『え?なんなんだ?』
眼の前で談笑している2人を・・・といううか。
目をキラキラさせてユノと話してるキュヒョンを見てシウォンは目を丸くした。
俺にはろくに口をきいてくれないのに、何で他の男とこんなに楽しそうに話してるんだ?
「ジーザス・・・」
シウォンは小さくつぶやいた。
向こうでユノを呼ぶ声がした。
ユノは今度のみに行こうとキュヒョンに声をかけヘリポートへ向かった。
キュヒョンはぜひ!と答え見送った。
(さ、帰ろっと・・・)歩き出したキュヒョンは腕を掴まれ引き止められた。
「え?」
振り向くと険しい顔をしたシウォンが自分を見下ろしていた。
「シウォン先生なんですか?」
「ちょっと、さっきのあれ、なんなんだよ。」
「え?何がですか?」
キュヒョンは本当にシウォンが何を言っているのかわからなかった。
「ユノとの話だよ。俺にはろくに返事もしないでユノとは
こーなんて言うか心ウキウキ~みたいに・・・」
「はぁ?何言ってるんですか?」
「だから、その他人行儀な口調やめろって。」
「え?先生と僕、そんなに親しかったですっけ?」
そう言いながらキュヒョンはERの出口に向かって歩き出した。
「なぁ、もしかしてお前なんか怒ってるのか?その・・・昨日のあの事とか・・・」
「昨日のあの事・・・」
キュヒョンの頭にあのキスのことがよみがえった。
耳まで赤くなってるのが自分でもわかった。
「いや、あれはその・・・ほら・・・あれはだな・・・」
ドスっ!と音がしてシウォンが崩れおちた。
キュヒョンがいたたまれず、みぞおちに一発お見舞いしたのだ。
「もういい!」
と言ってキュヒョンは崩れ落ちたシウォンを残しERを出た。
その様子を一部始終見ていたドンヘはシウォンに手を貸しやっとシウォンは立ち上がった。
「お前、あの子に何やったんだ?あれ、相当怒ってるぞ。」と笑った。
それは俺の方が知りたいよとシウォンは呟いた。
ERでシウォンに一発食らわしてから一週間、シウォンと会うことなく過ごした。
シウォン先生のいない病棟はそれは物足りなかったが、
キュヒョンはかえってせいせいしたって思うことにした。
あのキスのことも、訳のわからない感情も、
何だかもういろいろ考えるのに疲れてしまったのだ。
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今日は同期が集まっての飲み会だった。
キュヒョンはここ数週間のモヤモヤを吹き飛ばすかの様に、飲んで騒いだ。
「キュヒョン、そのくらいにしとけよ。」とウニョクが止めるくらいに。
「お前どうしたんだよ。」と聞いても「大丈夫、大丈夫」と言って聞かない。
ウニョクは携帯を手にとった。