【短】 とらいあんぐる⑳ | ウォンキュ☆ひたすら妄想~

ウォンキュ☆ひたすら妄想~

superjuniorのシウォン(siwon)とキュヒョン(kyuhyun)のふたり
ウォンキュ(wonkyu)がベースな小説展開中。
が、いろんなカプも活躍中!!


twitter→@won_kyu7



side:kyuhyun



俺を乗せたヒョンの車が静かに走り出した。
運転するヒョンに背を向けて
窓の外を見つめたまま流れる景色を目で追った。

夕暮れに染まる空があまりにもきれいでボーっと眺めた。

そのうちに辺りはすっかり暗くなり始め
時折窓ガラスに映るヒョンの姿にドキッとする。
そして視線を感じていたたまれなくなり目を閉じる。

ヒョンの好きなクラシックの音楽がいつものように車内を包んでいた。

額の傷が痛い。
ズキズキして痛い。
でもヒョンには言わなかった。

ヒョンはしっかりハンドルを握り車を走らせる。

そして時折俺の髪を優しく撫でる。

俺は少し首を動かし、触らないでよ言わんばかりにそれを避ける。
ヒョンは仕方なく手を引っ込める。

しばらくまた視線を感じるだけ。

そしてまたヒョンの手が俺の髪を優しく撫でる。
また俺は首を少し動かしそれを避ける…

どこに向かってるのかもわからない。
どこに行く気なのかもわからない。
そして聞く気もない。

なんだかわかんないけど、涙がこぼれる。
その涙を袖で拭いながらずっとそれを繰り返した。

何度も何度も繰り返すけど、俺もヒョンも何も言わなかった。

そのうち髪を撫でるヒョンの手のぬくもりが
心地よさとなって俺はそのままスーッと寝入ってしまった。




side:siwon


キュヒョン助手席に座らせるとやっと落ち着いた。
静かに車をスタートさせる。

キュヒョンはシートに身を預け体ごと向こう側に傾け
こちらを一回も見ず、窓の外を眺めている様だった。

しばらく黙察していたが、どうしても触れたくなり
キュヒョンのその髪に触れようと手を伸ばす。

するとキュヒョンはその手を拒むかのように首を傾け
あからさまに俺の手を避ける。

仕方なく俺は行き場を失った手をハンドルに戻す。

触れる。
避ける。
戻す。

触れる。
避ける。
戻す。

それを幾度となく繰り返すうち
キュヒョンがスーッと寝入ってしまった。

俺はiphoneを取り出し病院とある場所へ電話を掛けた。

病院は明日からのやりくりの事。
そしてもう一か所は…
とにかく手短に用件だけ伝えた。

そのまましばらくキュヒョンの寝息を感じながら
ただひたすら車を走らせ続けた。

そして。
今から向かう場所についてしまう前に
どうしても確認したいことがあって
路肩に車を止めて、可哀想かとは思ったが
気持ちよさそうに寝ているキュヒョンに声を掛けた。

寝ぼけ眼で周りを見回すキュヒョンの姿に思わず頬が緩む。




side:kyuhyun



ふっと気が付くと車が止まっていた。
どのくらい走ったんだろう。
そしてここはどこなんだろう。

『キュヒョン。ちょっと降りよう。』
ヒョンがそう俺に声を掛け車から降りた。
俺は降りる気力もなく、そのまま助手席に座ったままだった。
するとヒョンが助手側に回りドアを開け
”おいで”と手を差し出した。

「なんで?どうして?…ここどこ?」
俺はバツが悪くちょっと文句を言いながら
その手を無視して仕方なく車を降りた。

ズキリと傷が脈打った。

…イタタタタ

仕方なく車を降りると、眼下に街の明かりが見える場所だった。
目の前に広がる景色は、まるで宝石箱をひっくり返したような
色とりどりのきらめきを放っていた。

ここに俺たちがいるなんて誰も知らないんだろうな…
そんなこと思いながらそのきらびやかな光を見下ろした。

『キュヒョン。』
ヒョンが俺の名を呼んだ。

聞こえないふりをした。

『なぁ、キュヒョン。』
もう一度俺の名をヒョンが呼ぶ。

「何?」
俺は街の明かりを見つめたまま聞いた。

『なぁ、キュヒョン。いい加減目を合わせてくれないか?』
ヒョンがそういう。

そう。
俺はエレベーターを降りてから、
ヒョンの顔を見ていない。
ヒョンはそれに気が付いてるんだ…

『キュヒョナ…』
ヒョンがもうこれ以上ないってほどの思いを込めて
それはもう低くそして優しい声で俺の名をまた呼んだ。

「…なに?」
ヒョンの方をむいたけど顔が上げられない。

さっきエレベーターでキスされてから
なんかどうも調子がおかしくて
体が火照ったままで、今また何かされたら俺…

そんなことを思ってたらますます体が熱くなってきた。

『キュヒョナ。どうしても言っておきたいことが…』
そう言いながらヒョンが一歩、二歩と近づいてくるのがわかる。

そして俺の目の前で止まった。

ヒョンはビクっと体を揺らす俺の肩に手を置いた。

『キュヒョナ。全部俺が悪かった。
これからどうなるにせよ、これだけはどうしてもわかってほしい。』

ヒョンの手が俺の顎にかかりクイっと上げられた。
一瞬目をつぶったが、観念して目を開けた。
俺の目に映るのはヒョンの熱いまなざしだった。

『キュヒョナ。愛してる。本当に愛してる。』
その力強い言葉と俺を見つめる眼差しに嘘偽りはないと思う。

でも…

不意に涙がこぼれた。
ヒョンが目を見開いてびっくりした顔をしてる。

「俺…もうこんなのやなんだ。
もう俺…前みたいに…もう無理なんだ。」
しっかり話してるつもりだがところどころ嗚咽があがり
声にならなくてちゃんと話せない。

『キュヒョナ…泣かないで。すまなかった。本当にすまなかった。』
ヒョンの親指が俺の頬を撫で涙をぬぐった。

俺はブンブン頭を左右に振り、
「もうやだ…ヒョンに信じてもらえない自分が…やだ。」
そうヒョンに告げた。

『キュヒョナ!違う。お前がそんなこと思わなくてもいいんだ。
俺なんだよ。俺のせいで…なんで…お前じゃないだろ!』
ヒョンの声が自然と大きくなる。

頭に響く。
額が痛い。
割れるように痛い。

肩におかれたヒョンの手に力が入る。

「あぁ…でも俺…ヒョンがいなくなるのもやなんだ。
ヒョンには俺なんか必要ないかもしれないけど
俺にはヒョンが必要なんだ…」

ヒュッと息を飲んだヒョンが俺を抱きしめた。
「でも、もうやなんだ。俺のせいでヒョンが…ヒョンがユジンと…
俺どうしたらいいんだよ。もうわかんないよ。」

ヒョンの肩の上に顎を乗せてカクカクとさせた。

『大丈夫だから。俺は大丈夫だから…』
ヒョンが呪文のように耳元で囁くからくすぐったい気がして
思わずックツクツと笑ってしまった。


だんだんと体の力が抜けて行くのがわかった。
そしてそれと同様気分もだんだん落ち着き…

そうしたらなんだか自分の体の異変に気が付いた。

体が熱くなり、顔が火照り、なんだかボーっとしてきて…
でもさっきまでと違うのはなんだか息苦しくなって…
大きく体が揺れたのを感じた。

『キュヒョン!おぃ、キュヒョン!!』
ヒョンの声が遠くで聞こえる。


不覚にも俺は熱発しているらしい。


そう気づいたけどそのまま俺の景色は真っ暗になってしまった。








********************************************


2人の世界にまっしぐら…