カーテンの隙間から差し込む光が、キュヒョンの何も纏わぬ素肌を優しく照らしていた。
ベットに腰を下ろし背を向け携帯で話しているキュヒョンを見つめながら、
背中には天使の羽根が生えているのではないのかと思わずにはいられなかった。
彼が自分のもとに舞い降りてきてくれたのがまだ夢のようだ。
事情はどうであれ、どうして手放そうと思えたのかが今では不思議でならない。
今、柔らかな光に包まれていえる彼ををフレームに収め、
この壁に飾っておきたいと昨日の余韻が残る頭でそんなことを考えていた。
昨晩の彼はまさに天使だった。
神が自分に与えてくれた祝福だと感じた。
こんなにも人を慈しむことができることに感謝した 。
彼のすべてが自分の手の中にあった。
初めての事で、自分の思いをどう表現したらいいのかわからず戸惑い、
怯えるキュヒョンに時間をかけ自分の全てを注ぎ、シウォンは愛を伝えた。
キュヒョンはその全てを受け止めようとシウォンに総てを預けた。
初めての夜は静かな時間に包まれた。
「うん・・・あぁ、いや、でも・・・うん、わかった。じゃあ・・・ありがとう。」
キュヒョンは電話を切って、大きなため息をひとつついた。
「ウニョクか?」
シウォンは体を起こし、後ろからキュヒョンをそっと抱きしめながら聞いた。
「うん。早番変わってくれるって。先生とゆっくり過ごせった。」
「そっか。いいやつだな。」
「うん。」
キュヒョンは昨夜の事を思い出して恥ずかしさに身を固くし、
シウォンを見る事ができなかった。
それを察してかシウォンはキュヒョンから離れた。
ベットからでたシウォンは大きな伸びをひとつ。
一糸纏わぬその均整の取れた体は本当に彫刻みたいで、
筋肉の一つ一つがシウォンを形作っていた。
あの腕に包まれていたなんて・・・
「ちょっと待ってて。」そう言ってシウォンが部屋を出て行った。
キュヒョンはベットに横たわり、昨晩のことを思い出していた。
自分はシウォンをがっかりさせてやしないだろうか。
どうしたらいいかわからないので無我夢中でシウォンについて行くだけで精一杯だった。
そんな自分をシウォンはどう思っただろうか。
俺、ちゃんと大丈夫だったのかな。
そんな事を考えながら枕に顔をうずめた。
「お待たせ。さぁ~」と言ってシウォンはキュヒョンを担ぎ上げた。
浴室に連れていかれ、シャボンの泡だらけのバスタブに
キュヒョンはシウォンに寄りかかるかたちでつかった。
スポンジを手に、シウォンは優しくキュヒョンの体を洗う。
冷たくなっていた肌がほんのり赤くなってゆらりと立ち上るような色香が
シウォンの鼻先をくすぐった。
シウォンは首筋に残る傷跡に唇を這わした。
「ん・・・あぁ・・・」
甘い吐息がこぼれた。
シウォンが耳元で「キュヒョナ・・・」と囁いた。
その声はどこまでも優しくキュヒョンの五感を刺激した。
「あ・・・」
首筋にキスをされ、囁かれただけで反応してしまった。
キュヒョンは自分の体の変化に戸惑った。
恥ずかしさで身をよじると、それを察したシウォンが
「いいんだよ・・・。」そう言ってキュヒョナの
それに優しく触れた。
「・・・や・・・ん・・・あ、だ、だめ・・・そんな・・・」
シウォンの手は優しく、しかし巧みにキュヒョンを導いて行った。
キュヒョンは次々と訪れる甘美な波に身をゆだねた。
「キュヒョナ・・・かわいい・・・俺の天使・・・」
「え・・・?天使・・・?・・・はぁ・・・ん・・・」
聞き返したいがキュヒョンにはその余裕はなかった。
「先生・・・俺もう・・・」
シウォンの手の中のそれは限界を示していた。
「いいよ・・・そのまま出して・・・」
「あぁ・・・ん・・・くぅ・・・」
キュヒョンの体がのけぞりその右手はシウォンの頭を手繰り寄せ、肩に頭をもたげた。
その身体は小刻みに震えた。
「いい子だ・・・」シウォンの声が響いた。
思わずキュヒョンはくるりと体を反転させシウォンの首にしがみついて
シウォンの耳元で甘くため息をついた。
シウォンは愛しさでキュヒョンをより一層強く抱きしめた。
ソファーに座ったシウォンの足元に腰を下ろしたキュヒョンの髪を
シウォンがドライヤーで乾かしていると、
「くすぐったいよ・・・」とキュヒョンはクビをすくめた。
「ダメだよ。まだ乾いてないぞ。」
と言ったがキュヒョンはクスクス笑ながら逃げようとする。
「こら、大人しくしろ。」と足でキュヒョンをロックした。
キュヒョンがシウォンの足に噛みついた。
「痛!全くお前は・・・犬みたいだな。」
と言いながらシウォンはえくぼを見せながら笑った。
キュヒョンはシウォンのえくぼ好きだった。
えくぼが出るのはシウォンがうれしい時だし楽しい時だから。
今、シウォンは自分との時間に満足してくれているという証拠・・・
キュヒョンの顔も自然とほころんでいた。
2人で過ごす静かな時間が刻一刻と過ぎていくのが
とても残念に思いながらこれからシウォンと自分は
どうなっていくんだろう・・・そんな事が頭をよぎった。
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「あっ、先生。病棟では過剰なスキンシップは禁止ですからね。」
「う~ん・・・。」
「先生、ほんとーに禁止ですからね!?聞いてますか?」
キュヒョンの膝枕で横になり、離れたくないと言って
腰に抱きついたまま動こうとしなかったシウォンに
いささかな不安を 感じキュヒョンは釘を刺した。
「そんな意地悪いうなって。」と言いながら
シウォンは腰に回した手に力を込めた。
「意地悪なんかじゃないですよ。ほんとーにダメですからね。
じゃないと俺・・・」
「ん?・・・じゃないと?」
「我慢できなくなっちゃうから・・・」
シウォンはびっくりして飛び起き、
耳まで赤くなってはにかんでいるキュヒョンを強く抱きしめ押し倒し、
キスの雨を降らせた。
そんなシウォンの耳元で
「先生。大好きですよ・・・」とキュヒョンが囁いた。