遂に届きました!
元EL&Pのキーボーディスト、キース・エマーソンのサントラ仕事全曲集。
CD3枚組で、映画の製作国別にディスクが分かれています。
聞きものは、やはりオフィシャルでは初CD化となる「ナイトホークス」でしょう。
作品によっては、未発表トラックも入っているようです。
これで2900円は安すぎます。
本作の情報をくれた犬温さんに感謝!!m(_ _)m

 

 

 

1枚目(アメリカ編) ~「ナイトホークス」「ベスト・リベンジ」

 

 

 

 

ナイトホークス
NIGHTHAWKS
監督: ブルース・マルムース
音楽: キース・エマーソン 
出演: シルヴェスター・スタローン、ルトガー・ハウアー、リンゼイ・ワグナー、ビリー・ディー・ウィリアムズ、パーシス・カンバッタ、ナイジェル・ダヴェンポート
1981年 アメリカ映画

 

 

 

これは、待ちに待ったオフィシャル・リリースです。
全曲もれなく収録されています。
スペンサー・デイヴィス・グループの「I'm a man」のカバーでは、貴重なエマーソンの歌を聴くことができます。
控えめながら、デジタル・リマスタリングされており、LP時代には埋もれてはっきり聞こえなかった音がクリアに聞き取ることが出来、感動です。

 

以前、ほとんどプライベートリリースに近い形で発売された限定盤CDよりも音質は向上しています。
マスタリング担当のウィル・アレキサンダー氏に感謝!
本作については、過去の「★秘宝★」コーナーで詳しく紹介しています。

 

 

 

 

ベスト・リベンジ
BEST REVENGE
監督:ジョン・トレント
音楽:キース・エマーソン
主演:ジョン・ハード、レヴォン・ヘルム、アルベルタ・ワトソン、
1982年 カナダ/アメリカ映画

 

劇場未公開、ビデオにもなっていない作品のようです。
音楽もちょっと軽めの音になってますが、これは製作側の予算の問題でしょう。
まず、本編で使用されたと思われるトラックのダイジェスト版みたない長い曲が入っています。
「Playing For Keeps」という歌モノでは、アコースティックっぽい始まりから、だんだんエマーソンフレーバーが現れ、
間奏では、EL&Pの「展覧会の絵」の1フレーズが出てくるという奇曲です。
ザ・バンドのメンバー、レヴォン・ヘルムが出演していて歌まで歌ってます。
でも、フュージョンみたいな曲が1曲入ってたのはちょっと興ざめ・・・・。
チック・コリアが腐ったような音になってたなあ。
なお、オーケストラ・パートはナショナル・フィルの演奏です。

 

 

 

2枚目(イタリア編) ~「インフェルノ」「デモンズ3」「マーダロック」

 

 

 

インフェルノ
INFERNO
監督:ダリオ・アルジェント
音楽:キース・エマーソン
主演: リー・マクロスキー、アイリーン・ミラクル、アリダ・ヴァリ、サッシャ・ピトエフ、ダリア・ニコロディ
1980年 イタリア映画

 

 

 

大都会にひっそりと存在する魔女の館で次々と人が殺されていくという、アルジェント作品の中ではかなりショボイ作品。
なんともいえないユルイ演出が、「サスペリア」の監督とは思えない出来でした。
そんな中でエマーソンの音楽はかなり強烈でした。
「Taxi Ride」などは、アルジェントの極彩色の映像を音楽で表現したような刺さるような尖った曲です。
最大の聞き物は「Cigarettes,Ice. etc」でしょう。
攻撃的なプログレ・チューンで、EL&P時代を彷彿とさせます。
途中のエマーソンのピアノソロの素晴らしいこと。
流れるような止まるところを知らないソロプレイはまさに圧巻です。

 

 

 

デモンズ3
THE CHURCH
監督: ミケーレ・ソアヴィ
音楽: キース・エマーソン、サイモン・ボスウェル、ゴブリン 
出演: トマス・アラナ、バーバラ・クピスティ、フェオドール・シャリアピン、ヒュー・クァーシー、アーシア・アルジェント 
1989年 イタリア映画

 

 

 

ダリオ・アルジェント製作によるデモンズ・シリーズ第3作。
前作までの流れとはちょっと趣向が変わって、ゴシック・ホラーなテイストもあります。
前半の魔女狩りのシーンはかなりインパクトがありました。
音楽は、エマーソン以外にも、サイモン・ボスウェルやゴブリンも曲を提供したようです。
公開当時発売されたサントラも、寄せ集め的なアルバムになってました。
エマーソンのスコアは、教会音楽を意識した作りで、パイプオルガン風の音色を生かした重厚な音作りになっています。

 

 

 

マーダロック
MURDEROCK
監督: ルチオ・フルチ
音楽: キース・エマーソン
出演: オルガ・カルラトス、レイモンド・ラヴロック、クラウディオ・カッシネリ、コッシモ・シニエリ
1985年 イタリア映画

 

 

 

ダンススクール学生を狙った連続殺人事件を描くルチオ・フルチのサスペンス・スリラー。
フルチといえば、イタリアン・ゴア・スプラッターの帝王として知られる人ですが、今回は残酷描写が控えめ。
音楽は、常連のテンペラ=ビクシオ=フリッツィのチームを使わず、エマーソンに担当させることで、スタイリッシュにしたつもりが、大コケした作品。
エマーソンの音楽もあまり予算が無かったのか、かなりキワモノ風な音になっているのが残念。
テーマ曲も、なんか運転免許の更新時講習のビデオで流れるような曲になってます。
ドリーン・チャンターとかいう名前の女性の主題歌?も入ってますが、なんか映像と合いそうにないなあ、これも。
エマーソンのキーボード・フレーズを楽しむ以外には、あまり聞き所の無い作品です。

 

 

 

3枚目(日本編) ~「幻魔大戦」「ゴジラ・ファイナル・ウォーズ」

 

 

 

幻魔大戦
監督: りんたろう
音楽: 青木望、キース・エマーソン 
声の出演: 古谷徹、小山茉美、原田知世、池田昌子
1983年 日本映画

 

 

 

角川アニメの第1回作品。
大友克洋の作品だとばかり思ってたら、監督りんたろう、原作は平井和正、石ノ森章太郎でした。
大友克洋はキャラ・デザインだけだったみたいです。
超能力者が幻魔と大戦するというサイキック・ウォーものです。
サントラLPでは、エマーソンはたしかアルバム半分を担当していたような気がします。
たぶん、そのときのトラックがすべて収録されていると思われます。
なにせ、公開当時は本作のLP買う気がしなかったもので。
しかし、今聴くと、なかなか面白い作品になっています。
たぶん、プログレにかなり理解のある日本人スタッフが参加していたと思われます。
意外にもツボを押さえた内容になっています。(失礼)
ローズマリー・バトラーの主題歌もオマケで収録されており、かつてCMでよく聴いたので懐かしさがこみ上げました。

 

 

 

ゴジラ FINAL WARS
GODZILLA: FINAL WARS
監督: 北村龍平
音楽: キース・エマーソン 
出演: 松岡昌宏、菊川怜、宝田明、ケイン・コスギ、水野真紀、北村一輝、ドン・フライ
2004年 日本映画

 

 

 

ゴジラ最終作にして、最後にケチを付けてしまった、もっともゴジラらしくない作品。
過去の怪獣もサービスショットで山のように出てきます。
これに余計な金がかかったのか、所々で特撮に手抜きが見られます。
北村龍平に撮らせると何でもカンフーアクションになってしまうことを立証した作品です。
スピーディな展開を期待したら、人間の立ち回りがスピーディになってしまっただけでした。
音楽もエマーソンが担当する必然性が全く感じられない作品です。
サントラは買う気がしなかったので、本作への収録はなんか得した気分です。
でも、聴いてみるとテクノっぽいトラックがあったり、エマーソンの新境地を見たような気がしました。
スティーヴ・ヒレッジの「システム7」みたいに、テクノで食っていけるじゃん、て思ったりして(^_^;)

 

あとは、僕がリスペクトする伊福部昭氏作曲にかかる「ゴジラのテーマ」をエマーソンが演奏したということに感慨深いものを感じました。