【短】 とらいあんぐる㉒ | ウォンキュ☆ひたすら妄想~

ウォンキュ☆ひたすら妄想~

superjuniorのシウォン(siwon)とキュヒョン(kyuhyun)のふたり
ウォンキュ(wonkyu)がベースな小説展開中。
が、いろんなカプも活躍中!!


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side:siwon


「んん…」
腕の中のキュヒョンが身じろぎ始めた。

俺はその声に反応してガバッと半身を起こしキュヒョンの顔を見た。
瞼の下の眼球がピクピクと動いてるのでもうすぐ覚醒するだろう。

手を取り脈を図る。
そして額と額をピタリと合わせて熱を測った。

…よし。熱はない。すっかり下がったな。

医師にあるじき診断方法だが、
キュヒョンの事ならよくわかる。
これで十分だ。

抱きしめた体で感じるキュヒョンの体温が
昨日までと違って熱さを感じなくなっていた。


…とにかくよかった


シウォンは安堵のため息をこぼした。



3日前。
このコテージについた時、キュヒョンは傷の悪化のせいで
熱発し、意識を失っていた。

ここの管理人で俺たちの世話を突然見なくてはならなくなったのに
嫌な顔一つしないじぃやにメモとカードを託した。

小さな子供の事ならいざ知らず
大の大人がじぃやと呼ぶのはどうかと思いながらも
俺にとってはじぃやはじぃやで
あっちも俺がじぃやと呼ぶと嬉しそうな顔をしてくれるので
そのままじぃやと呼んだ。

メモを片手に出かけて行ったじぃやが戻った時、
彼の車の中は薬剤やら医療品やらでいっぱいだった。
他にも買い物も頼んだが嫌な顔一つせず戻ってくれた。

キュヒョンが休んでいるベットルームへそれらを持って向かった。
俺は”キュヒョンは大丈夫…”と自分に言い聞かせた。

着ているものを脱がせ、買ってきてもらった長Tとスウェットに着替えさせた。
脱がせた服はばぁやに洗ってくれるよう頼んだ。

とりあえず今はキュヒョンの傷をどうにかしなくては…
縫合セット、抗生剤、化膿止め、ガーゼにテープ、点滴、点滴台を用意し、
キュヒョンの傷を手当てした。

局所麻酔をしての縫合だが、意識のないキュヒョンが顔を歪めるときがあり、
その姿に胸が痛くなる。

脂肪の少ない額は縫うよりテープで留めた方がいいので
傷をグッと寄せ縫合用テープでしっかりと止めた。

きっと形成のレラなら傷を残さない様に処置できるのだろうが
俺にはそれは無理かもしれない。
けど俺も外科の端くれ。これくらいならだいじょうだろう。

袖をまくり、点滴を立てるためのルートを確保した。
数えきれないほどの患者の腕に点滴を立ててきたが、
キュヒョンの腕に立てるのは可哀想になってしまって心が痛む。

すべての処置が終わって安堵のため息をこぼし、
グローブを外しているとばぁやがやってきた。

「終わりましたか?」
『えぇ…』
「あの坊ちゃま…」
『ん?なに?』
俺は片付けをしながら顔だけ向けた。

「あの、キュヒョンさんのお召し物を洗濯しようと
確認しましたら、こんなものがポケットから…」
そう言って開いた手の平にのっていたのは…

俺は思わずばぁやに駆け寄り、
震える手でそれを手に取った。

『キュヒョン…お前は…』
俺はガバッ!と振り返り、ベットで寝ているキュヒョンを見つめた。

そしてそれをぎゅっと胸の前で握り占め神に感謝した。
それはキュヒョンが医局の窓から投げ捨てたはずのカップルリングだった。

いきさつはわからないがキュヒョンはこれを持っていてくれてた。
捨てずに持っていてくれた。
それだけで俺の胸は熱くなり言葉が出ない。

『ばぁや。ありがとう…』
震える声を絞り出した俺は恥ずかしげもなく涙をこぼした。


そしてこの3日間、俺はキュヒョンの側を離れなかった。
片時も離れず側に付き添った。
食事もこの部屋に運んでもらい、
電話も何もかも一切遮断した。

汗をかけば着替えさせてやり、
体を拭き、水分を取らせ…
昼も夜もなく世話をした。

そして祈り神への感謝を忘れずに過ごした。

キュヒョンがゆっくり休めるように
くすりをコントロールし、睡眠下で管理した。

じぃやとばぁやはそんな俺たちを遠くから見守ってくれ
必要最低限しか姿を見せなかった。



そして4日目の今朝。
キュヒョンはようやく熱が下がり俺は点滴の滴下確かめた。

そしてベットの中にまた入りキュヒョンを背後から抱きしめ
手を握りその髪を撫でキスを落としキュヒョンが目覚めるのを待った。


「んん…」
キュヒョンが身を捩り俺の腕を自分の胸に抱きかかえた。

”おっと…”
いつもと変わらない癖に俺の頬が緩む。


「ん…ヒョン…朝ごはん…何?」

『え?』
まだ寝ぼけているのか目覚めた途端の
キュヒョンの問いに思わず吹き出さずにはいられなかった。

あぁ。神様。
俺の天使はなんでこんなにステキなんでしょうか。

俺の笑い声に”え?”といい、ガバッ!と半身を起こした。
そして振り返り俺の顔を見るなり”うわっ!”と言って
いきなりベットから抜け出そうとした。

「キュヒョン!ダメだ、いきなり動いちゃ!」

一瞬手を出すのが遅れた。
3日間寝ていたキュヒョンは手足の自由が利かずそのまま
ベットの下へ転がり落ちた。

これもまた見慣れた風景…

『大丈夫か?!』
慌ててベットの上から下をのぞくと
床に座ったキュヒョンが大口を開け、目を真ん丸にして
部屋中を見回していた。

俺はゆっくりベットから降り、キュヒョンに手を差し伸べたが
それは目に入らないらしくキュヒョンはただただびっくりしているようで動かない。

そんなキュヒョンを抱き上げた。
いつもなら恥ずかしがって身を捩って抵抗するのに
されるがままだった。

ベットの上にポスンと下ろし、”キュヒョン…”と声を掛けた。
キュヒョンはまだ口を開けたままでフリーズしていた。

そんなキュヒョンをそっと抱きしめ”おはよう。”と声をかけた。

するとキュヒョンがハッ!と体を揺らした。
そして俺の方を見て
「ヒョン!どうしよう!俺、ダニエルさん殴っちゃった!!」
そう行ったかと思うと頭を抱えた。



俺の笑い声が部屋中に響きわたる朝だった。