現実を知ることになります。
本作を観て何より驚くのは,派手な戦闘シーンはほとんど無いことです。
「ブラックホーク・ダウン」ばりの戦闘シーンを想像していたのですが、いい意味で裏切られました。
実際の湾岸戦争は「空爆」が物を言わせた戦争だったのですね。
狙撃兵の出る幕は無いわけです。
狙撃の対象がさっさと空爆で吹き飛ばされてしまってるわけですから。
戦地に赴いた若い兵士たちが、戦場で何もすることが無いという虚無感と闘わなければならないというのは衝撃でした。
ドキュメンタリー・タッチで描かれているので淡泊な印象を受けますが、ニュータイプの戦争映画の傑作といえます。
なお、タイトルの「ジャーヘッド」とは海兵隊員の髪型の隠語だそうです。
形が「ジャー」に似ているからだそうです。
僕はレゲエの「JAR」のことかと思いました(^_^;)

 

 

 

音楽は、サム・メンデス作品の常連、トーマス・ニューマン。
トーマス・ニューマンと言えば、弦楽器の単音を使ったアコースティックな音を得意とする人です。
今回はこれにシーケンサーの打ち込みや、中東風のタブラっぽい打楽器が入り、
ただでさえミニマルな音がいい意味で更にミニマルになっています。
トーマス・ニューマン・サウンドの最新型です。
少ない音数でとてもスリリングな音を出しています。
生音を使った口数の少ないテクノみたいな音です。
本編でもかなり効果的に使われていました。
ジョン・パウエルのテクノ・フレーバーとはまた違った味わいがあります。
音的にはカーター・バウエルが担当した「スリー・キングス」あたりに雰囲気が似ています。
「スリー・キングス」も湾岸戦争がらみでしたね。
なお,スコアの他に5曲の既成曲が収録されていますが、個人的にはラストに収録されたトム・ウェイツが心に染みました。
ドッグタッグ(認識票)をあしらったジャケもイケてます。