ウニョクはシウォンがキュヒョンの後を追って出て行ったのをちゃんと見ていた。
昨日自分が聞いたこと。
目の前の親友は直接本人から聞いたのだろうか・・・
衝撃の事実!運命の再会!
ウニョクは目をキラキラさせていた。
まったくこの親友ときたら。
ご褒美をもらいたいワンコのようだ。
この愛しくも大切な親友の欲求を満たすのは大変だ。
「・・・聞いたよ。」
「うぉー。本人から聞いたのかぁー。ほんとびっくりだよなぁ。
あの時のあの人がシウォン先生だったなんてなぁ。」
「ん・・・あぁ・・・」
それからもウニョクの話は止まらなかった
。衝撃の事実だとか運命の出会いとかそういうのは
男女の関係に関していうのではないかと思うようなことまで興奮気味に反している。
そしてウニョクの口から信じられない言葉が飛び出して
俺は驚きのあまり手に持っていたものを床に落とした。
「キュヒョン。これは神様のおぼし召しなんだよ。」
昨晩、車から降りるときにシウォンが最後に言った言葉。
心に響いた言葉。
それをウニョクの口から聞くとは思いもしなかった。
ウ「おい、大丈夫かよ。」と慌てて落ちたものを一緒に拾ってくれる
ウニョクの横顔をまじまじと見た。
それから数日間は幸いにもシウォンと合わないシフトだったので助かった。
どんな顔して会えばいいのかもわからなかった。
だから会わないに越したことはない。
ウニョクも夜勤明けでいなかった。
久しぶりに一日が穏やかに過ぎて行った。
「お疲れ様でした」キュヒョンは更衣室を後にした。
「キュヒョン!」病院を出て自転車置き場に向かっていると誰かが自分を呼んだ。
周りを見渡すとバイクによりかかるシウォンが目に入った。
自分を呼んだのはシウォンだと分かったが、あえて知らん顔をした。

「キュヒョン!」もう一度呼ぶ声がしたふぅ・・・
とひとつため息をついて
「あっ、先生・・・なんですか?」
耳元で囁かれた日からどうもきまりが悪く、
できれば会いたくなかった。
シウォンがこちらに向かって来る。
「乗って。」
と言ってヘルメットを渡された。
結局こうなるんだ。
しっかりつかまって。というとシウォンはバイクを走らせた。
最初遠慮がちにつかまっていたキュヒョンだがしっかり抱きつき直した。
「どこ行くんですか?」と聞きたいところだけど、
どうせ教えてくれないだろうし聞かなかった。
それにしてもなんでこの先生はこんなにやることがキザなんだ?