【短】 とらいあんぐる②① | ウォンキュ☆ひたすら妄想~

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superjuniorのシウォン(siwon)とキュヒョン(kyuhyun)のふたり
ウォンキュ(wonkyu)がベースな小説展開中。
が、いろんなカプも活躍中!!


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side:siwon


紅潮した顔で今の今まで話していたキュヒョンが
いきなり意識を失った。

体が熱く、呼吸も浅いところを見ると多分熱発している。

うぬぼれた俺はキュヒョンの体の熱さを欲情の表れだと思っていた。
とんだ色ボケぶりで自分でも呆れた。

俺は崩れ落ちたキュヒョンの体を咄嗟に支え何とか抱えた。

『キュヒョン。キュヒョンちょっと頑張って。』
もう聞こえてないであろうキュヒョンにそんなことを言ってみたが
意識がないキュヒョンに聞こえるわけもなく…

半ば引きずるようにしてキュヒョンを車に乗せた。
そしてシートベルトをしっかりして運転席に戻り、
キュヒョンをみた。

額の傷を覆ったガーゼに血がにじんでいるのが気になり
そっと剥がし傷を見た。

やっぱり。
縫合した傷の一部が開いてその周りが赤く腫れ上がっていた。
多分熱も傷の悪化によって出たものだろう。

…バカ野郎。しっかりしろシウォン!

俺は自分を叱咤した。
この様子だとかなり傷が痛んだはずだ。
そんなそぶりも見せないキュヒョンに俺は油断していた。


そして俺は電話を掛けた。

「あぁ…俺だけど…後15分ほどで着くから。
病人を連れて行くからすぐ休めるように…あぁそれでいい。
すみません頼みます。それと…俺が行くことはオフレコで…
あぁ頼みます。じゃ。」

電話を切り
『キュヒョン。もうすぐ着くから後少し頑張ってくれ。』
そう言いながら薄っすら来た汗で額に貼りついた前髪をかきあげ
頬を撫で首筋に手を当て体温を感じた。
そして、力なく垂れた手を取り、その手にキスをした。




目の前に大きな門が見えてきた。
車が近づくとギィーっと門があき始め
徐行しながらそのもんの中に車を乗り入れた。

大きな円形のスロープを少し走ると建物が見えてきた。
目の前に広がる懐かしい景色。
ピロティーに立つ2人がうやうやしく頭を下げるのが見えた。

俺は玄関前に車を止め、車から飛び出した。
そしてふたりに”突然すまない…”とだけ言って助手席に回った。

『キュヒョン。キュヒョン。さぁ、降りよう。』
声をかけるがキュヒョンは起きない。
”ううん…”苦しそうな声が漏れだけだった。

そんなキュヒョンの太ももをそっと撫で、
シートベルトを外し
抱き上げる俺はその額にキスを落とした。
キュヒョンの手が力なくぶらんと落ちた。

俺はキュヒョンをしっかり抱え、大きく開いた扉の中へ入った。





side:kyuhyun


手足に力が入らない。
ヒョンに抱きかかえられてるらしい。
力強い足取りはわかるけど
手を動かすのもしゃべるのも難しく
遠くで時折聞こえる声だけが頼りだった。

ただただ額が痛い。

「ささ、こちらへ。すべて整えてございます。」

…だれ?

知らない人の声と知らない場所の匂い…

『ありがとう…本当に助かったよ…』

ヒョンの優しい声が遠くで聞こえた。
その声がとても心地よく胸に広がっていくのはわかった。



side:siwon

迎に出てくれていたふたりに挨拶をして、
キュヒョンを抱きかかえた俺はそのまま寝室に向かった。

急な連絡だったにも関わらずリネンがすべて完璧に整えられており
その清潔でいい香りに包まれたベットへキュヒョンを下ろした。


『キュヒョン…もう大丈夫だ…』

そう言いながらブランケットを掛けてやり
髪にキスを落とし、しばらくその髪を撫で
手をにぎりその手にもキスをし
そのままキュヒョンをずーっと見つめた。





「あの…坊ちゃま…」
そう声をかけられてふと我に返った。

『あ…すまない。』
「いえ、声を掛けていいものやら考えておりましたが
このままでは…」
『あっ…あぁ…そうだね。うっかりしてしまって…』
「とんでもございません。」

久しぶりに合うその人は俺を見てにっこり笑った。
そしてその傍らに立つ人も本当にうれしそうに俺を見ていた。

でも二人ともちょっと年を取っていて…
月日の流れを感じずにはいられなかった。

俺はそのふたりとハグをした。

「まぁ、本当に、こんなに立派になられて…」
飛び切りの笑顔で俺の背中をトントンとする。

『ばぁやは全然変わらない。』
そう言いながら俺の半分ぐらいしかない彼女を
もう一度ギュッとハグをした。

そして…
「じぃや。あなたも全然変わらない。」
そう言って手を差し出し、しっかりと握手をした。

「お坊ちゃまから連絡をもらった時は夢かと思いましたよ。」
そう言ってにこやかに笑うとうんうんと頷いた。


ここはチェ家が所有するコテージの一つだった。
街の中心地からかなり離れた場所で
小高い丘の上に立っていた。
誰かがここを利用しようと訪れるのは多分年に数回だろう。
その数回のためにこの二人はこのここに住み込み、
管理し、そのいつかに備えている。

そして、今日はそのいつかだった。

キュヒョンとふたりの逃避行(というのは大げさだが)
とにかく行き場所を決めなくてはならなかった。

これ以上みんなに迷惑をかけられない。
かといってこのままで家に戻る気はなかった。

来るとしたらここしかなかった。

俺は昔、ここでしばらく過ごしていたことがあった。
管理人夫婦はこんな俺を自分の子のように可愛がってくれていた。
大学に行ってからはすっかり足が遠のいてしまい、
アメリカに行く直前、あいさつに寄った時以来だった。

突然の俺からの連絡にもすぐに対応してくれた。

連れが、病人がいると伝えてはおいたが
現れた俺とキュヒョンを見て同僚とか仲間とか
そういうものでないのはすぐに察したようだった。

俺は頭を掻きながら
『あの…えっと、俺とあいつがここに来たことは…どうか…』

誰にも言わないで欲しいと二人に告げた。

「我々はお小さいころからお坊ちゃまの味方で
それは今も変わらないですよ。」

そう言って俺の肩をポンポンと叩いた。

その言葉がとても暖かく心にすぅーっと染み込むように広がり
俺はやっと安堵のため息を一つこぼした。

…んんん

ベットのキュヒョンが声をあげた。
そうだ。
急がなくては。

俺は2人にメモ用紙とペンを借り
必要なものを書きだした。
そして電話を一本かけ、そのメモをじぃやに託した。
じぃやはそのメモを持って出かけた。

ばぁやがキュヒョンの側を離れない俺の所へ来た。

「さぁ、これでも飲んで。少し落ち着きなさい…」
そう言われて差し出されたカップを手に取った。

受け取ったマグカップを両手で抱えると
心地よい暖かさだった。
俺の大好きだったホットミルクがゆるりと湯気を立てていた。

温かさが胃に染みわたる。

俺は熱くなる目頭をそっと押さえた。








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朝から雨が降ってます。
今日は変則でお話しアプにさせていただきました。

また登場人物増やしてしまった…
(;´▽`A``

この後はふたりきりの時間を
じっくり過ごす予定です。
(= ̄∇ ̄=) ニィ


いつも読んでいただいてありがとうございます。
ペコリ(o_ _)o))