皆が面白がってキュヒョンに酒を継ぎ足していく。
ウニョクが必死に止めるがキュヒョンは聞いちゃいなかった。
シウォンは眉間にしわを寄せしばらく見ていた。
ウニョクがシウォンに気づき駆け寄ってきて
「よかった・・・」と一言。
「先生、オレ必死に止めたんだけど守りきれなくて・・・」
「いいんだ。ありがとうウニョク。」
「あいつ、ここんとこおかしくて・・・」
「そうか・・・もう大丈夫だから。」
その時、同期に支えられてキュヒョンが立ち上がった。
とても一人では歩けないほど酔っているようだ。
キュヒョンはその手を振りほどきながらよろよろこちらに向かってきてシウォンにぶつかった。
そして「すみません。」と頭を下げて目の前に立つ人を見上げた。
一瞬ポカーンとしてその顔を見つめている。
「ほらほらキュヒョン大丈夫か?」と追いかけてきた奴がキュヒョンに手を掛けた。
トロンとした目に半開きの口でまだ自分の顔を見ている
キュヒョンは目の焦点が合わないようで、
「あれ?シウォン先生が二人いるぅ~。」と言って笑い出した。
着いてきた奴が「あれ~シウォン先生。ほらキュヒョンお前謝れよ。すいませんねぇ~」
と言ってキュヒョンの頭を押さえた。
「君、大丈夫だから。戻って。」といい追いかけてきた奴からキュヒョンを離した。
「キュヒョン・・・さぁ、帰ろう。」とキュヒョンの手を取った。
「やっ、まだ帰らない、まだ飲んでない。」キュヒョンは手を振りほどき戻ろうとした。
もう、我慢の限界だった。
「いい加減にしろ!」
シウォンの声が店の中で響き店の中がシーンと静まりかえった。
みんなが二人を見た。
そんな中、シウォンはいきなりキュヒョンを肩に担ぎあげた。
キュヒョンは「うぉー!!俺空飛んでる~空飛んでるぞ~!!」と叫んだ。
みんなが一斉に笑った。

空を飛んでると言ってはしゃぐキュヒョンをそのまま外へ連れ出し、車の助手席に放り込んだ。
キュヒョンは「ちゃくりーく!」と言って敬礼をした。
車のエンジンをかけると、キュヒョンはまだ帰らないと言って身を乗り出した。
「危ない!」
そう声を荒げると、シウォンはシートベルトをかけようとキュヒョンの上から手を伸ばした。
するとキュヒョンがその手をはらおうとシウォンの腕をたたいた。
ビクともしないその腕に今度は噛み付いた。
「いたっ!こら、キュヒョン!何するんだ!」
シウォンは思わず叫んだ。
キュヒョンはシウォンの荒げた声にビクッと体を震わし、身を縮め、
「なんで先生はそうやっていつも・・・どうせ俺の事なんて・・・先生なんて嫌いだ!」
と言って今度はポロポロと涙をこぼし始めた。
「全く忙しいやつだなぁ。」
シウォンが優しくキュヒョンの柔らかな髪をなでる。
ひとしきり悪態ついて気がすんだのか、気がつくとキュヒョンは軽く寝息をたてていた。
顔にかかった前髪を優しく撫で上げると、その手をギュッと握ってきた。
無意識なそのしぐさにシウォンは愛おしさを募らせた。
車は静かに走り続けた。
