
お互いのカラダの火照りが収まりを見せる頃、インターフォンが鳴り、来客者がいることを告げた。
腕の中で微睡むキュヒョンの髪にくちづけ、シウォンは玄関へ向かった。
ドアを開けると大きな紙袋を抱えた男が立っていた。
「今晩は。チョウミ様よりケイタリングのお届けです。」
その男はそう言って紙袋をシウォンへ差し出した。
「あっ・・・どうも・・・ごくろうさま。」
そう言って受取、部屋へ戻るとキュヒョンが駆け寄ってきた。
「ねぇ、この匂い・・・これチョウミの所のベジタブルスープだ!!」
そう言うとキュヒョンは目を輝かしながら紙袋を受け取り中を覗き込んだ。
「ん・・・?」
キュヒョンが何かを取り出した。
”体、大丈夫か?覚醒したらおいしく召し上がれ! ・・・ by チョウミ”
「かくせい・・・?なんだ?これ・・・?」
「ん・・・?」
キュヒョンから受取ったのはチョウミからのメッセージカードだった。
(ウニョクめ・・・チョウミに言ったな・・・)
先ほどまでのキュヒョンとの最中に電話を掛けてきたウニョクに
『覚醒したら電話させるから』そう思わず言った一言だたっが、
なぜかチョウミがそれを知っていた。
キュヒョンの耳には届かなかったようで何のことを言ってるかわからないらしい。
「なんだろな・・・。さぁ、それより暖かいうちに食べよう。」
シウォンは苦笑いしながらテーブルに上に料理を並べ始めた。
「わぁ、俺の好きなものばっかりだ!!」
「ねぇ、これ食べてみて!すっ ごくうまいんだよ!」
「あっ、これ!ソースが絶品なんだから!!」
とシウォンに料理を一つ一つ説明しながら口へ運んだ。
いつもそうなんだが、キュヒョンはチョウミが絡むとなぜかいつも幼く見える。
従兄として幼いころから一緒にいたせいか、いつも身にまとっている
人を寄せ付けない雰囲気がなくなる。
今目の前でおいしそうに料理を頬張るキュヒョンは
さっきまで自分の腕の中に抱いていたキュヒョンとは全く別人のようだ。
多分こんなキュヒョンの一面を知っているのはごく近しい一部の人間だけなのだろう。
従兄とはいえ昔からこんなキュヒョンを見てきたチョウミに苦々しい思いを感じざる負えない。
「先生、食べないの?」
「ん?食べてるよ。 」
「ん・・・うまっ!」
そう言って口いっぱいに頬張るキュヒョンの口元にソースが付いていた。
「ほら、ついてるぞ」
「ん?何?」
「ほら。まったく子どもみたいだな・・・」
シウォンが口元についたソースを人差し指で拭って見せた。
「あっ・・・」
少し照れたように笑ったキュヒョンはその手を取り、
ソースのついた指を自分の口元へ持っていき指を咥え込みその舌で拭った。
そして、上目遣いでシウォンを見ると口角を少しあげ笑った。
「うっ・・・」
本人の無意識な行動なのだろうが、その一連のしぐさはシウォンを刺激するに充分たるものだった。
シウォンは下半身にきた疼きから意識を逸らそうと、咳払いをし、キッチンへ向かった。
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し高揚した気持ちを抑えようと、首すじにあてると、
ふぅ。とため息をつき、その冷たさに思わず苦笑いした。
出会ってから、
恋人と呼べる関係になってから、
一緒に暮らすようになってから、
寄り添う時間が増える度、
いろんなキュヒョンを目にしてきたが、今、尚、驚かされる事ばかりで
ますますキュヒョンに堕ちて行く自分にシウォン自身が戸惑う事が今だにある。
毎日がイベント状態た。
『とんでもない奴に惚れたもんだ。』
そう苦笑いするとシウォンはケイタリングの礼を伝えるべくチョウミのナンバーをコールした。
続